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人生初の料理教室でなんとか女性陣の仲間に入れてもらえた話


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:木田 和廣(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
行ってきました! 齢55にして人生初の料理教室。テーマは、「”ハレの日”のお家でつくるたのしいお寿司」。中年男性である自分が平均年齢40歳ほどの4名の御婦人たちの中に混じってお料理を勉強してきました。かなりなアウェイ感を感じる中で、料理あり、会話あり、試食ありの4時間を、なんとか女性陣に仲間に入れてもらえたので、その話をお届けします。
 
そもそも、なぜ、料理教室に参加しようと思ったのか? それには2つの背景があります。一つは、年齢が結構上がってきて、考え方が保守的になる傾向があることを認識したことです。新しいことを避け、すでにできると分かっていることをやりがちになってくる。そうした保守的な行動は、ある日、自分の中で突然幅を利かせるのではなく、緩やかに、密やかに忍び込んできます。だからなかなか気づかない。でも、じっと自分の心に耳を澄ますと、確実に「そこにある」のに気づきます。それではマズイと、何か新しいことにチャレンジすることを自分の中に課す中で目に入ったのが今回の料理教室の案内でした。
 
もう一つの理由はもっとシンプルで、自分が釣った魚で、江戸前のにぎり寿司を握れるようになりたかったからです。釣った魚は、魚種にもよりますが、お刺身、カルパッチョ、塩焼き、煮付け、パエリヤなどにして食べますが、やはり、最も華があるのはにぎり寿司だとずっと思っていました。しかし、にぎり寿司は難しい。魚をどう捌けばお寿司にフィットする形になるのか、どういう手順で握れば形になるのか、すし酢はどんな分量で作れば美味しくなるのか、など、ぼんやりとは知っているけれどちゃんとは知らないことだらけです。そんなときに、SNSでテーマがにぎり寿司の料理教室を見つけたので、参加してみた訳です。
 
さて、会場につきました。西荻窪の小さなオープンキッチン付きのカフェです。開始時刻の11時少し前につくと、私が一番先だったようで、カフェのオーナーと思われる男性以外は誰もいません。料金をお支払いして少し待つと、生徒さんが三々五々集まってきました。募集人数が10人ということ、テーマがにぎり寿司だったので、男の人も少しは来るかな?  と思っていたのですが、結局、私以外の生徒さん4人は皆さん女性でした。ほどなくして本職は板前さんだという先生も登場。先生も女性です。しかも、様子を伺うと、参加者はみな「常連さん」で、「友達(少なくとも知り合い)」のようです。
 
「さて、始めましょうか」の先生の声がかかると、カフェのオーナーもどこかにでかけてしまい、女性5人の中に取り残される私。先生はおおまかにその日の流れを説明します。寿司ネタは、1つか2つかな? と想像していたのですが、最終的には、アジ、サーモン、ホタテ、タコ、エビ、卵焼きと6種類でした。しかも、アジは一匹を三枚におろして、酢じめをする。卵焼きはエビとイナダをたたいて、すり鉢ですりおろし、卵液に練り込んでゼロから作る、エビは有頭の一匹から頭を取って、串を打って茹でる。と、本格的なものでした。できるのか? 自分。
 
さらに、多くの工程が個人ワークではあるのですが、卵焼きを作るところは一人一枚ではないので、5人が2人と3人に分かれてグループで行います。つまり、他の参加者の方との協力が必要です。アウェイな環境で、他の御婦人に混ざってチームワークはできるのか? 自分。
 
教室が始まりました。先生の説明を受け、お手本を見せてもらったあと、参加者たちは次々と料理をします。私は、海釣りが趣味ですので、魚を捌くところは問題なく、また、他の素材の下ごしらえも、先生の言う通りにやってみると、問題なくできました。完成品はページの上部に掲載してある写真の通りの出来栄えで、「にぎり寿司は教えてもらっても難しい」、「にぎり寿司の上達には練習が必要」という、最初から分かっていた結論に至りました。しかし、私として収穫だったのが、卵焼き作りのチームワークのパートも含めて、他の御婦人方や先生と、4時間もの間、仲良く会話しながら、つまり、仲間に入れてもらって過ごせたことです。意外なことに? とても楽しく過ごせました。
 
その理由を私なりにまとめてみました。ご婦人たちの中に、あるいは知らない人たちの中に飛び込むときの参考になれば幸いです。
 
お客さんの立場にならない。たしかにお金を払って参加しているのですが、純粋なお客さんという立場にならない方が良いです。つまり、何かサービスを受けて当たり前という姿勢ではなく、チームの一員。という気持ちで参加するという姿勢が大事に思いました。
 
声掛けをする。料理教室の間、できるだけ声を掛けました。先生のお手本が本当に手際よく、鮮やかだったので「すごいです!」、別の参加者のにぎったお寿司が本当に上手だったので「とても美味しそうです」などなど。すると、御婦人方からも声がかかり、「魚をするの上手ですね」、「えぇ、家でいつもゴマすってますから」などのような冗談にも発展します。場が和みます。
 
チームワークのところで足手まといにならない。個人のパートであるお寿司が上手だろうと下手だろうと誰もそれは問題にしないと思いますが、チームワークのところでは足手まといにならないようにしたほうが良いです。個人ワークが終わってなくても、必要となるボウルを持ってくるといったちょっとしたことで良いので、少しだけ先回りして行動すると、「使える人」とに思ってもらえ、溶け込みやすいと思います。
 
そして何より楽しむ。チームの中に楽しんでいない人がいると、周りに気を使わせてしまうものです。本当に楽しんでいれば、その楽しさが周りの人にも伝わり、場の雰囲気全体が楽しくなります。
 
要は、場にポジティブな要素、積極性とか、コミュニケーションとか、和みとか、楽しさとか、そうことを持ち込める人が、仲間に入れてもらえ、自分も楽しめる。そんな風に思いました。
 
あ、ライティング・ゼミもまったく同じだな。

 
 
 
 
***
 
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