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つらい介護を極上の楽しみに変える方法


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:綿谷しふみ(ライティング・ゼミ超通信コース)
 
 
その日は突然にやってきた。天真爛漫でいつも元気いっぱいの母が倒れ救急車で運ばれたのだ。
久しぶりに訪れた実家からの帰り、最寄り駅まで見送りにきてくれた母は、狂牛病を発症した牛のように体が右に傾き倒れ込んだ。起き上がろうとしても、やはりまた体が傾き歩けなくなってしまった。
 
通りがかりの見知らぬ人が、救急車を呼んだ方がいいと声をかけてくれた。今はコロナで病院が大変なことになっているというし、救急車を呼んでいいものかタクシーの方がいいのではないかと迷っている私に、その人は「救急車の方がいいと思います」と力強く言ってくれた。
 
その判断は適切だった。病院に運ばれた後、母は意識をなくした。
 
母が倒れたのは、血糖値が異様に低くなったことにより意識障害を起こしたということだった。
 
大事には至らず、日常生活に戻ることができわけだが、それでお終いとはいかなかった。
 
母はこの1年で10キロ近く体重が減っており、ビックリするほどしわだらけになっていた。
 
このことと、血糖値が低いということには、どうやら関係があるらしい。
 
全身検査をしても悪いところは見つからず、原因不明。悪いところはないのにどうしてだろうと、考えを巡らしていたところ、体重減少は精神的なものから来ているのではないかと思い至った。
 
毎日朝から元気にどこかへお出かけしていた母の生活はコロナで一変せざるをえなかった。
 
どこにも出かけることなく自宅にいる日々。誰とも会わず、一人自宅にひきこもり生活は不規則になっていった。
 
テレビから流れてくるニュースは不安をあおることで溢れかえっている。
 
 
母自身も気づかないうちに、心を痛め美味しく食事ができなくなってしまったのだろうと思った。
 
寂しさと不安。「どうしてもっと早く気付いてあげられなかったんだろう」。
 
母はタフだから大丈夫だと思い込んでいた。だけど自分を責めて後悔しても仕方がない。まだ母は健在だ。これからできることはあるはずだと、考えを改めた。
 
一体何ができるのか、どうすればいいのか、考えに考えてひらめいたのは、定期的に実家に戻り、母と楽しい時間を過ごすということ。
 
様子をみるために実家に戻るだけなんて、勿体ない。
 
母も楽しめ私も楽しめるイベントを企画することにした。
 
といっても、旅行に行くといったような、大掛かりなイベントではない。
 
負担にならず楽しめることでいいのだ。たとえば、美味しいお弁当を買って公園にお散歩がてら出かけて食べるだとか、近所でみつけたリーズナブルなお好み焼き屋さんに行ってみる。そんな感じのことだ。
 
 
決して特別なことをしているわけではない。次回は何をする? どこに行く? と、予定を決めるのもとても楽しい。
 
 
母も楽しみにしてくれているようで、なんと不規則だった生活が改善され、食欲も回復してきている。
 
もしも、母の様子を見に行かなければいけないと、そのことを義務として考えていたら、ストレスが溜まっていたのではないかと思う。
 
だけど、義務ではなく母を喜ばせる時間、そして自分も楽しむ時間として捉えなおすと、義務ではなく待ち遠しい時間に変わった。
 
 
往復の新幹線の中も、自分だけの贅沢な時間と考えて、本を読んだり映画をみたりと、とても充実した時間を過ごしている。
 
今の世の中、老親の面倒をみるのはネガティブに思われがちだ。まして介護となると、暗いイメージがつきまとう。
 
それはきっと、一人では満足に自分のことができなくなってしまった本人に代わり、世話をしなければならず、時間や労力を取られてしまうという印象からだろう。
 
 
母はまだ介護が必要な状態ではない。一人でなんでもできる。けれど、いつ介護が必要になる日がくるかなんてわからない。
 
 
そうなった時どうする? 今みたいに楽しむ時間をつくるなんて言っていられるのだろうか。
 
私の答えは「つくれる」だ。認知症になったとしても感情は絶対に残っている。快や不快を感じ取れるはず。
 
 
ならば、今と形は変わるかもしれないけれど、一緒に過ごす楽しい時間をつくることはできる。
 
 
もし体が不自由になったとしても、お出かけしないで楽しめる方法はいくらでもある。一緒に映画やドラマをみてもいいし、自宅で特別な食事会をひらくのもあり。
 
全ての時間を楽しくなんてことは難しいけれど、一緒に楽しめる時間があれば、辛い時間も乗り越えられる。
 
仕事だって、日常だってそうだ。ずっと楽しいなんてことはあり得ないのだから。
 
私も定期的に、遠く離れた実家に戻るのは、ちょっぴり自由を奪われる。
 
大変だなと思う時もあるけれど、楽しむ時間を企画しているおかげで、楽しむことができている。
 
大変な時間や辛い時間をすべてポジティブに置き換えるのは難しいけれど、その中に楽しみを一つ紛れさせておくことで、気持ちが随分楽になるものだと感じる今日この頃だ。
 
 
 
 
***

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2021-06-05 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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