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メディアグランプリ

方向音痴のススメ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:ニシバタ(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
私は極度の方向音痴である。
 
京都に住んで5年以上経つが、未だに市内でも迷子になる。
家の近所でも、いつもと違う道を通ると帰宅するのに遠回りしてしまうレベルである。
新入社員の頃、会社へ行く道中に迷子になったこともある……
 
致命的に方向感覚のない私だが、趣味の一つが一人旅である。美術館などの観光が主な目的であるが、目的地の周辺や宿泊先の周辺を散策することも大好きだ。
そして、だいたい迷子になる。
迷子にならなかった時は自分を褒めるという謎の遊びを楽しんでいる。
 
そんな私の初めての一人旅は10年前に行ったヨーロッパで、小学生の頃の夢がピカソの「ゲルニカ」を見たい! であったことをふと思い出し、次の日には旅行会社で飛行機と安価なホテルの予約を取りに行くほどの衝動的なものだった。
他にも見てみたい名画や行ってみたいセレクトショップもあったため、フランス、スペイン、イタリアという旅程を組んだ。
 
チケット入手の後は、本屋でガイドブック「地球の歩き方」を3冊購入し、行きたい美術館がどこにあるのか確認し、周辺の情報をチェック。
ADSL回線で繋がれた自宅のパソコンで、ホテルの最寄り駅から美術館への行き方や、ガイドブックに載っていないおすすめスポットの情報をブログから収集。
方向音痴対策として、目的地やホテル周辺の詳細地図をUSBで繋がれたプリンターから何枚もプリントアウト。
 
結果、ガイドブックと束のようになった地図、住所や駅名がびっしりと書かれたメモ帳を重量超過ギリギリのスーツケースに詰め込み、私は関西国際空港を迷うことなく、無事に飛び立った。
 
最初の目的地はパリ。
幸い、直通便だったため問題なく現地の空港に到着できた。入国審査を通り、重たいスーツケースを受け取り、ゲートを出る。空港内の看板の矢印に従い、空港駅に到着。
メモ帳と地図を何度も確認し、ホテルの最寄り駅までの切符を購入した。
 
初めての異国の地での電車にドキドキしながら、乗っていたことを記憶している。
そして、最寄り駅に到着し、いざホテルへ向かおうとした時に問題が発生。
 
 
地図がない!
 
 
地図の束は手元にあるのだが、ホテルの周辺地図だけなくなっていた。
束の中を何度も探すが、やはり無い。
どうやら、切符を購入する際に券売機の隣に置き、そのまま忘れてしまったようだ……。
 
……私は方向音痴だ。
 
……迷子には慣れている。
 
幸い、メモ帳にはホテルの名前と電話番号は書かれていた。
しかし、海外で通話できる携帯電話は持っておらず、フランスの公衆電話の使い方も分からない。仮に電話ができたとしても、フランス語は話せない。英語も高校生の時に赤点をよく取っていた。
 
選択肢として、電話はない!
 
残る手段は、ホテルの名前を頼りにカタコトの英語とガイドブックの後ろの方に載っていた道の聞き方で人に尋ねる。
 
ホテルの名前を伝えれば、誰かすぐに教えてくれるに違いないと考え、街ゆくパリジャン、パリジェンヌに聞きまくる。
ほとんどの人は立ち止まって、話を聞いてくれるが、ホテルの場所は分からない。
 
聞き方が悪いのか? と考え、ホテルの名前を紙に写し、その紙を見せる作戦に切り替えた。
それでも、ホテルを知っている人はなかなか見つからない。
 
「何故誰も知らないのだ……」
「もしや東洋人だからなめられているのか?」
などとその時は思っていた。
 
冷静になって考えてみると、私自身、名前だけを聞いて、場所を把握しているホテルは多くない。高級ホテルや有名ビジネスホテルならいざ知らず、安価なホテルやホステルを日本で尋ねられてもしっかりと道案内できるか怪しい。
 
このような考えに至らないまま1時間以上、重たいスーツケースを引きずり、頭をかしげながらパリ郊外を彷徨っていた。
ホテルがありそうな路地がある度に入り、一つ一つの建物の名前を見ながら、歩く。
 
最終的には、ある路地に入った際、歩いて来た男性にメモを見せると、目を丸くし「すぐそこだよ」のような言葉を言われ、指さされた方向へ進むと、目的のホテルが見つかった。
 
少しいつもより長く、難易度が高い迷子であったが、目的地には到着できた。
 
しかし、今やここまでの状況になることは考えにくい。
 
 
なぜなら、スマートフォンとWi-Fiがあるからだ。
 
 
現在位置を調べ、目的地までナビしてくれるアプリ、翻訳もガイドブック代わりになるサイトも沢山ある。もう紙の束を持ち歩く必要も無くなったのだ!
 
今や日本国内のスマートフォンの普及率は8割近いとも言われる。
もし、観光客に聞いたことがない名前のホテルの場所を聞かれても、答えられるだろう。いや、無料のWi-Fiを探し、自分で調べ、自己解決できるにではないだろうか。
 
スマートフォンは非常に便利な道具である。しかし、「言語スキル」と「スマートフォン」を持っていなかった、10年前の私でも、どうにかなったのだ。
 
ちなみにこの旅では、この迷子だけでなく、鉄道の予約日時を間違われる、帰国便の飛行機に乗り遅れるなどのトラブルもあった。しかし、その土地の言語を話せなくてもどうにかなったし、文明の利器を持っていなくても無事、日本に帰ってくることができた。
 
この経験があり、私は大概のことはどうにかなると思っている。そして、その帰国後の進路や考え方にも大きく影響した。
例えば、この旅の半年後、在籍していた大学を辞め、別の大学に編入した。
 
「案外、どうにかなる」
 
この言葉を信じ、今日も私は安心して迷子になっている。

 
 
***

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2018-08-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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