「時間管理」の誤解
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:深谷百合子(ライティング・ライブ名古屋会場)
会社員時代からそうだったけれど、私はいつも時間に追われていた。やらなければいけないことは沢山あるし、やりたいことも沢山ある。「あれもしなくちゃ、これもしなくちゃ」と常に頭の中は用事でいっぱい。でも時間はあっという間に過ぎて、気がつくと「今日もできなかった」とため息が出る。それでも、会社員時代は家に帰れば自分の時間を持てたけれど、フリーになってからは、オンとオフの切替もなくなって、気づけばずっと「やらなければならないこと」ばかりに時間を使っていた。
もっと時間を有効に使えないだろうか? 私は時間を有効に使える方法を模索した。1日の時間をどう使っているかを記録してみたり、ダラダラとテレビやスマホを見る時間を減らそうと努力してみたり、どの時間帯に作業をすると効率が良いのかを試してみたりした。その結果、きゅうきゅうに時間をつめたら、沢山のことを処理できたけれど、毎日追い立てられているような気分になって、長続きしなかった。
あの有名なビジネス書『7つの習慣』の中で、「重要だが緊急ではないこと」に時間を割けと言われているのは、よく知っていた。分かってはいるのだ。分かっているけどなかなかできなかったのだ。
世の中には、同じような悩みを持つ人は多いようだ。地元で起業している女性が集まった交流会に参加した時のことだ。私の向かいに座っていた女性が、今の自分の課題を話し始めた。
「私の課題は、時間管理が下手なことなんです。本当はもっと商品の試作に時間をかけたいのに、なかなかできていなくて……。家にいると、家族のために使う時間が多くなるでしょう? 家族もね、もうちょっと自分のことは自分でやってもらえるといいんだけどなと思うんですけどね。毎日やらないといけないことが山のようにあって、時間に追われてばかりなんです」
その話を聞いて、私の隣に座っていた女性が
「ねー、本当にそう! ダンナも子どもも、もうちょっと自分のことをやって欲しいわよね。プチ家出してみたら、ありがたさを分かってもらえるかもね」
と冗談まじりに反応する。
「子どもは二人とも受験生なので、子どもの時間も大事にしたいんですけどね。仕事のアイディアは沢山あって、早く試作を始めたいと思うんだけど、そこにパワーを割けないんです」
人の話だと物事を客観的に見ることができるからだろうか? 「パワーを割けないんです」という言葉を聞いた時、私は自分もできていないくせに、そのことは棚に上げて、「本当に? パワーを割けないと自分で決めているだけじゃないのかな? 試作にパワーを割くと決めたらいいのに」と思ったのだ。
そして、「そうか!」と気がついた。
大事なのは「時間を管理すること」ではなかったのだ。大事なのは「決めること」、つまり、「自分にとって大事なことをやると決めること」なのだ。今までの私は、24時間という限られた時間をやりくりして、「大事なこと」をやる時間をひねり出そうとしていたのだ。だけど、なかなかそれがひねり出せない。やりたいことがあっても、「時間ができたら」と後回しにして、結局やれずじまいになっていた。
「大事なことにパワーを割こう」と、まず自分が決めることから始まるのだ。
それ以来、私は自分が本来やるべき大事なことを選び出し、1日の内で必ずその大事なことをする時間を作るようにしてみた。「今日はまずこれから取りかかる」と決める日もあれば、「朝9時~12時までの時間帯でやる」と時間帯を決める日もあった。そうやって決めてしまうと、それ以外の事は、意外とコントロールできるのが分かった。何よりも、自分にとって大事なこととそうでないことを、今までよりもはっきりと区別できるようになった。すると、今まで何となく断りづらくて引き受けていたことも、手放せるようになったし、何となく役立ちそうだからと見ていた動画も見なくなったし、全部自分で抱え込んでやっていたことも、人にお願いできるようになってきた。その結果、使える時間が増えてきた。
今まで「あれもしなきゃ、これもしなきゃ」と細々としたことに追われていたのが、自分で取捨選択し、自分で時間をコントロールしている感覚に変わってきた。もちろん、時間が足りなくて積み残すことも沢山ある。けれども、本当に大事なことには着手しているから、「やらないといけないのにやれていない」という焦燥感を感じなくなった。それを続けていく内、今まで一生懸命やっているのに空回りしていたのが、少しずつだけれど、仕事も、自分の生活も上手く回り始めるようになってきた。
自分の人生を動かしていくとは、きっとこういうことなのかもしれない。自分で決めて、自分で動かす。そんな1日1日を積み重ねていきたいと思う。
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