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早期退職を考えたとき、忘れがちな「アナザーキャリア」

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:射手座右聴き(ライティング・ゼミ超通信コース)
 
 
「この年齢、このキャリアで、今から転職先ありますか」
4,50代の方からのご相談が多くなりました。
私は、国家資格キャリアコンサルタントとして個別の相談を
お受けしているのですが
毎週1、2名の方から依頼をいただきます。
 
早期退職の募集が増えたことなどをきっかけに
今後の進路について
一度立ち止まって考えるようです。
 
そして、この質問、なかなか答えづらいものがあります。
聞いてくる方は、ざっくり感触を知りたい
自分の市場でのニーズを知りたい、という欲求でしょうか。
 
私はこう返します。
「転職できるか、どうか、が気になったのは、何かあったんですか」と。
 
様々な答えが返ってきます。
「早期退職の募集が始まった」
「関連会社に出向を打診された」
「役職定年が近づいて、異動を打診された」
などなど。
 
会社での仕事が、いままでとは違ってきそうだ。
というタイミングであることがわかります。
そして、新たな環境で納得できるのか、考え始めたのだなとも理解します。
 
「早期退職しても、キャリアアップをする方法があるかどうか知りたくて」
「いままでの自分のキャリアで、この出向先というのは、妥当なのかどうか
知りたくて」
「転職エージェントに頼んだら、このキャリアでどんな仕事を持ってきてくれるかなと思って」
 
などなど。現状に納得がいっていない。だから転職を検討したい。
そして、キャリアにはある程度の自負がある。ということですね。
 
となると次に気になるのは、これです。
「では、どんなところに転職したいですか」と。
 
これが、ですね。意外と答えが曖昧なんです。
「もっとやりがいがあるところ」とか
「新しいこと挑戦したい」とか
「まだ自分には何かできそうな気がする」とか。
 
あれ?
どうしたのでしょうか。
転職どうなんだろう、と関心はあっても、急に具体性を欠きませんか。
さっきまでご自身のスペックを語っていたのに。
 
そこで聞いてみます。
「実際に転職活動はしていないのですか」
 
「はい。転職サイトに登録して、一応職務経歴書だけは書いてみました。
ただ、どんな職種がいいか、まではわからなくて。いままでの延長がいいような。新しいことをしたいような」
 
数十年のキャリアがあるのに
キャリアの棚卸しをしてみたのに、わからない。
なぜでしょうか。
 
答えは、簡単です。
 
忘れていることがあるのです。あたりまえのことを。
 
いままで、キャリア、と思っていた物以外に
「もうひとつのキャリア」が存在することを。
 
それは、
自分がどうしたいのか。仕事に何を求めているのか、ということ。
これが「もうひとつのキャリア」こと「内的キャリア」です。
 
私が勝手に言っているのではありません。
 
エドガー・シャインというマサチューセッツ工科大学の教授にして
組織開発やキャリア開発を研究してきた心理学者が言っているのです。
 
人のキャリアは2つに分かれるんだそうです。
 
ひとつは外的キャリア。仕事の内容や実績、組織内での地位などです。
これはまさに、職務経歴書の内容ですね。
この外的キャリアの実績の延長戦に転職先を見つけていくこともできます。
特に2,30代ならば。採用する側も実績の延長に期待するわけです。
しかし、4,50代で転職を考える人の場合
この外的キャリアに満足な方ばかりではありません。
そもそも満足であれば転職を考えない傾向にあるはずです。
 
そこで、「内的キャリア」の登場です。
 
内的キャリアは、主観的な側面が強いものです。
仕事上の価値観、やりがい、成長などが挙げられます。
いくら外的キャリアが充実していても、仕事が好きになれなかったら
働いていて楽しくないですよね。
シャインは、こういった側面にも焦点をあて
これもキャリアである、と考えたのです。
 
とはいえ、4,50代になった方々は思うでしょう。
いまさらこんな話照れ臭いと。
やりがい、成長、そんなものは、新卒か第二新卒が使う言葉だ。
 
あるいは、仕事の成果こそが、自分だ。
そんな風におっしゃる方もいるかもしれません。
 
でも、いくら成果があったとしても、成果を評価してくれる企業さんがあったとしても、ご自身の希望がはっきりしていなければ
転職の判断ができるでしょうか。
 
もちろん、条件は大切です。
何歳まで働けるのか、仕事内容はどうか、社風は、給料は、と注意深く検討しなければなりません。
 
が、しかし、
入社してみたら、違っていた、なんてことだってあり得ます。
 
そんなとき、拠り所となるのはなんでしょうか。
 
そう。ご自身です。ご自身の価値観がはっきりしていれば
自分の選択を判断できますね。
 
だからこそ、内的キャリアなのです。
 
そうか。わかったけど、内的キャリア、どう見つければいいの。
 
いきなり、やりがいは、価値観は、と聞かれてもわからないよ、と。
 
いい方法があります。
 
まず、目をつぶってください。
イメージして欲しいのです。
 
あなたは、今、満員のスタジアムにいます。
数万人の観客があなたの仕事に興奮し、称賛し
スタンディングオベーションをしています。
 
これから始まるのは、ヒーローインタビュー。
好きなインタビュアーを想像してください。
その方が、あなたに質問していきます。
 
もちろん、主役はあなたです。
「○○さん、数十年のお仕事の中で、印象に残っているスーパープレイを教えてください」
 
あなたは、過去を思い出して答えます。
途端に拍手。歓声が起こります。
 
インタビュアーがさらに尋ねます。
「今回のスーパープレイの影には、どんな努力や工夫をしましたか」
 
じっくり思い出して答えてください。
 
チームのまとめ方、信頼の積み重ね方、進行管理などなど
自分流の工夫を思い出して言葉にしてください。
 
さらに拍手が起こります。
中には感動のあまり泣いている人も。
 
そして最後の質問です。インタビュアーもテンション高めです。
「最後に、このスーパープレイから、ご自身が学んだことはなんですか。
教えてください」
 
嬉しくなったあなたは、ご自身の言葉で熱く語ります。
 
「自分からチームを信じ、まかせること」
「人の立場を想像すること」
「苦しいときこそ、あきらめないこと」
 
などなど。
 
はい! これが、あなたの大切にしている仕事観です。
つまり「内的キャリア」のかけらです。
 
価値観がわかった今、さあ、何をすべきか、あらためて
考えてください。
 
今の会社で何かできるのか。転職するとしたら、どんなことをしたいのか。
内的キャリアを意識しながら考えるとき
スペック以外のことが見えてくるはずです。
 
価値観で見た時
生活や家族、趣味、といった仕事以外の面も見えてきませんか。
 
気づきましたか。
4,50代の転職は、仕事だけじゃない。
セカンドキャリアの始まりでもあるのです。
 
これからの人生をどう生きるか。
数十年コツコツと、外的キャリアを積み重ねてきたからこそ
照れずに、内的キャリアを見つめることで
人生の視界が変わってくるのではないでしょうか。
 
スタジアムは消え、大きな山の上から、雲が少しずつと開けて
その先に連なる美しい景色が見えてくるのではないでしょうか。
 
そこから見た時、早期退職、出向、異動、目の前の出来事は
どう見えるのでしょうか。
 
どこに進んでも、あなたの自由。
この広がった世界を
胸を張って前に進んでみませんか。
 
周りに左右されない、自分が心から想う道を。
 
 
 
 
*参考 キャリアカウンセリング/宮城まり子 駿河台出版社
***
 
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2021-07-17 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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