メディアグランプリ

「視える」ってどういうこと?


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【12月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:織巴まどか(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
私は職業のひとつとして、「タロット占い師」をやっている。
 
周りの仕事仲間や友人たちにも、「占い師」だったり「ヒーラー」だったり「エネルギーワーカー」だったり、そういった肩書きを持っている人が多い。
私自身も、占いの他に、ヒーリングやリーディングといった手法を用いたセッションをお客さまに提供することもある。
一般的に「スピリチュアル」だとか、「見えない世界」などと呼ばれる分野の業界に私は身を置いている。
 
誰かに自分の仕事の話をすると、様々な反応が返ってくる。面と向かって「何それ怪しい!」と眉をひそめられることは、意外にも少ないように思う。(その後そっと距離をおかれたりひそひそと裏で囁かれたりはしているかもしれない)多いのは、「ふーん? よくわからないけど、そうなんだ」と無関心に流されるパターンと、「へえ! それってどんなかんじなの?」と半信半疑でいろいろと聞かれるパターン。後者においては、大体決まって次の質問をされる。
 
「じゃあ、霊感とかあるんだね?」
「幽霊とかオーラとか、“視える”人なの?」
 
これは、とても答えに困る質問なのだ。
同業の仲間たちに尋ねてみても、この質問をされたことがない人はほとんどいない。そして質問されたことのある仲間は皆、口をそろえて「なんて答えていいか困るよね……(笑)」と言う。
 
霊感。
視える。
 
質問者の期待を裏切ることになるのかもしれないが、
いちばんチャラいテンションで答えるならば、
 
「霊感? ありますよー! 私にも、あなたにも、誰にでも!」
 
というかんじだろうか。
 
そう。霊感というのは、別に誰にだってある。ない人なんていないのだ。
人間の基本的機能として備わっている、とでもいうのだろうか。
 
イメージとして近いのは、
「あなた、絵が描ける人なの?」
とか
「歌が歌えるんだね!」
と聞かれているようなものだと思ってほしい。
 
(身体的な理由を除いて)絵が描けない人や、歌が歌えない人はいない。
2歳の子供にだって、100歳のおばあちゃんにだって、絵は描けるし歌は歌える。
 
ただ、私(ど素人)の「絵が描ける」レベルと、美大生の「絵が描ける」レベルと、レオナルド・ダ・ヴィンチの「絵が描ける」レベルは、当然違う。また、漫画家の絵の上手さと抽象画家の絵の上手さのベクトルも全く違うものだろう。
誰もが歌を歌うことはできるが、すべての人がオペラ歌手やマライア・キャリーのように歌えるわけではない。
そんなイメージだ。
 
いわゆる「霊感」と呼ばれる類の力は、私たちの業界の解釈で説明すると、潜在意識の深い領域からやってくる情報を受け取る力ということになる。潜在意識の深い領域とは、という話は長くなりすぎるので割愛するが、簡単に言うと、いわゆる「直感」や「予感」といった感覚の延長線上にあるもので、それを全く使わずに生きている人はいない。というのが、私の捉え方である。
 
この霊感的な力と絵を描いたり歌を歌ったりする力というのは似ていて、
分解すると、
・生まれつきのもの
・知識やスキル
・実践経験
の掛け合わせだと思っている。
 
この業界には、生まれつき霊感が強かった、小さい頃から幽霊や天使といった存在が視えていた、という人も多い。
それは、特に習ったわけでもないのに絶対音感を持っていたり、見たものをそのまま絵に描ける人がいるのと同じようなものだ。ちなみにそういう意味では、私には生まれつきの霊感というものは全くない。
 
絵を描く力や、歌を歌う力は、知識やスキルにも左右される。プロの画家を目指す者は、大抵は専門的にデッサンやパースの取り方、画材の扱い方などを学ぶ。プロの歌手を目指す者は、ボイストレーニングを受けて、正しい発声の仕方や表現方法を学ぶだろう。同じように、ヒーリングやリーディングと呼ばれる見えないエネルギーを扱う分野にも一定のメソッドというものが存在していて、私は後天的にそれらを学んで身につけたクチだ。
もちろん、正確なデッサンで描かれた絵や正確な音程で歌われた歌だけが必ずしも人の心を打つわけではないのと同様に、メソッドだけでは人を癒やすことはできない。
 
そして、日常的にほとんど絵を描いたり歌を歌ったことがない、という人と、絵や歌が好きで毎日描いたり歌ったりしている、という人では、やはりその力に差は出てくるだろう。同様に、霊感や「視る」力というものもまた、繰り返し使うことで、磨き育てることができるのだ。
 
結論を述べると、霊感や「視る」力というものは、それ自体は誰もが元々持っている。生まれつき自然に使う人もいるし、意識的に学んで伸ばしていく人もいる。プロになれるレベルまで力を発揮できるかどうかは、たしかに個人差や向き不向きもある。ただ、やろうと思えば誰にでも使えるようになる。そういうものなのだ。
 
だから、霊感なんてものは、本来は選ばれた特別な人だけが使える力でも、なんでもない。
 
たしかに、私たちは、仕事として守護霊と話したり、天使からのメッセージを伝えたり、旅行先からついてきてしまった良からぬ霊的エネルギーを光に還したり、している。でも別に私個人は肉眼で幽霊やオーラが視えるわけではないし、いきなり脳内に直接話しかけられたりしたこともない。「やろう」と思って、意図的にその情報にアクセスしに行く、というのが近い感覚だ。
 
正直なところ、同業者や自称「わたし、視えるんですぅ!」という人をみて「あの人は上手いなあ」とか「あのやり方はちょっとなあ……」などと思うことも、ある。見えない世界は、現代科学や医学の範疇ではないだけに、怪しいやり方や怪しい人が多いのも残念ながら事実だ。
 
ただ、世間一般の「視える」イメージというと、例えるならば「レオナルド・ダ・ヴィンチレベルで絵が描けないと本物じゃない!」とか、「歌手は全員マライア・キャリーのように歌うはず!」くらいのハードルの高い想像をしているのではないかと思う。
 
決してそんなものではないよ、と言いたい。
 
レオナルド・ダ・ヴィンチの絵やマライア・キャリーの歌だけが、人を感動させるわけではない。
 
別の例えを使うなら、それは「世界に5人しかいない心臓のバイパス手術ができる外科医でないと、本物の医者と認めない」ようなものだ。世界に5人のゴッドハンドは紛れもなくすごいが、風邪やねんざを治すのにゴッドハンドはいらない。それよりもすぐにかかれる近所に信頼のおける町医者がいてくれる方が良い。もっと言えば、軽い初期症状なら自分で治せる知識や腕があるとなお安心だろう。
 
そんなわけで、私個人としては、「興味があるなら、学んでみたらいいよ!」と思っている。学び先さえきちんと選べば、そんなに怖いことも怪しいこともない。意外と簡単にできて拍子抜けするかもしれないし、ひょっとしたらあなたの隠された才能が開花するかもしれない。
 
 
 
 
***
 
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
 
http://tenro-in.com/zemi/102023
 

天狼院書店「東京天狼院」 〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F 東京天狼院への行き方詳細はこちら

天狼院書店「福岡天狼院」 〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階

天狼院書店「京都天狼院」2017.1.27 OPEN 〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5

【天狼院書店へのお問い合わせ】

【天狼院公式Facebookページ】 天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


2019-11-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事