週刊READING LIFE vol.178

偉人から学ぶ人生論~信念に向かって突き進め!ジャンヌ・ダルクのように~《週刊READING LIFE Vol.178 偉人に学ぶ人生論》


*この記事は、「ライティング・ゼミ」の上級コース「ライターズ倶楽部」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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2022/07/25/公開
記事:佐藤知子(READINGLIFE編集部ライターズ倶楽部)
 
 
「結構冒険心のある方のようですね」
「もしかしたら、バンジージャンプなんかが好きなんじゃないでしょうかね」
 
万年筆クロッキー講座の課題提出した私の絵を見て、先生はおっしゃった。
フィードバックの中で、先生は絵から伝わる印象を伝えようとして下さっている。
「カチッとした力強い部分と、半分は緩く遊んでいる線。この相反する二つの面を持ち合わせているところがおもしろい」
「お会いしたこともないのだけれど、絵というものは描いた人の人間味みたいなものが見えてくるんですよね」
 
ドキッとした。
 
「おとなしくて、優しいよね」
性格についてそう言われることが多くて、中学生の頃から私は自分を変えたくてもがいていた。おとなしい、優しいと言われたくない。人生のテーマと言っていい程、本気で考えていた。私にとって、おとなしくて優しいということは、自分の意見が無い、言いたいことを言えない性格の代名詞と思い込んでいた。それだけではない強い自分も確かに存在することに気づいていた。そんな自分をうまく活かしきれず、封じ込めていた。
自分の意見を表現することと、わがままの違いが判らなくて表に出すのが怖かった。そのうち人の顔色ばかりみるようになった。それが苦しかったのだと思う。
 
小学生の学級会の時、放送委員が決まらなくて、誰かやりたい人はいないかと先生から聞かれたことがあった。やってみたいと思った私は、今にも手を挙げそうになったのだけれど、手を挙げれば決まったのだけれど、結局最後まで挙げることが出来なかった。
自分に自信が持てなくて、私なんかが人前に出るような目立つことをしていいのか、と変なブレーキをかけた。そして誰かが推薦してくれたらな、と願った。迷いに迷ってやっぱり手を挙げようと心を決めた時、別の人に決まっていた。
その人から、放送当番で昼放送に入る時、給食を放送室まで運んで欲しいと頼まれた。1年間私は放送室に給食を運び続けた。放送委員にしか知ることのできない放送の機材をチラッと横目で見ながら、何でもない振りをした。
1度だけではなかった。マーチングバンドと一緒に演技するフラッグ隊の追加募集があった。フラッグ隊とは、大きな旗を振ったり回したりしながら体系を組み、マーチングを盛り上げていくグループのことだ。
マーチングバンドの選考会で落選した私は、フラッグ隊でも入れたらいいなと思っていた。、楽器にはない華やかさにも魅かれていた。
追加募集があるなんて、チャンスだと思った。思い切って手を挙げたかった。でも同じクラスの正規に入った友達は、学年一の美人だった。やっぱりかわいい人が入るところなのかも知れない、私みたいなチビでブスな子がやったら見栄えがしなくておかしいかも知れない。比べられてみんなの笑い者になるかも知れない。そんなことを考えながら悩み抜いた末、やっと手を挙げようとした時に、クラスで二番目にかわいい人が推薦されてあっさり決まった。その後、素敵な披露の場を遠くから見ていた。
 
人の前にうまく出ることが出来なかった悲しい思い出。だけど本当はやってみたいという熱い思いが胸にあった。やってみたかった、となることが多かったけれど。
その頃だろうか。母が指導を受けていた書道の先生に、私の書いた字も見てもらったことがある。先生は私の字を見て「我が強い性格だろう」と言っていたそうだ。
 
出会って間もない人や担任の先生からは「優しいね、おとなしいね」と良く言われた。皆悪い気持ちで言っているのではないことはわかる。でも本当の自分ではないものを見られているような気がして、自分の中では全面的に否定していた。
胸に溜めているものが多くて、表現できないものを抱えていた。
特に当時は思春期で、自分がまだ不確定で、自分らしさについて悩んでいた時期だった。
 
