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ごめんなさい行脚の先には

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:J子(ライティング・ゼミ福岡会場)
 
 
「ごめん、まきちゃん私ちょっと友達のところに行ってくる!」
 
大学時代、私の引っ越しに手伝いにきてくれたまきちゃん。
予備校時代からの友達で大学も同じだった。
引っ越しの際中に、友達から遊びの誘いの電話が。
自分のやりたいことが優先だった私は、
まきちゃんに引っ越しを任せて、部屋を飛び出した。
 
自分の好き勝手に過ごしていた大学時代。
 
就職はテレビCMによくでているような大手企業へ就職した。
営業として配属された部署で初めての自己紹介。
 
「藤下明日香と申します。あっちゃんと呼んでください!」
と張り切って大学時代のノリで挨拶した。
 
一瞬にしてその場の空気が凍り付いたようだったが、
その当時の私は空気がかわっていたことさえ気づけなかった。
 
グループ会の資料を持っていくように上司の木村さんに言われていたのに、
忘れてしまうミスを犯した。
 
木村さんは、
「そんなことを次にしたらお前をクビにしろと上司に頼んで俺もやめる」と激怒した。
 
強い口調に圧倒され涙が止まらなかった。
 
気を取り直して、営業に伺った先の社長と商談。
「社長、この求人内容では全く募集こないですよ」
私の言葉で社長の感情のやかんは5秒で沸騰。
「もう来なくていいです」と言われてしまった。
 
営業成績は全く伸びない。ノルマは達成できない。
焦れば焦るほど、ミスが多くなった。
 
朝会の司会の番がきた。話し始めると、急に目線が怖くなり、
涙が止まらなくなりトイレに駆け込んだ。
 
同期はそつなく業務をこなしている。
なんで私だけこんなに仕事ができないんだ。
 
週末は朝から晩までソファーに座ってボーとしていた。
何もしたくなかった。 消えてなくなりたかった。
 
入社して5か月後、営業に同行していた別のチームの先輩に自分の状況を話した。
先輩は上司に話をしてくれ、急遽産業医と面談することになった。
産業医の診断はうつ病。
全ての責任を投げ出し、次の日から1か月仕事を休むことになった。
 
地元の長崎に帰った。変わらずに接してくれる家族の存在が有難かった。
 
しばらくして福岡に戻った。
ひょんなことから村田先生と出会った。
村田先生は福岡大学理学部の先生で、
見た目はドラえもんのようなちょっと太ったおじさん。
 
うつ病で会社を休んでいることは伝えてなかったが、
「ひまなら研究室に来てみるか?」と声をかけてくれた。
 
行こうか迷ったが、時間もあるので1週間後研究室に行ってみることにした。
研究室で村田先生に会社を休んでいること、うつ病と診断されたことを話した。
 
村田先生は話を聞いた後、
 
「お前暇だろ?サラリーマン金太郎の本読んだことあるか?これ貸すから今度研究室に
返しに来い」
と漫画本を貸してくれた。
サラリーマン金太郎の本を返しに行くと、
「次は宮本武蔵だ。読んだらまた返しに来い。家でダラダラしていても面白くないだろ?
毎日できるだけ来い」
 
と言ってきた。
言われるがまま通いだすと、少しずつ気持ちが前向きなってきた。
 
村田先生は、色んなことを教えてくれた。
 
大学時代のまきちゃんの話をすると、
「おまえは失礼のロケット花火だよ。まきちゃんにちゃんと謝ることが大事。
俺はな、おまえは失礼なロケット花火だけど、燃え尽きさせるには惜しい奴だと思っている。成長するのに値するやつだと思っている」
 
木村さんに叱られた話をしたときは、
「木村さんは本気で教える覚悟があったからこそ叱ってくれた。怒るのにもエネルギーがいる。木村さんも傷ついているんだ」
 
と別の視点があることに気づかせてくれた。
 
「お前は仁義がわかっていない。今は火の生き方をしている。火は燃え尽きる。周りを焼いてしまう。火の生き方だと、周りは2度と手伝はないと思う。これからは水の生き方をしなさい。水は周りを地下水脈から満たしていく。みんなで潤っていけるんだ」
 
「周囲の人にごめんなさい行脚をしなさい。口先でごめんなさいと言ってもだめ。心からごめんなさいが言えれば皆許してくれるはず。許してもらえなければごめんなさいが足りないと思うこと」

最初は何で初めて知り合ったような私にこんな話するんだろうと思っていた。
だけど、先生が言っていることが心にスッと入ってきた。
 
私は変わりたい。水の生き方をしたい。
 
よし、まずは上司の木村さんに謝ろう。
 
勇気をだして上司の木村さんに電話をすると、ちょうどチームの飲み会があっていた。
意を決して顔をだした。
「私は生かされていると気づきました。今までご迷惑をおかけしてすいませんでした」
と心から謝った。
チームの中には私の言葉を鼻で笑う人もいたが、とにかく頭を下げ続けた。
 
木村さんは、泣いて私の頭をなでてくれた。
 
まきちゃんにも謝った。
「まきちゃん、大学時代引っ越しまきちゃんに任せて遊びにいってごめん。
私本当に自己中だった」
まきちゃんは苦笑いしてから許してくれた。
 
ごめんなさい行脚をすることで木村さんとも、まきちゃんとも仲が深まった。
ごめんなさい行脚を始めて15年。
 
まだまだ人に迷惑をかけることは今もあるが、ごめんなさい行脚は習慣になった。
これからは村田先生のような存在を目指したい。
 
 
 
 
***
 
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2022-04-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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