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メディアグランプリ

季節を超えていけ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【9月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:岸本高由(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「日本って、本当に美しい。こんなに季節ごとに風景の味わいが変わるなんて!」
「冬の富士山もビューティフルだが、夏もアメージングだ!」
「旬の食材を使った、季節の料理が素晴らしかった!」
 
旅行サイトのレビューを見ても、直接聞いても、外国の人から見ると、日本の季節の移り変わりは本当に珍しく、価値の高いものに感じられるらしくて、こうやって絶賛されることが少なくない。
 
前はちょっと大げさだなぁと思って聞き流していたのだけれど、実際しばらく国外で暮らしたあと、久しぶりに日本の四季を体験してみると、確かにこのバラエティー豊富な気候は、まぁ他の国では見られないことに改めて気づく。
 
もちろんヨーロッパにも東南アジアにも季節はあるし、それぞれ変化はあるのだけれど、日本ほど変化は大きくない。なので、簡単に言うと、すぐに飽きてくる。
長い雨ばかりでどんよりした灰色の空のイギリスの秋は、3日経てばうんざりだし、シンガポールなんかも1年の温度変化がほぼ無い南国なので、街を歩く人々の服装も年中おんなじような半袖とかワンピースで、変化がなくて、まったく飽きてしまう。
 
ところが、日本はそれに比べて、全然飽きることがない。
季節が変わるたびに人々の服装はその色合いを変え、薄着になったり厚着になったりするし、毎週同じ店に食べに行っていたとしても、季節に応じた旬の料理が提供されているので、毎回違う味が楽しめて、実に楽しい。
 
あ、そういえば、外国から来た観光客は日本のコンビニとかドン・キホーテにも、メチャ感動するみたいだ。
「日本はワビサビのミニマリズムでシンプル・イズ・ベストな国だと思っていたけど、超過剰のカオス(笑)。でもすげぇ楽しい!」みたいなことを言う。
そうなんだよな。日本って過剰なものとシンプルなものの両極端が共存している国なんだと思う。
 
あと、よく言われるのは日本のTVの面白さだ。まあ日本の、とくにバラエティーとかお笑い番組は本当にめちゃくちゃ海外でも受ける。古くは『風雲タケシ城』とか『料理の鉄人』とかがイタリアやアメリカの放送局に買われて、現地語に吹き替えられて流されていたりしたので、一部には知られていたんだけど、YouTube以後、すごくたくさんの名作が、世界中で見られるようになって一気にその面白さが世界中に広がった。ときどきイギリスの友だちが爆笑しているSNSのポストに貼られたリンクを見たら、日本のバラエティー番組のワンシーンだったりすることもしょっちゅうある。
 
日本、ぜんぜんイケてるやん! と、思っていた、の、だけど。
 
先週だったか、休日の夕食後、家でのんびりダラダラとテレビを見ていたときのことだ。はっと気づくと、もう5時間ぐらいテレビを見つづけていることに気づいた。5時間かかる長編の映画を見ていたわけではなく、ただなんとなくバラエティーやらニュースやら、合間に流れるCMやらを、画面にツッコミを入れながら見ていたら、いつの間にか5時間経っていただけだ。
ただ、ダラダラと言ったけれど、退屈で何もやることがなかったから観ていたわけではない。それぞれの番組がとても上手にできていて、飽きさせないよう、笑いやサスペンスやサプライズやエンターテインメント要素を次から次へと繰り出してくるから、いつの間にか他のことをやるタイミングを奪われて、テレビの前にずっと居ることになったわけだ。
 
さすが日本のテレビ番組制作のレベルは半端ないなぁ! とも思いつつ、これは、四季の変化が大きいなかで受動的に暮らす日本人の姿と似てる! と気づいたのだ。
 
次から次へと環境が変化する中で生きていると、その変化に対応しているうちにいつの間にか時間が過ぎている、という現象だ。自分たちで次に何をすればいいのか考えなくても、環境のほうが先に変わっていくので、何も考えないでも飽きずに時間が過ぎていく。次から次へと移り変わる季節に合わせてファッションを変え、食を変え、しているうちに1年がすぎ、10年がすぎ、いつの間にか100年が経っている。
 
飽きさせない、変化球が次々と投げ込まれてくるテレビの前に立って、ただ変化球に合わせてバットを振っているだけで、いつのまにか時間が経っている。ただ受動的なわけではなく、ザッピングしてチャンネルを変えたり、ツッコミを入れたりすることで、何かしら能動的には動いているんだけど、それはゲーセンのダンスゲームとか、太鼓を叩くゲームのように、タイムラインを流れてくる的に合わせて上下左右に反応しているだけだ。
 
ドンキやコンビニのカオスで買い物をするとき、ぼくらはいつも自分で何かを選択しているように思っているけれど、あれも過剰な選択肢が与えられている中で「選ばされている」だけなのかもしれない。ほうっておいても、何かが目の前に並んでる状態からのスタート。
 
そんな受動的な選択が、いつも悪いというわけではないけれど、ぼくは、自分で能動的に選択することのほうが得られる幸せが強いと思っている。
ヨチヨチ歩きの赤ん坊が、目についたものを触り、かたっぱしから口に入れる。自分が食べたかったものが、たまたま手に入ったときの、赤ん坊の幸せな表情よ。若い高校生が、勇気を出して告白したあの人に、受け入れてもらえたときの、その喜びよ。
 
やらされた宿題よりも、好きな趣味の資料を調べることのほうが楽しいように、自分で見つけて、主体的に選んでいくことを、もっとみんなが増やしていけば、日本はもっと楽しくなると思うんだけど、この美しい季節が次から次へとやってくる環境に生きるぼくたちは、ちょっと待つのに慣れすぎている。
 
でも、そこを自覚して、さらにその上で、自ら選ぶことも増やしていけば、きっと世界中の誰にも真似できない境地に達することができるんじゃないかと思っている。
 
季節がどうもおかしくなってきている最近は、もしかするとぼくたち日本人にとってシフトチェンジのタイミングなんじゃないか? 少し立ち止まって、一歩引いて、流れてくるものではない、何かを、自分たちで選び取っていくことを始める時期なんじゃないかと思う。
ただ訪れる季節を超えて、変化は自分たちの手で作り出していくのだ。
 
<終わり>
***

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2018-09-19 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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