そんな時に、図書館でジャンヌ・ダルクに出会った。
十七歳の少女が、イングランド軍の進撃を受けて危機的状況にあるフランス軍の先頭に立ち、勝利に導いた戦士であること。こんなに功績を残したにも関わらず、最後は魔女として火あぶりの刑にされたことが衝撃的だった。
そのまっすぐな精神と、鎧を身に着けて馬に乗る凛とした姿は、私のもやもやとした心をすっと鎮めてくれた。
考えてみると、10代、20代、30代、40代と年代を進むにつれて、必ずジャンヌ・ダルクの本や映画を見て来たことに気が付いた。
それぞれの年代で感じたことはあるが、特に40代になって感じたのは、ジャンヌは生涯を閉じるまでの19年で、よくこれだけの偉業を成し遂げたということだ。その人生はものすごい信念のもとにある。この若さで決断力と判断力、統率力を発揮し、人を動かしている。ジャンヌのその強さに憧れる。神の啓示を受けたというが、だとしても、恐怖や孤独に負けない自分の意志が相当強かったのだと思う。
にもかかわらず、異端審問を受けることになった時にも、絶望に負けず自分の信念を曲げることなく、三か月にも及ぶ長い期間を耐えた。数十人から寄せられる尋問に対して、一人で対応しなければならなかったという。理不尽だらけである。どれだけの強い精神力があったことだろう。
 
私は間もなく50代を迎えるが、今の段階で人生に何かを残せたと言えるだろうか。ジャンヌ・ダルクの太く短い、中身の濃い一生を考えると、人生は長さではない、ということがしみじみと感じられるようになった。
 
中学生の時、ジャンヌ・ダルクの生き方を和製にしたような言葉に出会った。
『思い悩むより行ってみよ。行動の中から道が開ける』というものだ。格言カレンダーに書かれたもので、誰の言葉かはわからないが、ジャンヌ・ダルクの精神と重なる部分を感じた。
行動することで何かしら結果が出て、進む方向性が見えてくる。まずは今出来ることを丁寧に行うことだ、と理解した。その当時の私の目標となり、手帳に書き写して、時々開いてみては繰り返し唱えていた。
だが、いくら行動的な自分になろうとしても、やっぱり「やさしいね、おとなしいね」と言われるところに戻ってしまう。さらに「ちくちく縫物でもしてる系だね」とまで描写が増えた。
私は自分を変えようとし、髪をショートカットにして、高校からは運動部でボーイッシュに振る舞った。大学ではかっこよさに憧れて体育会の武道系の部活に入部して励んだ。
だけどどれもこれも楽しかった。決して無理をしている訳ではなかった。他人からの評価が変わらないだけで、その行動は自分に合っていた、もともと自分の中にあったものだったのだと思う。そもそもそも自分を変えようとする必要なんてあったのだろうか。本来人は多面的な面を持っている訳で、その時々でどんな一面が出るか、相手との関係の中でどの面がより強く見えるかで違ってくる。それだけのことではなかったか。
 
私の性格は明るく、暗い。行動はゆっくりで時には素早い。おとなしくて元気だ。
悪気は全然無いが、相反する二つの面を持つ二重人格者なのかも知れない。どちらも自分なのだ。ただ認めることが出来なかった。
おそらく私の中には、ちくちく縫物系の自分、元気にぐんぐん飛び込んでいく熱い情熱をもった自分の両方がいる。いくら変えようとしても、根本的なところは変わらないし、本来の姿に戻ってしまうものなのだ。
 
ジャンヌ・ダルクの潔さに憧れ、とにかく自分の行動を積極的にしたいと思い悩んだことは、自分の人生をどう生きていきたいかを考える基になった。
今はコロナの時代。これまで当たり前と思っていた生活が当たり前でなくなり、ある程度未来の目途がつけられていたことも、先が見えない予想できない時代となった。
今まではこうだった、という考えにとらわれず柔軟な考えで対応し、多様性の中で生きていくことが求められるようになった。
時代は変わるんだということ。そして、いろいろな考え方や生き方があっていいのだと、長い年月を過ごして思えるようになった。
 
万年筆クロッキー講座の先生は、私の絵から二面性が見え、人間味があり面白いと評価して下さった。東北と九州という遠く離れた場所にいるのに、とても近くに感じた。一度も直接お会いしたことはないのに、昔からご挨拶していたような、不思議な気分だった。
高い所が苦手で、残念ながら先生のおっしゃっていたバンジージャンプは無理だけれど、パラグライダーでなら大空に飛び出して見たいと思っている。
先生の言葉は、まるで占い師の言葉のように聞こえた。ドキッとしたけれど、そのままの自分を受け入れていいんだと思えた。
ジャンヌ・ダルクのように強くて勇ましい人になりきらなくてもいい、自分を活かせる道はある、と思えたのだった。
 
 
 
 

□ライターズプロフィール
佐藤知子(READINGLIFE編集部ライターズ倶楽部)

山形県在住。ライティング・ゼミ2月コースに参加、7月よりライターズ倶楽部へ
書くことで、自分の考えをわかりやすく人に伝えられるように、日々奮闘中。

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2022-07-20 | Posted in 週刊READING LIFE vol.178

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