メディアグランプリ

コンテンツも、相乗効果する?


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:鳥井 春菜(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
『鬼滅の刃』にハマること――それは、同時に私のアニメ生活の始まりともなった。
一世を風靡中のこの作品だが、私はダイジェスト版をきっかけに「面白い!」となり、劇場版鑑賞に備えてアニメ全話を復習しておくことにしたのだ。もともと漫画派の自分なので迷ったが、「アニメ版は戦闘シーンが見応えがあるし、豪華声優陣で作られている」というフレコミもあって原作漫画ではなくアニメを鑑賞することに決めた。
アニメは小学生以来あまり見ていなかったが、これが見始めるとどうにも止まらない。あっという間に『鬼滅の刃』全話を見終わってしまった。なんとなく寂しくて、姉からお勧めされていた他作品に手を出したのが運の尽き。本編からスピンオフまで一通り見終わると、次は自ら話題の他作品に手を伸ばすことに……アニメそのものにハマってしまったようだ。
 
アニメに対しては、なんとなく自分のテリトリー外のような気がしていた。
子供の頃のように毎週同じアニメを見る習慣はいつしかなくなっていた。実はドラマも同様の理由で苦手意識があるのだが、毎週一定の時間をそのコンテンツに費やすことが決められている、というのがあまり得意ではないのだ。本や漫画だと好きなスピードで読み進められるし、中断したいときにはすぐに中断できるから好きだ、というのが持論だった。
ところがどうだろう、Netflixでアニメを見始めると、配信が溜まっている分はついつい一気見してしまうし、イントロやエンディングを省けば1話20分程度なのでさくさく進んでしまって、「映像作品は話が進むのに時間がかかってもどかしい」という概念は払拭された。私は早く続きを見たいのにそれが数ヶ月に引き伸ばされて切れ切れに見せられる、というのが苦手なのであって、サブスクリプションという一気見が可能な環境では、アニメも楽しく見れてしまうようだ。なんということだろう、これまで損をしていたかもしれない……だって、瞳や髪先への感情の込め方、見せ場のキャラクターの動き、声の抑揚やセリフの読み方、カットの切り替え方など、アニメは見ていて面白いところがたくさんあるのに。
 
思えば、コンテンツについて「これって、結構面白いじゃん!」という体験をここ数年よくしている。エッセイを初めて読んだのも社会人になってからで、これまでは他人の個人的な話なんて興味がないと思っていたのに、誰かの中身をさらけ出されることの面白さやそれによって自分も救われることがあると知った。啓発書やビジネス書の類も「自分は選ばないもの」としてスルーしていたが、読んでみると共感・納得して自分の頭の中が他人の手によって整理されていくような感覚があった。フィクションを読むことが多かったが、ノンフィクションを知れば、「それが自分と同じ世界で起きていることなんだ」というだけで強く好奇心を刺激されることに気がついた。
 
これまで、あまりに偏食だったのかもしれない。自分が好きなのはこれだ! という意識をもつことは悪いことではないけれど、そのせいで他のものを安易に切り捨てていたとしたらとてももったいないことをしていたなと思う。最近ようやく、様々なジャンルのものに触れるようになって、自分の中で選択肢が凝り固まっていたのかも、と感じる。
 
私が忘れられない言葉に「味の相乗効果」というものがある。
小学生の頃、家庭科の授業で習ったのだが、味噌汁をつくるときに出汁を一つの素材からではなく、カツオと昆布というように二種類使うことで相乗的に味に深みがでるのだそうだ。その時、単純に1+1=2ではなくて、掛け合わせの効果があるのだと聞いていたく感動しだ。
そういうことがコンテンツにおいても言えるのかもしれない。小説、漫画、アニメ、ドラマ、エッセイ、ビジネス書、ノンフィクション……様々なジャンル・形式のコンテンツにはそれぞれ違った持ち味がある。各々の特長や面白さを知った私は、いつしか「今日の晩ごはん何にしようかな?」と迷うようにその時の自分の気分にフィットするものを選ぶようになっていた。そして、それらは私の中で混ざり合って、ぐっと深みを増しているようにも思う。小説や漫画ばかりを読んでいた頃よりも、今のほうが「違い」をもとにそれぞれの味わいが引き立って、それらが混じり合って作り出される自分の思考が好きだ。
 
最近、年上の方から若い頃の話を聞く機会があり、私達は“コンテンツあふれる時代”に生きているのだなぁと思った。スマホなんてなくてポケットに小銭を詰め込んで公衆電話で恋人と長電話し、初めて触れたパソコンは一画面進むのにかなりの時間を要したという。それに比べて私達は、サブスクリプションで好きな映像作品や音楽を見聞きし、電子ブックでいつでもどこでもコンテンツを買うことができ、実物がほしいならアマゾンでワンクリックすればいいのである。
手を伸ばせば様々な味わいのものがすぐ得られる。それを手に取るか取らないかは、もはやこちらの度量だ。もっと好き嫌いなく食べてみるべきだろうし、それらはきっと相乗効果を発揮して、もっと美味しく混じり合うと思う。それに、様々な味を知ることは選択肢が増えることで、自分の自由が広がることだ。今の時代、自分に選ぶ力さえあれば、多様なコンテンツを通してどんな知識も感情も手にできて、限りなく自由だ。私はいつでも自分が求めるものが分かりたいし、その食欲を満たし、自分を広げていきたい。だからこそ、先入観は捨てて色々なものを手にとり、それぞれの味わいを深く知っていきたいと思う。
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。
 


 
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325


■天狼院書店「シアターカフェ天狼院」

〒170-0013 東京都豊島区東池袋1丁目8-1 WACCA池袋 4F
営業時間:
平日 11:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
電話:03−6812−1984


2020-11-15 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事