散々バカにしていたメモの力を自ら実証することになってしまった男
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:村人F(ライティング・ライブ名古屋会場)
いやー、ひどい目にあってしまった。
まさかあんなにバカにしていたメモの力を、自ら実証することになってしまうなんて。
これまで私はメモを取ってこなかった。
理由はテレビで「メモを取らないと覚えられないことは、大したネタではない」と誰かが言っていたからである。
これに感銘を受け、実践したわけだ。
勘のいい方はお気づきだろう。
単に文字を書くのが面倒でサボっていたのだと。
そして私はこの教えを盾にして、いつしかメモを取れと言ってくる諸々を若干バカにしていたのである。
「メモを取らなくてもいいんだよ」と、実績もないくせに抜かすときもあった。
我ながら教科書通りの小物だ。
そんな人間に天罰が起こるのも当然である。
それは今日訪れた。
毎週提出している天狼院書店のライティング・ゼミ。
ここで書く記事が全く思いつかなかったのだ。
受講者が苦しむ最大の壁、ネタ切れ問題というやつである。
なにせ2000字の文章を投稿しないといけないのだ。
だから続けていると書くことがないと悩む場面が出てくるわけである。
そして、それを乗り越える手段として紹介されたのが、まさにネタをメモすることだったのだ。
しかしバカにしていた私はもちろんしていない。
完全に詰みである。
こうして私はパソコンの前で約5時間ほど考えながらスマホをいじったり野球中継を見たりしてウジウジするハメになったのである。
その状況の中、ヤケクソで見返したノートにメモの魔力があった。
いつ書いたのかわからない表紙裏にあった10文字。
これを見た瞬間、これまでが嘘のように書きたい欲が爆発したのである。
そこからは早く、1時間半で1本書き上げてしまった。
これほどの活力を、バカにしていたメモから得たのだ。
このとき、私はメモの意味を全く理解していなかったことに気づいた。
これは、決してすぐ忘れてしまうようなネタを書いているわけではないのである。
未来の自分に向けた燃料をストックしていたのだ。
どういうことか。
普通、メモに書かれている文言は短い単語の羅列である。
だから通常は意味がわからないものとして処理されてしまうだろう。
しかし、これがネタ切れ状態のときになるとどうなるか。
お題になる。
テーマになるのだ。
そして、大きな力にもなるのである。
というのも、ネタ切れは書きたいことが全く思いつかないから発生するからだ。
考えても考えてもしっくりする事が浮かばない。
だから書けないと悩むのである。
だがメモに書かれた文字列をテーマとして解釈した瞬間、それが書きたいことになるのだ。
だから、同時に気力も回復するのである。
この場合、メモにありがちな短くて脈絡がないことも大きな利点になる。
通常だったら「なんでこんな意味不明なことを書いたんだ!」とブチ切れるところだが、ネタとして見ると「ようやった!」と叫びたくなる習慣に早変わりである。
だって想像してみてほしい。
ただ「Python 教科書」とだけ書かれているのである。
いろいろ想像する道具としてはぴったりではないか!
「なんでこの2つのセットで書いたんだろう」
「そもそもPythonってなんだっけ?」
「そうか、このプログラミング言語を勉強したときに思いついたネタだ!」
このようにどんどん膨らんでいく思考の爆発力を、メモは生み出せるのである。
しかし、この点は意外と見落とされているのではないか。
たいていメモは仕事など忘れてはいけないことを記すことが多い。
だからわかりやすくて情報が詰まっている方がよいとされる。
つまり「Python 教科書」みたいな謎ワードはダメ例になってしまうのだ。
だがネタとしてみる場合は、謎な方が面白いのである。
この組み合わせを必死の形相で書いた私の顔を想像することもできる。
何を意図して書いたのか考えることもできる。
なにより、これを面白いと確信した己がいたことを思い出せるのだ。
これ以上にクリエイティブ方面に力を出す道具として最適な素材はない。
だからネタは何でもメモした方が得なのである。
やはり先生方が言っていた方法は間違っていなかった。
しかしヤケクソで見返したノートのメモから、ここまでの知見を得ることができるとは。
そういう意味でも十分魔法といえよう。
そして今後は、ちゃんと思いついたネタをメモするようにしておこう。
ネタ切れはいつも突然やってくる。
その備えとして武器はいくつあっても足りないのである。
そんなときにちゃんと情熱を爆発させることができるように整備していきたい。
***
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