山梨は今が旬! ~もう一歩寄っていきたい山梨~
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記事:黒﨑良英(ライティング・ゼミNEO)
皆さんは我が故郷山梨県にいらっしゃったことがありますか?
来たことがあるという方、それはどこへ、何を目的にいらっしゃいましたか?
おそらく、ほとんどの方が「富士山とその周辺へ」と言うのではないでしょうか?
そう、山梨といったらやはり富士山。
特に近年は世界遺産に登録され、また羽田から直通の電車も通り、東京方面からいらっしゃる方にとっては立地的にも来やすく、魅力的な場所となりました。
県内では、富士山がある地域を「郡内(ぐんない)」と呼び、県庁所在地である甲府市周辺を「国中(くになか)」と呼んでいます。
おもしろいことに、この二つの地方は、同じ山梨県内にあるにも関わらず、気候や環境はもちろん、文化的にも大きく異なる箇所が多くあります。
それもそのはず。その地域の間には、大きな山が横たわり、今でこそ、車での移動が可能となりましたが、長らくは交流も途絶えていたのではないかと思います。
さて、そんな郡内地方は、富士山を中心とした観光産業に力を入れており、休日ともなれば多くの観光客で賑わう街となります。
しかし、ですよ、皆さん、忘れてはいませんか? 山梨県といえば、そう、桃やぶどうです。特に桃の生産量では全国一で、果樹大国を名乗るにふさわしい県となっています。
ところが、郡内地方は、あの通りの気候です。すなわち夏は涼しくてよいのですが、冬は雪国もかくや、とばかりの寒冷地となります。そもそも郡内地方は、標高がかなり高いのですから。
そういうところですから、河口湖を中心とした観光地は、作物が多くは採れず、いわんや果樹園などは、国中地方に集中しているのです。
その代わり、小麦などの穀類は育つため、「吉田うどん」というコシの強いうどんが生まれたのです。
何が言いたいかというと、皆さん、山梨県を富士山だけ満喫して帰るのではもったいない!
確かに国中地方は、東京から行くと富士山より先です。乗り換えの「大月」を過ぎて小一時間ほど電車に揺られなければなりません。
ですが、そこをもう一歩進んでいただいて、ぜひ、甲府周辺にいらっしゃってください。
果樹王国の名前にふさわしい景色が広がっています。
盆地のなだらかな傾斜には、ぶどう棚が並び、平地の方では桃畑の葉が鮮やかな緑色を輝かせています。
特に夏の今(7月中旬)からは、桃の収穫期です。
様々な改良を重ね、とても甘い桃が木に実っています。
手に持っただけで漂う芳醇な香り、柔らかい果肉、あふれんばかりの果汁。
一度食べたら他の果物が食べられなくなってしまう! とは言い過ぎですが、それほど美味しいのが、山梨の桃です。
「でも、お高いんでしょう?」
と思われますか?
確かに、都会の果物売り場に並んでいる桃を見ると、とても高額でびっくりします。
出荷するこちらではその半分ももらえないのに……げふんげふん! とにかく、高額ですよね!
そこでおすすめなのが、やはり、本場である生産地、山梨県に来ていただくことです。
「山梨県民あるある」に、「桃とぶどうはお金を出して食べたことがない」というものがあります。自分の家で栽培しているか、そうでなくとも近隣の家から“はねだし”と言われる出荷できない規格外品を大量にもらうからです。
出荷できない、と言っても、形が崩れていたり、色が乗っていないだけであったりするだけで、中身のおいしさは変わりません。
そういったものがあふれているのです。
我が家も例外ではなく、最悪、行き場のない桃は、畑の隅にまとめて埋めてしまうこともあるくらいです。
そういう家がそこかしこにあるので、当地で売られる桃は、かなり安いです。
おそらくそれを買うのは、自分達で食べるためではなく、親戚などに贈る贈答用として、ということだと思うのですが、それにしても安いです。
あるいは、家族経営をしている農家などでは、季節限定で店を出すところもあります。
そこでもかなりお得な値段で買えるのは言うまでもありませんが、新鮮なものを、特に観光農園では、もぎたての桃を食べることもできます。
さらにさらに、先ほど言ったように、農家でははねだしの桃が余っています。すると、家によっては玄関先に机などを置いておいて、1個100円くらいで無人販売をするところも出てきています。
すごいときは、単純に「ご自由にお持ちください」と書かかれた紙切れと、ざるに盛られた桃がおいてあるところもありました。
生産地ならではの光景だと思います。
ぶどうだって忘れてはいけません。
桃より一足遅く収穫されますが、品種や栽培方法にもよるので、桃と同時期に味わうこともできます。
皆さんのお目当ては、やはり近年人気急上昇の、「シャインマスカット」でしょうか?
種も無く、皮も食べられ、何より甘くて美味しい!
どれだけすごいかというと、先ほど言ったように、自分が食べるぶどうと桃にお金を出したことがない山梨県民が、「これならお金だしても食べたい」と言えるくらいです。
その美味しさの程度の高さが分かることでしょう。
桃やぶどうの他にもワインでも評価を高めていますし、最近ではサクランボを作る農家も増えています。
しかも都心から特急を使えば2時間足らずで、ゆっくりしていっても日帰りができる。
甲府の手前には「石和温泉」という温泉街があり、甲府の奥には景勝地「昇仙峡」もあります。
もう一度言いましょう。
“山梨は、富士山だけではもったいない!”
山梨県は、今が旬です。今年の夏は、いつもより少し足を伸ばして、果樹王国山梨の美味しさを満喫してみてはいかがですか?
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