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苦手を乗り越える母親の教え


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:早藤 武(ライティング・ゼミ超通信コース)
 
 
「どんなに苦手なことでも、乗り越える道がどこかにあるはずよ」
 
これは私が小さな頃に母親が、私に教えてくれた大切な言葉のひとつです。
 
私は小さな頃、気がつけば勉強がとても苦手でした。
特に小学校2年生から習う掛け算の九九がどうしても暗記できずに、連日放課後まで居残りを経験していた子どもでした。
その時をきっかけに勉強が苦手なのかもしれないと思うようになってしまいました。
 
特に周りにいる同級生たちが、スイスイと課題をクリアしていくのを見ると余計に焦りの気持ちが出てくるのです。
 
「どうしよう。頑張っているのに全然覚えられない」
 
学校の先生も暗記の練習に付き合ってくれていましたが、なかなか全ての九九を身につけることができませんでした。
 
その日はまた宿題として暗記してくることを先生からお題を出されて家に帰りました。
 
「頑張ってもできない勉強はつまらなくて嫌だな」
 
家に帰るまでに今日あった話を両親にどう話そうか迷いました。
勉強ができなくて怒られるのではないかとハラハラしました。
 
「お帰りなさい。今日はいつもより遅かったのね」
 
家に到着すると母親がお夕飯を作っていたところを中断して、玄関まで顔を見に来てくれたのです。
 
「お母さん、ただいま。帰りが遅くなってしまってごめんなさい」
 
母親はにっこり笑って、返事をしてくれました。
 
「もうすぐご飯できるから手を洗っていらっしゃい」
 
背負っていたランドセルを部屋に片付けて、手を洗ってきて台所まで行って出来上がってきたご飯を盛り付けるお手伝いを始めます。
 
「ありがとう! 学校で頑張ってきたのにお手伝いしてくれて助かるわ」
 
お手伝いしたことが褒められたことがとても嬉しく感じました。
 
お腹が減っていては今日出された宿題を乗り切る力も出ないと思い直して、母親が作ってくれたご飯を美味しく食べることにしました。
 
ご飯が食べ終わる頃に、学校の勉強で算数の九九を覚えることができずに宿題を出されたことを母親に話しました。
そして、いつまでも覚えられないので自分は勉強が苦手なのかもしれないという不安な気持ちも話しました。
 
「苦手だと思うことはどんなにすごい人にだってあるのよ。あと今は苦手でも勉強はちゃんとみんなのようにできるようになるから大丈夫よ」
 
母親の言葉を聞いて、視線をあげるとさらに母親の話の続きを聞きました。
 
「どんなに苦手なことでも、乗り越える道がどこかにあるはずよ」
 
母親はにっこり笑って、言葉を続けます。
 
「だから諦めないで頑張ってみましょう」
 
私はまず母親に学校の授業で苦手に感じている九九の暗記をどうやって覚えようとしたかを話しました。
 
教科書に書いてある五の段から始まり、ひとつの段を集中して読み上げます。
読み上げたことを今度は何も見ないで全部言えるかを課題として出されて、全部言えたらクリアとなります。
 
「よく頑張って今のところまで覚えたのね。そしたら今度はもっと覚えられるように秘伝の技を教えてあげるわね。段々楽しくなってくるわ」
 
母親は真っ白なノートを持ってきて、五の段を口で話しながら鉛筆で書き始めました。
 
「こんな風に、声に出しながら九九をノートに書いてみて。1回で覚えられなかったらもう1回書いていくの。おばあちゃんに教えてもらった方法でどんなことも20回は繰り返して声に出して書くと覚えられるのよ」
 
私は母親が見本でやってくれたようにノートに九九を何度も声に出しながら書き込んで練習していきました。
昔、おばあちゃんが母親へ教えてくれたように20回も書き出さないうちに効果を感じられるようになってきたのです。
教科書を見ないでも九九が言えるようになるまで10回はノートに書いたでしょうか。
今まで覚えられなかった九九が言えるようになったきた手応えを感じて楽しくなってきました。
 
「お気に入りのノートとか鉛筆を使ってやるともっと楽しくできるようになると思うわ。良かったら今からでも使ってみたらどうかしら」
 
母親のアドバイスを受けて、途中からお気に入りのキャラクターが描かれた鉛筆を使って勉強の楽しさがさらに増しました。
宿題に出されたところを終わる頃には、学校の帰りに沈んだ気持ちはどこかにいってしまったようでした。
 
次の日に学校へ行って、九九の課題を見事クリアすると先生は驚きながら頑張ったねと褒めてくれました。
 
苦手だと思い込んでいた勉強もやり方を変えることで乗り越える道を見つけることができました。
周りの人の知恵を借りて、覚える方法を変えてみたり、お気に入りのノートや鉛筆を使って勉強に取り組んでみたりすることで乗り越える別の道を見つけることができたのです。
 
「どんなに苦手なことでも、乗り越える道がどこかにあるはずよ」
 
苦手なことに道を阻まれると気持ちがしおれてしまって、いつもの力が出なくなることがあるかもしれません。
そんな時に母親が教えてくれた言葉が一歩進むための背中を押してくれます。
 
今日も苦手だなと感じたり、面倒だなと思える課題に当たってもお気に入りのペンやノートで知恵を振り絞って、乗り越える道を探しています。
 
 
 
 
***
 
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2021-07-17 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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