成長に必要なのはMから始まるあの言葉だと思う
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:内藤 睦(ライティング・ゼミ超通信コース)
また猛暑の季節がやってきた。
普段は2人の子どもと私が一緒に寝ていて、旦那が一人で寝ているが、この時期はそのスタイルが変化する頃だ。
私は昔から冷房をつけて寝ると熟睡できない。たとえ汗をかいても冷やしすぎない方がよく寝られる。かたや旦那は温度と湿度に敏感で、夏場は寝室の冷房を思いきり利かせる。
子ども達の体質はそれぞれを受け継いだようで、上の子は私と一緒に汗をかきながら寝るが、下の子は汗をかくような環境では必ず寝言でうなされる。
そのため、夏場は下の子と旦那と一緒に寝ることになる。
思えば私はけっこう暑さに強かった。
今でも思い出す、小学校六年生の夏。私は中学受験を控え、夕方から塾に行くか友達と遊ぶかする以外は、ほとんどずっと家で勉強していた。
勉強自体はそれほど苦にならなかった。というか、楽しかった。やればやるほど、できるようになっていく。わからない問題があっても、間違える問題があっても「絶対覚えるぞ。絶対わかるようになるぞ」となぜか妙な気合と自信があった。
そしてそのハイテンションは勉強以外でも発揮された。暑い最中に、「ずっと勉強していると身体がなまるから」と、なぜか、外に飛び出して縄跳びを猛烈にしたり、「汗をかく方が体を鍛えられる」となんか妙な根性論で、冷房をしばらく切って汗だくになって勉強したりした。
なんだろう。それが楽しかったのだ。そして「やるぞー」というハイテンションを維持していた。
なんだろう。マゾだったのだ。
そしてその勢いのお陰だろう、見事第一志望に合格できた。
それからウン十年。
あの頃のハイテンションはどこへやら、私はアラフィフの2児の母親となり、すっかり大人しく、チャレンジしないおばさんになった。
最近子ども達に思い出させてもらったのが「痛み」。
7歳と5歳の子ども達は、乳歯が生え変わって永久歯になる「歯の痛み」と、ちょくちょく体の痛み、いわゆる「成長痛」を訴える。
どちらも子どものその時期特有のもので、すっかり忘れてしまっていた。
でも子ども達は乳歯が生え変わる時の歯がグラグラする頼りなさ、歯が抜けた後もしばらく続く嚙みにくさを訴える。
成長痛も、日によるが夕方から夜になると出てきて、寝る前に「痛いよう」とヒイヒイ泣いたり、夜中に痛くて泣きながら目覚めたりする。
そのたびに「かわいそうに。大変だね」と声をかけ、食べ物を細かく切ってあげたり、痛がる関節をさすってあげたりする。
そうやって思い出す。「大人になることは痛みが伴うものだったのだ」と。
こちとら大人になって数十年。最近痛みを感じただろうか。
時々、料理中に包丁で傷を作ったり、重い物を持って足元が見えず、つま先をぶつけてしまったりといった痛みに遭うことはあるが、数えるほどである。
そうだ。あと、最近こどもにつきあって縄跳びしたら100回も跳べなかったのに、翌日筋肉痛が出た。久しぶりの筋肉痛だった。
回数は減ったのに、いや、減ったからこそ、ケガや痛みを感じる時は「痛い、痛い」と連発する。
昔はここまで痛みに弱かったのだろうか。もっとしょっちゅう走っては転び、擦りむいたり血を出したりしていて、痛くてもあまり気にしていなかったような気がする。
でも今は避けられる痛みは避ける。
そして避けられる辛さや苦労も避けようとする。その方が余力を残せるから。
そう、私はいつの間にか、仕事する時も、子どもと向き合う時も、いつもルーティンワークをするための余力を残すことを優先するようになってた。全力で何かをやるということを避けるようになっていた。効率優先で、チャレンジしなくなった。
それは大人としてある意味望ましい態度なのかもしれない。
痛みも、辛さも、苦労もできるだけせずに、パワーと体力を温存することが、平均寿命であればもう折り返しを過ぎたところにいる大人としてあるべき身の処し方なのだろう。
でも。その状況で私は成長できているのだろうか。
成長痛は痛い。でもその痛みの後、成長する。
ケガは痛い。でもその痛みの後、もうケガしないようにしようと気をつけるようになる。
筋肉痛は痛い。でもその後、筋肉が成長する。
大人になって忘れてしまっていたけれど、痛みの後に、成長が存在したのだ。
痛みがあったから、成長したのだ。
大人になると痛みを選ぶことができる。
どんな時に痛むか予想もつく。痛みを回避できる。
だけどそれで成長するのか?
いつまでも成長するために、時には痛い思いをしたい。
あの夏、私は暑さだけでなく、辛さや痛みを受け止めるエネルギーがあった。
「それを乗り越えてやるぞ」と思えるパワーがあった。
そうだ、成長するために必要なもの。それはマゾな気持ち。
痛みを歓迎する力を私はずっと持ち続けたい。
***
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