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共感力は必要なのだろうか?


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:zono(ライティング・ゼミ平日コース)

私は「共感力」がないと言われる……。
最初はそうかな? と思っていたが、自分でも共感力が足りないと思うことが多々ある。
その時は気がつかないのだが、過去を振り返るとそうだったのかも? と思うことがあるのだ。

つい最近もこんなことがあった。
毎週実施している1on1(1対1の個別の面談)でメンバーから「業務量が多く、自分の思うような働き方ができないと……。だから勤務体系を変更したい」という相談を受けた。
私は業務量自体がそれほど多いとは思っていなかった。
寧ろ本人の成長への期待からもっと仕事を任せたいとすら思っていたし、もっとできると思っていた。また、「最近ネガティブな発言が多く、出来ない理由が先行していてどうしたらいいかを考えてようとしない」という話を周りのメンバーからも聞いていた。

そういう背景もあり、相談があった際に私は業務量が多く、自分が思うような働き方ができないというメンバーに対して前向きにどうすればその課題を解決して自分の思うような働き方ができるのか? を考えて欲しいと思った。そうすることが本人の成長のためでもあり、組織のためにもなると思ったからだ。

私は解決策のいくつかを例として提案してみた。
・完璧や品質を追求するとキリがないので、ある程度の割り切りが必要なのでは? とか。
・1週間業務の記録をして、どこにどれだけの時間をかけているのか? 業務量を記録して、無駄 や改善ができるところがないかを探してみたらどうだろうか? とか

そして「まずは色々提案したことをやってみないか? その後また相談しよう」と言って1on1での相談を終えた。

「提案してもらったことをやってみたら、無駄なことがあることがわかりました。工夫することで自分の思うような働き方が出来そうです!」とポジティブな反応がしばらくしたら返ってくると勝手に思い込んでいた。

ところが、メンバーから返ってきた答えは「やっぱり、勤務体系を翌月から変更するように申請したいと思います」というものだった。「本人が決めたことなので、それを尊重したいと思うが、勤務体系の変更はいつでもできるから今期まで頑張ってみないか?」と再提案したものの本人の意思は変わらなかった。

勤務体系の変更は私の上長の承認が必要なため、上長にもその旨報告、相談をした。
上長は「私からも本人と話をしてみるよ」と言ってくれ、すぐに本人と話をしてくれた。
その結果本人から「もう少し頑張ってみます。今すぐに勤務体系の変更をするのをやめたいと思います」という報告があった。

私は、何があったのか? わからなかった。
ついさっきまで勤務体系を変更したいと言っていたメンバーが手のひらを返したように変更を取りやめると言っているのだ。

この話をうちに帰って妻にした。
仕事の話を家庭に持ち込むことはしないと決めており、普段話をすることはないのだが……。
詳しくは話せないこともあり、概要を話をした。
妻から言われたことは
「あっ、それ、普段から私が感じていること、言っていることそのものじゃないの?」と……。
「???? 何言ってんの?」と思った。
「だってさあ、私もいつも言ってるじゃん。ただ、話を聞いて欲しいだけで、解決策とか結論とかは要らないって」「話を聞いて、そうだね! って共感して欲しかったんじゃないの? 部長はそれをしたからそのメンバーの人は自分を理解してもらえたと思ったんじゃないの?」と。

確かに私は妻から最近、最初にこう言われるようになった。
「解決策とか、結論とかは要らないから……。ただ話を聞いて欲しい」と。
そう、私は家に帰ってからも話を聞く際に「何か課題を解決する」ことを前提に話を聞いていた。妻は話を聞いて欲しいだけなのに……。
毎回、これを繰り返しているので妻から「解決策とか要らない。ただ話を聞いて!」と最初に釘を刺されるようになった。
そう、釘を刺されているにも関わらず、私の思考回路は、どうしても「解決策」を求めてしまい同じ過ちを繰り返している。

同じ過ちばかりを繰り返している私はもともと、共感力がなかったのだろうか?
どうして私の思考回路はすぐに「解決策」を探すようになっているのだろうか? と考えると仕事ではまず、目の前の課題解決が求められるし、課題を自ら発掘してそれを論理的に提案説明することが求められる。説明の仕方も、最初に結論ありきで話すように訓練されてきた。

進化論的には「仕事をする上で必要とされる課題解決力を身につけるために、本来は備わっていたはずの「共感力」が退化した」ということだろうか? いやそれだけでない、私は「痛点がない」とも言われる。
この痛点がないことも私は「退化したのではなく、進化した結果痛点を失った」と言っている。どういうことかと言うと、「中間管理職として、上司と部下の間に挟まれ、時には理不尽なことにさえも対応しなければならない。日々の迷いやストレスは相当なもののはず。その中で自分自身を守るために感情を殺して環境に適用するようになったのでは?」と思っていた。
組織運営をしていく上で大事な「共感力」を失ってしまったのかもしれない……。

ただ、今回の件で私は共感力は必ずしも必要ないのでは? と思えるようになった。
人それぞれ違う価値観を持っている。だから、全てに対して共感できるということは嘘になると思う。だから共感力は必ずしも必要ないと思う。代わりに絶対に必要なものがあると思う。それは「受け止め力」だ。相手が感じていること、思っていることを素直に受け止めてあげること。
「辛い」と言われれば、「辛かったんだね」
「嬉しい」と言われれば、「嬉しかったんだね」
「しんどい」と言われれば、「しんどかったんだね」と相手が感じたことを素直に受け止めること。この「受け止め力」さえあれば、ただ聞いて欲しいというときでも傾聴できる。
私はこの「受け止め力」を身につけることによって人との関わり方が変わるように思う。共感するまでには至らないものの、受け止めてもらえたと思ってもらえることでうまくいくのではと思う。

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2019-02-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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