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これからの「人の育て方」について考えてみた


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:中村まりこ(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
「人を育てるって料理をしているみたいだなぁ……」
ここ最近そう感じる。
 
コロナになって3年、すっかり自炊にもなれ、
家ご飯が定着し充実してきた昨今、わたしも時代の流れに沿って、
家呑み女子となりつつある。
 
そんな家で呑みながら、自分が作った料理をつまみながら、
ふと思ったのである。
 
人を育てる作業って料理を作る手順と似ている。
 
料理って、
一つ一つの食材は見た目も味も違うが、、
手間ひまをかけて時間を使って、手を施して、
下味をつけたり、煮たり、焼いたり、
「おいしくなぁれ」と愛も込めたりしながら、
一つの完成された美味しい料理が作り上げられる。
 
食材一つ一つが出来上がった完成形だ。
その完成系を食べられる美味しい料理に仕上げるのも、
まずい料理にしあげるのも、料理をする人次第。
食材をしっかりと理解していないと美味しい料理はつくれない。
またしっかりと味見もしないと、美味しくなっているのかもわからない。
料理をする人によって、食材はいかようにも変化するのである。
 
例えば、ひき肉というスーパー食材。
ひき肉を使った料理のバリエーションの豊かさと言ったら。
ハンバーグになったり、餃子になったり、ガパオになったり、
ドライカレーになったりと変化しすぎだ。
さらにハンバーグで例えるなら、ジューシーに仕上がったり、焼きすぎて焦げたりパサパサになったりもする。
 
手の加え方で、同じ食材なのに、全く違うものに仕上がってしまう。
食材を活かすも殺すも、手を加える料理人次第なのである
 
これって、人材教育にもそのまま当てはめることができる。
 
人が手を加えることで食材が美味しい料理に生まれ変わるように、
人が手を加えることで、人もいかようにも変化するのである。
 
しかも料理人によって同じ食材でも違う料理ができあがるように、
教える人によって、人材の仕上がり方も違ってくるのである。
例えば新卒教育なんかは今の時期わかりやすいのではないだろうか。
 
3人の新卒社員が自分の部署に配属されたとしよう。
3人それぞれにマンツーマンで教育担当として先輩をひとりつける。
会社でのルール、仕事内容、仕事の仕方、休憩のとり方など、
社会人としてのルールや、企業人としてのルールを含め、
すべてその教育担当者が教えるというよくある教育の仕方を採用する。
 
この場合、新卒社員は食材であり一人ひとりが完成されている人だ。
マンツーマンでつけた教育担当者は料理人である。
教育担当者は手をかけて時間も使ってそれなりの愛も持って、
ときにはハンバーグを焦がすように失敗もしながら、
美味しい料理へと変貌させるように、新卒社員を大学生から会社の担い手として
育てるのである。
 
もっと具体的に例をあげるならこんな感じだろうか。
3人の新卒内のひとりを新卒Aとする。
新卒Aはもともとおおらかな性格で、細かい計算などは苦手なタイプ。
その新卒Aに教育担当者としてついた先輩は、とても几帳面で、資料の提出期日や、
経費の精算も間違えることなく取引先や社内でもしっかりものとして有名だ。
1年後、新卒Aはおおらかな性格はそのままに、期日を守り、計算も遅いながらも間違えずに仕上げられるように育った。作り込む資料も先輩同様に上手に組み立てられ、
説明の仕方も教育担当者と似ている。
いまでは、先輩同様に会社でしっかりものとして、認知されている。
 
そう、教育担当者が料理した(教えた)とおりに、新卒社員は仕上がるのだ。
 
至極当たり前のことである。
その教育担当者から学んだことが、新卒にとってその会社での基礎となっているのだ。
もちろん、新卒Aはこのあともたくさんの手間と時間をかけられて、
ひき肉のように、ひとりで何役にもなれるように、素材としての価値を高められていくのだ。
3年後には、自分も教育担当を担えるようにまで、料理されていく。
 
さて、ここで企業での人材育成で浮かび上がる課題が一つある。
 
新人は、教える人間次第で変容するということは、
教える側の教え方の質を揃える必要が企業にとって非常に重要となってくる。
企業としてほしい人材を増やすために、その人材を作る側をしっかりと作り込まなければならない。
 
だが、多くの企業で教育する人材の教育まで手が行き届いている企業は少ない。
人による経験と感覚に頼っているところがある。
そのため、仕上がる人材にばらつきがでるのである。
 
教える側に、徹底的に企業の欲しい人材のイメージを共有し、
その人材を作るための伝え方、伝える内容の質、手間のかけ方を
最低限ここまではという均一化を図っていく必要があると感じる。
 
いままでは、職人気質のように、俺の背中を見て仕事を学べという企業人も多かったと思うし、それでまかり通っても来たのだろうが、昨今の若者たちには、それは通用しないし、あの人はこう言われているのに、自分はそれは知らないなどとネガティブな思考が出てきたりする。
 
ある程度、みんなと同じことは教えてほしい、でも自分たちの個性も尊重されつつ、
じっくりと育ててほしいと思っている素材ばかりだ。
いいものはもっているんです、それを引き出してくださいと言わんばかりの、
かわいい素材たちである。
 
この素材たちをどう料理していくか、人材教育担当者は日々自分と素材たちとのギャップを
感じながらあーでもない、こーでもない、こーならどうだと試行錯誤しながら育てていくのである。
だからこそ人材教育担当が、しっかりと企業が求める人材に育っていないと、
そのもとで育てられる新人は、企業にとって「あれ、入社時このイメージの見込みあったのにな」となってしまう。
 
企業はまず新人を育てる前に、育てる側の教育を優先するべきであると思う。
 
人気レストランが、その味を全員がきちんと出せるように、そのレストランの在り方が、思いが料理にのるように、シェフがキッチンスタッフにそのレストランの思いや、料理に対する思い、味への責任を叩き込む。そのため、教育担当の先輩スタッフは、シェフと同じ熱い思いを後輩スタッフへも伝えられるのだ。
 
本来、企業もそうある必要があるのではないだろうか。
社長が雲の上の存在だという時代はもはや古く、風通しの良い企業が求められ、
また伸びている。末端の意見も届きやすいからだ。
LINEで社長からメッセージが飛んでくるなんて企業も増えている。
 
これからの企業の人材育成は、料理のように、愛を込めながら、ひとりひとりの素材を
きちんと把握し、ある程度同じ工程で育てつつ、個性を伸ばすための教育ができる人材を
どれだけ増やせるかが、鍵だろう。
 
さてかくいうわたしも、今、その担当者としての真っ只中だ。
次はあの子を、一旦煮込む作業をしていこうかな。
 
 
 
 
***
 
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2022-06-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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