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メディアグランプリ

一秒で掴める幸せ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【9月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:遠藤朝恵(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「あー、おかあさん、またぐぅたらしてるの〜?」
学校から帰ってきた娘たちがふとんにくるまった私の足下にまとわりついてくる。
うーん幸せになってるの、と答えると娘たちはきゃっきゃと笑う。
 
私は寝るのが好きだ。昔から、どうしようもなく。
うたた寝、お昼寝、本寝。どれも好き。
ベッドにバサっと身をあずけて、掛けぶとんの海にのまれていく、あの感覚。
いいよいいよ、もう少しここにいなよ。急ぐことないんだから。
おふとん君がそう囁いて私をふわっとあったかく抱きしめる。
窓からの風がそよそよと、私の髪を撫でるともう、私は抵抗できなくなってしまう…。
あぁおふとん君ったら、うふふ。
そんな感じのまどろみは、昼間に飲むビールと同じくらい格別だ。あーしあわせ。
一秒で掴める、幸せ。
 
私の大好きな「おふとん君」。藍色のカバーに包まれている。枕カバーとおそろい。
どっちも麻のさらっとした肌触りがたまらない。
包容力たっぷりであったかくって。ほんのり日だまりの匂いがすると、なお素敵。
 
もし一日自由に過ごして良いのならまず、お昼寝をしたい。
世界でいちばん好きな場所は、おふとん。
世界でいちばん清潔にしておきたい、たいせつな場所。
 
「まぁじぃでーーー? 私さぁ、寝るって勿体なくて、でっきないんだよねー」
寝るのが好きだと話したら、ママ友のKさんはそう言って笑った。
寝るのマジで勿体ない。寝るよりゲームやりたいから寝なくてもいい体にして欲しい、と。
人によって色々だけど、私はおそらく、人よりも多く寝ていると思う。
私にとって寝るって、セラピーだ。
 
心がちょっと痛んだときも、私はもれなく布団にくるまる。
去年の春、クライアントに支払いを踏み倒されたときも、そうだった。
10年以上付き合いのあった先だった。そのやり取りは胸に堪えたし、お金のことはもとより、
それまであったはずの信頼関係ががらがら崩れていくのは苦しくて、とてもやるせななかった。
知人の「怖い人、紹介しよっかー?」という冗談に笑って答えつつ、大したことじゃないよねこれくらい、と強がっていたけど、心には嘘をつけなかった。ある日夕飯を作っていたら急に、頭痛と吐き気に見舞われた。そんなこと普段ないのに。体って正直なんだ。
「ごめん、おかあさん具合悪い。ごはん二人で食べてくれる、ごめんね」
食卓に主菜とごはんだけ出して娘たちにそう言い残し、私はベッドに潜り込んだ。
主菜とは別に用意していたサラダは、作り終えることができなかった。
 
一体どうしてこうなっちゃったんだろう。私が悪かったのかな。
どうしてあの人はあんなこと言ってきたんだろう。こんなんでメンタル弱いな…。
半年以上も前に納品したデザインについて悪しざまに言われたことが頭をぐるぐる巡り、
猫のように丸くなって色々反芻しているうちに、いつのまにか眠っていた。
 
睡眠の良いところは、思考を強制的に遮断できることだ。
考えても埒があかないこと、答えの出ない問い。そういうのは大抵ポジティプなひらめきが出ることってまずないし、考えれば考えるほど負のスパイラルに陥っていくような気がする。なので一旦考えることをストップして、自分が心地いいと思えることに身を置いてみるように、私はしている。
寝ることは最強のアイテムだ。
 
そして最近、書くことを始めた。書く時は無心になるので、当事者だけど当事者でない、不思議な感覚を覚えている。それがとても心地くて、楽しい。さらに他人様に読まれる文章目指しているので、客観的な視点が必要になる。ざっと書いたら、自分の視点を外側にずらすことを意識して、何度も書き直す。自分自身が自分をキャッチして、問題の外側に置いてみる感覚だ。書き上がる頃には完全に第三者の視点になっていて、心がモヤモヤした原因を扱えるようになっている。
 
“寝る”ことと“書く”ことで私は、自我を一旦その場に置いて、もう一人の自分を外側に連れ出す作業をしているらしい。目覚めたときは多少なりとも体も心もラクになってるし、完全にではなくとも、問題にどっぷりハマっている時とは違った視点でものごとを捉えられる。
 
パワフルだねとか元気だね、とか。
思いつきでパッと動くせいか、時々人から言われることがあるけど正直なところ、自分では分からない。
でももしそうだとするなら、『とりあえず沢山寝てるから』じゃないだろうか。
 
普通に生きていれば、心が折れそうになることも時にある。
そのたびに、ふとんにくるまることを、私は自分に赦してきた。
何があってもなくても、ふとんに入れば私は一秒で幸せになれるし、書くことで自分を客観視できる。
寝ることと書くこと。このふたつは私にとってセラピーになっている。
一秒で掴める幸せと、さっと身を外側に置ける術。
これからも心が傷むことがあったなら、私はふとんにくるまるだろう。そして、何かを書くだろう。
何度も同じ失敗をするしょぼい私や私の小ささを、そのままに。
 
だからね娘たち。ぐぅたらしてるのとはちょっと違うんだよ〜。
言っても分かんないだろうから言わないけど。
 
なんて考えてる側から、いまも視界の端でおふとん君が私を手招きしている。おいでおいで、と。
あぁ今この瞬間に、そのぬくもりに飛び込めたなら…。
 
ごめんね、今日はダメなの。
 
早く夜にならないかな。ほんとは今すぐ側に行きたい。
途中何度もくじけそうになりながら、ようやくこの記事を書き上げた。

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2018-09-05 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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