メディアグランプリ

マスクの取れない子どもたち


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記事:塚本 よしこ(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
「マスク取ってもいいよ」
そう大人が声をかけてもマスクを取らない、取れない子どもがいるのをご存じだろうか?
先日、体育大会の練習にマスクをして参加していた子どもたちが熱中症になってしまったというニュースがあった。それを見た時、昨年の秋のことを思い出した。
 
その時私は小学校で働いており、運動会の練習のために運動場にいた。
「マスクは取ってポケットにしまって下さい」
体育の先生から声が掛かった。みんな喜んで外すものだと思っていた。
しかし、マスクを外さない子もいたのだ。
暑い日だったので私はびっくりした。
 
マスクをすることが当たり前すぎて、外す方に違和感があるのか?
外すとよくないと思っているのか?
暑いし危険なので、嫌そうだったが取ってもらった。
大事な衣服を無理に脱がせたような後味の悪さがあった。
ニュースの子たちも、外していいと言われても、外せなかったのではないかと思った。
マスクを外していいと言われても、外さない子、外せない子たちは何人もいるのだ。
 
朝通勤途中に、見かける子どもたちがいる。
7人くらいが1列に真っすぐ並んで、誰とも会話せずに学校に向かっていく。
感染症が流行ってから、1列に並び、話さず登校するというルールが出来たようだ。
この辺りの学区は登下校中に話さなければマスクはしなくていいと言われているようだが、皆マスクをしている。
凄い、この子たち整然と並んで……と思うと同時に、マスクしなくてもいいのでは? と疑問に思う。大人の言う事をきちんと守って、一列で話さず進む子どもたちを見て、いつも複雑な気持ちになる。
 
小学生の娘も登下校中マスクをしている。
ランドセルを背負って、30分近い道のりを歩いて帰ってくると、服が汗でびっしょりだ。周りに誰もいない時も、しっかりマスクはしている。
途中まで迎えに行き、誰もいないので「マスク取っていいよ」と声を掛けると、ようやくマスクを取る。
けれど、後ろから同じ学校の子がやってきたり、遠くに見えたりするだけで、慌ててマスクをつける。悪いことでもしていたかのように、さっとマスクをつけるのだ。
そんな娘を見て、何だか無性にもやっとする。
 
「体育の時間はマスク外したの?」
「ううん」
先生がマスクを取っていいと言っても、娘は取らなかったという。
「え、どうして取らなかったの?」
「先生が、お話をしない子はマスクを取ってもいいですと言ったから」
娘はお友達とお話をしたいので、マスクを外さなかったと言うのだ。
 
6月の太陽の下、マスクをしてかけっこの授業をしていたことを思うとゾッとした。
そしてその夜娘は鼻血を出した。めったにないことだ。熱がこもっていたのか? どうしてマスクを外すように言ってくれなかったのか? 少し怒りに近い感情が出てきた。
 
子ども達は、マスクを取っていいと言われても、そうそう外さない。
周りに付けている子がいると尚更外せない。
周りなんて気にしなくていいのに! 大人は思うだろう、私も最初はそう思った。
しかし、どうやら子どもたちにとって、皆と一緒ということはとても大事なことのようだ。1人だけ違うことはできない。これは、日本人特有の性質かもしれない。
 
それに、苦しくないか聞いても、苦しくないと言う。私自身が外したくなるような暑さなのに、どうなっているのだろう? 多少苦しいのが普通になっているのか?
子どもが本当に苦しいと分かる時には、もうかなり危険な状態だと思う。
 
その後、市から新しいマスクの方針についてリーフレットが送られてきた。
それによると、屋外での活動や、登下校時にマスクをしなくてもいいと記されていた。
これで、誰に遠慮することなく、マスクを外して堂々と子どもたちは帰ってくる! そう思って喜んだ。
しかしである。帰ってきた子どもたちは普通にマスクをしていた。
「あれ? 今日からマスクしなくていいと先生言ってなかった?」
すると、
「取りたい子は取ってもいいです。でもお話をしないように」
と言ったという。そう言われたら子どもたちは外せない。その言い方では外さないように言っているようなものだ。
 
学校を出る時からマスクを外して帰らせてくれませんか? 思い切って先生に相談した。
 
すると、次の日子どもたちはマスクをせずに笑顔で帰ってきた。
私は嬉しかった。マスクをしている時はうつむきがちなのに、マスクをとって友達と楽しそうに帰ってきたからだ。
やった! これでもう熱中症が心配な気持ちも少しは和らぐ。
 
しかし、そんな喜びも束の間、次の日はしっかりマスクをつけて帰ってきた。
どうなっているんだ?
全学年一斉下校で、マスクを皆つけて帰ったと言う。人数が多いからだろうか。
まるで喜んだプレゼントが誤送だったかのように、心底がっかりしてしまった。
 
子ども達がマスクを取らないのは、シートベルトをするくらい当たり前のものになっているからだ。していれば誰にも責められず安全だし、取ってはいけないと思っている。
 
話さない等の条件付きで、取ってもいいと言われても子どもたちは取れない。
大人がここまでマスクを世の中に浸透させておいて、今になってマスクをする、しないを子どもの判断に委ねるのは酷だと思う。
 
今のままでは熱中症になった子がいても、
「外すように言ったのですが、本人が外さなくて……」という言葉が出てきそうだ。
熱中症になってからでは遅い。
 
夏に向けて運動中や屋外で「マスクを取ってもいい」ではなく「マスクは取る」であって欲しい。
つけてもつけなくても判断は任せるというような言い方をするのは、もう終わりにしよう。
そして、このようなことで心配しないですむ日々が、早くやってくることを切に願う。
 
 
 
 
***
 
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2022-06-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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