メディアグランプリ

『ハコヅメ』されても、守りたいから


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:村人F(ライティング・ライブ名古屋会場)
 
 
取り締まる人は、いつの時代も嫌われるものです。
学校にいる生徒指導の先生。
会社の経理部。
ルールに従い厳しく指摘してくる彼らは、ほとんどよい印象を持たれません。
 
だから、警察官ほど嫌われる職業はないでしょう。
スピード違反やシートベルト忘れ。
こんな細かいことで切符切らなくてもいいじゃん。
周りの運転者からこういう愚痴を何度も聞きました。
私は車に乗らないので経験したことはないですが、そう言いたくなる気持ちもわかります。
怒られるとイラッとするのも人の心だからです。
 
『ハコヅメ』は、そんな嫌われ役である警察のお仕事を描いたコメディマンガです。
本作は交番に配属された新米警察官の川合麻依の目線から、彼らの仕事が描かれています。
しかしこの様子は作者が元警察官であることも相まって、ギャグマンガの体でもオブラートに包めないほど過酷なものでした。
 
布団で眠る方がレアな生活。
休みだろうが関係なく呼び出される日々。
怒号の飛び交うコワモテ動物園と化した職場。
ここに描かれている光景は、その辺のブラック企業が真っ白に見えるほどでした。
裏の宣伝文には「労働基準法は警察官に『一部』適用外」とありますが、ここまでくると無法地帯と言っていいんじゃないかと思えてしまいます。
これを見てしまうと道行く警察官に自然と敬礼をしたくなるものです。
切符を切ってくる彼らにも、きっと同情の念が生まれることでしょう。
 
しかし『ハコヅメ』はただのお仕事辛い系コメディではありません。
彼らがこの理不尽な空間で働き続ける理由もしっかり表現していました。
 
それは、ルールを守らない結果どうなったかを、嫌というほど見たということです。
 
警察官はチャイルドシートに子どもを乗せない親をいっぱい見てきました。
そして、何度も注意しました。
「こんなキツい思いを子どもにさせるなんて、アンタは親失格よ!」なんて怒号を受けてもやめませんでした。
 
これができるのは、見たからなのです。
事故にあったとき、何が起こったのかを。
チャイルドシートに乗せなかったことを、死ぬほど後悔していた場面を。
 
本作にはこういったシリアスな物語も描かれています。
これほど、警察官の原動力を示すものはないでしょう。
彼らは私たちの笑顔を守りたいのです。
 
そして法律はそのために制定されています。
制限速度も、涙を流す人を減らすために決められたルールなのです。
警察官はこれを嫌というほど実感しています。
 
だからこそ、厳しく指摘するのです。
少しでも緩めてしまったら、底なしでモラルが落ち続けてしまう。
それによって多くの人々が不幸になる。
この事実を誰よりも知っているから。
 
だからこそ、彼らは理不尽な職場でも耐えるのです。
私たちが休んでいる間、犯罪がまた被害者を生み出している。
そして誰かが苦しんでいる。
この人々を救いたいから、自身の健康を顧みることなく働き続けられるのです。
 
こうしてみると、警察官は世の中で最も高貴な職業と言えるでしょう。
取り締まりを行う彼らは、ものすごく嫌われます。
感謝される場面は滅多にありません。
それなのに過酷な業務をしています。
 
これができるのは、私たちの幸せを誰よりも考えているからなのです。
そしてそのためなら、自分が嫌われ者になってもいいと考えています。
「これで涙を流す人が減るのなら、喜んで引き受けよう」
そう笑顔で答えてくれる人こそ警察官なのです。
 
『ハコヅメ』には、その様子が描かれていました。
理不尽な環境にメチャクチャ愚痴りまくっているけれど、それでも頑張り続ける。
この光景が与えてくれる感情は、決して同情だけではありません。
生活を守ってくれている彼らに対する感謝の気持ちも、一緒に生まれることでしょう。
 
そして私たちがやるべきことは、彼らの仕事を減らすことです。
そのための作業は、ちょっとしたことで済みます。
 
例えば、大きな声で近所の人に挨拶をする。
これにより泥棒が警戒し街からいなくなるそうです。
 
シートベルトを着用するなど法律を守ることも重要です。
ルールは、従わないと大変な被害を受けるからできたのですから。
この基本を徹底した未来には、警察がヒマという平和な状況が待っているでしょう。
 
『ハコヅメ』は彼らの仕事が嫌というほど伝わるコメディでした。
同時にこの状況でも一生懸命立ち向かう警察官がカッコよい作品でもありました。
私もこれからは、街で会う度に心の中で「いつもありがとうございます」と感謝していきます。
そして彼らの仕事を増やさないように、ルールを守った平和な日々を過ごしていきたいです。
 
・今回紹介した作品
作品名:『ハコヅメ』
作者:泰三子
出版社:講談社
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~21:00
TEL:029-897-3325



2022-04-19 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事