出口汪の現代文で始まった僕の人生
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記事:村人F(リーディング倶楽部)
「人生を変える本との出会い」
こんな経験をできる人は、今はほとんどいないかもしれない。
そもそも本を読む人が少なくなったからだ。
スマホを開けば動画やゲームなど、面白いことで溢れている時代だから、文字だけで想像力が無いと理解できない本は敬遠されがちになるのも頷ける。
そんな現代において、人生を変えたと断言できる本と出会えた僕は幸運だった。
しかもその本が「現代文」、国語の授業で何年も習っているに何をしているのかわからない。
あの科目の参考書だというのは、本当レアなケースでは無いだろうか。
しかし、その本は確かに僕の人生を変えた。
いや、むしろそこから人生が始まったと言っていいかもしれない。
「出口汪のメキメキ力がつく現代文」
本書からは、それくらいの影響を受けている。
「出口汪のメキメキ力がつく現代文」は全6冊からなる現代文の参考書だ。
作者の出口 汪(ひろし)さんは現代文業界でカリスマと呼ばれる、林修先生が有名になる前から伝説になっていた予備校の先生だ。
そんな彼の1年間の講義をそのまま書き起こしたのが本書である。
この本の特徴は、彼の熱量、これが強烈にブチ込まれているところである。
参考書でミリオンセラーを叩き出した1番脂の乗った時期に書かれた本だったからか、その勢いが全面に出されていたのである。
それは漫画やゲームの比にならないくらい面白かった。
高1の時に出会ったけど、一気に最後まで読み切ってしまったのを覚えている。
そしてこの本に書かれていた一言。
これが僕の人生をスタートさせたのだ。
「勉強は遊びなんですよ」
そう、このフレーズから価値観が一気に変わったのだ。
これに出会うまで勉強は学校でやらされるもので、やらなきゃいけない義務みたいなもんだと思っていた。
だから、つまらなくてもやらなければいけない。
そういう感情を持ってしまい、勉強が嫌いだったように思う。
そのため、この一言を見た時に衝撃を受けたのだ。
勉強で知識を手に入れること自体が快感であり、それだけで十分面白い。
こういう胡散臭い言葉が本当のことだと、彼の講義は証明していた。
あの本に書かれている現代文の問題はどれも刺激的だった。
「風邪熱談義」という評論文は、風邪の熱で寝込むことの素晴らしさを述べたものだ。
しまいには「現代でもっとも健康的なレジャーは風邪熱だ」と言い出すぶっ飛んだ内容だったが、これのおかげで風邪を引いてもニヤニヤしながら過ごすことができるようになった。
僕たちが日頃抱えているモヤモヤを言葉にしてくれる文章もいっぱいあった。
ものを生産することが正義となったが故に生まれた行き詰まり感。
そういうカオスを解き明かす問題に溢れていたのである。
この本で出会った数々の文章は僕の中で思考のベースになっている。
これらは勉強が面白いということを確信させるには十分なクオリティだった。
本書が教えてくれたのはそれだけではない。
勉強を楽しむための最大の武器。
これも授けてくれたのである。
それは「論理的思考力」
就活生やらビジネスマンが様々な本を読み漁って求めている、この能力だ。
実は現代文で身につけることができる力こそ、論理的思考力なのだ。
本文の内容を解析し、論理の力を持って正しい答えを導き出す。
あの「作者の気持ちを答えなさい」といった問題は、この能力を鍛えるための問いだったのだ。
そして、本書にはそのエッセンスがたっぷり詰められている。
彼の解説は論理的な読み方を体現していた。
何を言っているのかわからない難解な入試問題。
これも彼の手にかかればわかりやすく、それでいてエッセンスを十二分に引き出したエンターテイメントに変わる。
頭のいい人はこんな感じに文章を読み解いていくのか。
それを追体験できる本書の内容はとてもエキサイティングだった。
そしてこの熱を通して、僕の中にも論理の力が染み込んでいった。
正直、本書に出会うまでは論理とは無縁の、衝動だけで生きる生活をしていたように思う。
しかしこの本に出会ってから、思考の仕方に流れが生まれた。
物事には全て筋道があり、それを解析していくことで確度の高い事実を導くことができる。
そういう論理の仕組みが頭の中に組み込まれたのである。
これは勉強をより面白くするスパイスとなった。
だから今も僕は学び続けているのだ。
天狼院書店でやっている「ライティング・ゼミ」を受けたのも、カラオケ教室で歌の勉強をしたのも、論理の力で物事の面白さを分析する力を得られたからだ。
そして、その快感を肌で実感してきたからである。
この経験ができたのも「出口汪のメキメキ力がつく現代文」、本書に出会えたからなのだ。
この本の内容は、きっと僕だけでなく多くの方々にも同じような感動を与えてくれるはずだ。
世の中には様々な論理的思考力の本があるけれども、本書ほど熱を持ち、勉強の面白さを実感させてくれるものは無いと断言できる。
これは僕の人生を変えたように、あなたの人生を変える力を持っているはずだ。
自分の学びを深めたい、そういう方はぜひ本書を手にとって欲しい。
彼の現代文の講義は、勉強が持つ面白さを心の底から実感させてくれることだろう。
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