ショートスリーパーとの出会いと睡魔との過酷な戦いを終えて
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:清野千聖(ライティング・ゼミ2月コース)
とある日曜日、とある定食屋で、同年代と思われる一人の男性に出会った。
カウンターで隣り合わせになり、私は「焼き魚定食」、彼は「焼肉定食」を注文した。
注文した物をお互い待っている間、彼が読んでいた小説本に目が止まった。
「私もこの小説、読みました。今、テレビドラマ化されていて、話題になっていますね」
少し躊躇したが、思わず話しかけてしまった。
「はい。まだ読み切っていないけど、作品にどんどん吸い込まれていくようだよ」
彼は、気さくに返答してくれた。
お互い注文した物がカウンターテーブルに置かれ、お互い静かに食べ始める。
食べ終わり、会計を済ませ、店を出て一人で家路へと歩いていると、背後から彼の気配がした。
「焼き魚定食、どうだった? 俺が食べた焼肉定食、イマイチだったよ」
「えっ、美味しかったですよ。また食べたくなりましたよ」
初めて会ったとは思えないほど意気投合し、その日に近くのカフェで一緒にコーヒーを飲んだ。
お互いが住んでいる場所がとても近く、お互い独身ということがわかり安心したので、LINEの連絡先を交換した。
その日の夜、23時を過ぎた頃、震度3の地震が発生した。
彼からのLINE「揺れたね、大丈夫?」
揺れたが、特に被害はなかったので、「怖かったけど、大丈夫です」と返信した。
地震の揺れで起きてしまったが、私は既に就寝時間である。
この二つのメッセージのやり取りで終わるかと思いきや、なぜか、彼からの悩み相談が始まった。
元カノが既婚者であることを承知で15年も付き合っていて、2年前に別れたことの話のやり取りで、気付けば、時計の針は翌日午前1時を指していた。
「もう、こんな時間……。LINEありがとう! もう遅いから寝ます」
私からのメッセージでやり取りは終了した。
午前1時を過ぎ、就寝しようとベッドに入って目を閉じたが、スマホの画面から発するブルーライトを目に浴び過ぎたせいか、寝付けない。
元々、人とのLINEのやり取りを長くしたことがなく、文字入力に時間がかかる年齢でもあり、疲れているらしい。
ほとんど眠れないまま、朝を迎える。
午前8時を過ぎた。眠い目を擦りながらコーヒーを飲み、あくびをしながら朝ドラを観ていると、彼からのLINEの着信音が鳴った。
「おはようございます! 出勤します」
彼は何時に寝たのだろうか? LINEのメッセージでは元気さが伝わる。
「行ってらっしゃいませ」
手を振る絵文字を付けて、送信ボタンを押した。
その日の夜8時を過ぎた頃、彼からの「仕事が終わりました」というLINE。
心の中で、「あー、また睡眠時間が妨げられる」と叫びながら、予想通り、LINEのやり取りが始まった。
内容は、前日の話を含め、深く掘り下げて、お互いのことや好きな小説本などの話題で盛り上がった。
やり取りの中で、通常の睡眠時間を聞いたところ、午前3時頃に寝て、午前6時頃には起きるらしい。何日も寝なくても全然平気のようだ。
俗に言う「ショートスリーパー」であることがわかった。
その日も時計の針は午前1時を指していた。
「おやすみなさい」の私からのLINEスタンプで強制終了。約5時間もLINEでやり取りをしていたことになる。
またも、ブルーライトを目に浴び、就寝時間が妨げられた。
数時間後、起きるのが辛く、一旦起きたが、二度寝しようとしていたところ、彼からの朝8時「出勤します」のLINE。
なんとか「行ってらっしゃい」とメッセージを送信し、私はまた就寝した。
午後1時から用事が入っていたため、午前11時頃から身支度を始め、出かけた。
「眠い。眠い。誰かわたしを助けて」
起きている時間は睡魔に襲われ、叫びたくなった。
夜9時半頃、彼から「仕事が終わりました」というLINEがあり、今回は通話のやり取りを希望した。
彼は了承し、夜10時頃から通話を開始した。LINEでは伝えにくかったが、電話では、LINEの長いやり取りに慣れていないことやお互いの生活習慣が違うことを伝えることができた。
さらに、今後は頻繁なやり取りは控えたいという気持ちを伝えた。
電話であれば、伝えたいことが短い時間で済むものである。
1時間程度の通話後、その日は日付が変わらないうちに就寝できた。
彼と話した内容を紙に書いてまとめていたら、A4用紙5枚にも及んでいた。
「なぜ、あの時、定食屋で声を掛けてしまったのだろう? カフェでお茶してしまったのだろう?」自問自答した。
彼は寂しかったのだろうか?
私も寂しかったから、人との長い時間のLINEメッセージのやり取りが新鮮で、嬉しかったのかもしれない。
彼と出会った定食屋、カフェには足が遠のいてしまった。
彼からのLINEメッセージはもう届いていない。
どこかで誰かと、彼は同じやり取りをしているのかもしれないが……。
最終日3日目は睡眠時間が8時間取れたが、その前日、前々日は、睡眠時間がショートスリーパーの彼と同じ3時間程度であった。
連日の短時間の睡眠時間はとても過酷なことなのだ、と改めて知った。
睡眠時間が確保されることが何て幸せなんだろう。
今夜も23時にベッドに入って、ぐっすり眠れそうだ。
***
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