メディアグランプリ

【資格取得の旅に出る人に伝えたいこと】


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:ちえこ(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
私は自宅を事務所にして行政書士として働いている。今でこそどうにか形になっているが、勉強が難しくて資格を取るまでとても時間がかかったし、仕事もかなり骨がある。
これから資格試験にチャレンジする人は、どんな資格にしてもいろいろ調べたりするだろう。調べるなら実務家に会ってとことん聞くことをお勧めする。でないと私のようにとんでもない遠回りをするから。資格を目指す人たちに参考になればと思い、私の体験を書き記すことにした。
行政書士の資格を取ろうと決めたのは、夫の勤務する会社が倒産するというニュースが飛び込んできた時だった。20年ほど前のことだ。夫は会社の清算業務に関わることになったため、すぐに失業するということはなかったが、当時専業主婦だった私は、この先どうなるのだろうと目の前が真っ暗になった。夫は清算業務に追われて、就職活動もままならない。子供達二人を抱えて不安しかなかった。子供達のために家庭に入ることに決めたのだけれど、これから先、自分が家にいるだけなのは危ないなと感じた。
当時、希望する事務職の求人条件には年齢の上限がつきもので、私の再就職はもうほとんど不可能に思えた。私は無謀にも「年齢制限のために働けないのなら、資格をとってそれを元に再就職して、経験を積んだら自分で事務所を開けばいい」と考えて、資格を取ろうと決めた。そんな時朝刊についてきた通信教育のチラシや雑誌の広告で行政書士という資格の存在を知った。国家資格系の入口で比較的すぐ取れるかのような印象と、独立開業に向いているというだけで、行政書士の資格に決めてしまった。焦って、いてもたってもいられなかったのだ。
私は結婚退職してから13年間家にいて、毎日子育てに追われていた。ほとんど新聞も読まず世間知らずだった。今考えるとまったく無茶だった。旅行なら行きたい場所が決まったら誰だってまずプランを立てる。日数によって見逃せないスポットをまわるルートや泊まる場所くらいは決めるものだ。ところが、どうにか仕事を始めなければと焦っていた私は、法律系の資格でしょというくらいの知識で、すぐに通信教育に申し込み、資格取得への道へ踏み出してしまった。
 
子供達だけで留守番させられなかったとはいえ、通信教育を選んだのがまた遠回りの原因になった。法律系の本なんて学生時代に憲法と労働法を少しかじっただけだったから、送られてくるテキストの内容は外国語か呪文みたいで、ほとんど何が書いてあるかわからないのだ。まさに、ノープランで言葉のわからない海外旅行に出てしまったようなものだった。大学で本格的に法律を勉強した人なら別だが、初学者なら学校に入った方が間違いなく早く合格できる。もし体験談などで、「独学で」「通信で」「半年で」と書いてあっても、その人はとても優秀だからだと思った方がいい。旅行なら、多少言葉が通じなくても、それはそれで楽しめるしワクワクもするが、資格取得への旅に不安はいらない。目的地が遠く初めての未開の場所なら、添乗員がいた方が安心で確実だ。
 
結局、通信教育では2年間結果を出せず、3年目に法律系専門学校に入学して勉強し直し、翌年ようやく行政書士に合格できた。そして子供が大きくなるのを待って、再就職する事ができたし、経験を積めたおかげで、今は自宅で行政書士事務所をひらくことができた。その間、夫の方が先に次の就職先が決まった。収入が途切れなかったおかげで、私は長い旅を続けることができた。これは本当に幸運だった。
また、ようやく取れた資格だが、行政書士という仕事がどんなものかもあまりよく調べていなかった。資格を活かしてどんな仕事ができるのか、旅の最終目的地ではどんな景色が見られるのかもよくわかっていなかった。そのために、事務所を軌道に乗せるのにもとても時間がかかってしまった。最終目的地のイメージができていれば、勉強しながら情報を集めて、実務経験を積むための準備ももう少しできたかもしれないと思うと、少し悔しい。
私が勉強を始めた頃は、バブル崩壊で「資格さえ取ればどうにかなる」という風潮があり、どこの学校もサラリーマンや学生で溢れていた。しかし、資格は実務ができて始めて活きてくる。お客さんをつかまえて、その人のために仕事ができなければ意味がないし、お金も稼げない。資格を取ったからといって、すぐに仕事が取れるほど甘くはないのだ。仕事が取れなければ、資格はリビングルームに置いたただのオブジェになってしまう。
 
これから資格を取ろうと思っている人には、学校や広告の話を鵜呑みにせず、取得までのルート、仕事の内容や運営方法など、よく研究してから行動に移して欲しい。そして、これと決めたら、自分に合う学校で頑張って欲しいと思う。
 
 
 
 
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2019-11-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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