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死者を弔うとは、自分の未来に覚悟を持つことである

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記事:鈴木かずこ(ライティング・ゼミ8月コース)
 
 
恥を忍んで白状します。
今、英国エリザベス女王国葬の中継を見ながら、これを書いています。
締め切りまで、あと数時間です。
一国の君主が亡くなり、70年ぶりの葬儀が執り行われている様子を、YouTubeで閲覧しながら、かつて、私が経験した葬儀を思い出しています。
振り返ると、後味の悪い、思い出です。
やっと、書くべきテーマが見つかり、自分にとって落とし前をつけるタイミングが来たようです。
今日は、いかに私が、死者の弔いをする機会が失われてきたかを、振り返ります。
これで、私も心の中でやっと、肩の荷を下ろすことができそうです。
 
私は、自分の両親の葬儀に出席することができませんでした。
また、大変お世話になった上司の葬儀にも立ち会うこともできなかったのです。
こうして、私は、きちんと死者を弔うことができませんでした。
それの影響なのか、人間関係に非常にドライな感情を持っています。
いずれ別れが来ること。
結局みんな、私から離れていってしまうこと。
お葬式に出ようが出まいが、自分の人生に関係ないこと。
このように信じていました。
 
私が記憶している葬儀は、幼少の頃のものです。
父方の祖母、母方の祖母でした。
まず、初めての葬儀が、父方の祖母の告別式でした。
この時の記憶を辿ってみると、親族の言い争いしかありません。
墓前のまえで、相続の争いが起きていたのです。
大人たちが言い合いしている中、いとこたちが集まって遊んでいるのですが、みんなして、
「大人ってなんだろうね」「私達はあんな争いはやめようね」と絆を深めたものです。
しかし、大人の事情で、交流が一切なくなってしまい。今では全く連絡も取り合うこともしなくなりました。
 
次に、母方の祖母の葬儀でした。
気性の荒い祖母は、最後の最後まで周囲を信じることをしない人でした。
最後の別れだと言うのに、誰一人泣く人はいませんでした。
唯一、年離れた私の姉が、号泣したのみです。
子ども心に、「葬儀はろくなことないな」と呆れてしまったのです。
 
次の葬儀は、母方の叔父の奥さんが亡くなったときです。
両親の離婚に伴い、親族との関係が遮断され、祖母の葬儀から20年も経ていたのでした。
子供の頃に会ったきりのいとこ達が、みな大人になってびっくりしつつ、みな子供の頃の面影が残っていたことに、安堵した記憶があります。
このときに会った叔父も、数年後に病気で他界しました。
私はすでに、結婚し、子どもも3人育てていたのですが、出産祝いに娘の洋服を頂いたことは、心から嬉しかったものです。
しかし、しばらくして亡くなったため、葬儀に出席した際は、やっと涙を流す意味を知ることができたのです。
 
とうの両親の葬儀には、出席できていません。
母とは、敬遠の中となり、亡くなった際は無縁仏になったと風の便りでききました。
父とは、両親の離婚後連絡もなく、突然遺言信託を請け負っている銀行から呼び出されたことで、後妻さんがいたことが判明したくらいです。
こうして、私は、きちんと別れを言うべき人に、何も言わずにきてしまったのです。
 
そんな私が悔いても悔いてもどうしようもなく、葬儀に参列できなかったことがあります。
それは、職場のボスの葬儀でした。
コロナ渦の中での、突然死だったのです。
持病をもっており、とある大学病院の通院されていたのですが、そこの研修医が集団感染を起こし、外来がすべて中止になったのがきっかけでした。
ボスは、高血圧症で通院していました。
本来なら、医師の監視のもと投薬の調節をしていたのですが、外来がなくなったことで、服薬を飲み続け、逆に血圧が低くなりすぎたのです。
そして、ある日、突然倒れてしまい、発見されたときはもう亡くなられていました。
私を含め、職員一同に動揺が走ったのは記憶しています。
そして、ボスが亡くなってから1週間後に、私は大きな交通事故で右腕の複雑骨折などの大怪我をしました。
手術も全部で3回行いました。右腕以外にも、頚椎骨折、肺挫傷といった重症だったため、休業を経て退職することになりました。
その間に、ボスの葬儀が行われたのですが、もちろん、私は出席することができませんでした。
最後のお別れができなかったのです。
 
今、テレビではCNNチャンネルが流れています。
エリザベス女王の葬送行進を、たくさんの人が見守っています。
私には、この経験がなかったので、今までできなかったことをなぞり直しています。
「弔い」は、ゆっくり時間が流れています。
この時間をみんなで共有しながら、故人を偲ぶことは、これからの自分がどうあるべきかを、見つける時間なのだと改めて知った次第です。
今までできなかったことを、私が生まれた時から異国の女王として存在していたとある女性に助けられています。
 
これからの自分は、どう生きようかと思いを馳せています。
「もっと自然を愛しておこうかな」
「もっと自分を大事にしようかな」
「もっと自分にしかできないことにすべてを投入しようかな」
おかげで、未来に勇気をもって生きて良いのだと思えるようになりました。
 
最後に、長きに渡り、世界史を見守ってきた1人の女性に、心からお悔やみを申し上げます。
 
 
 
 
***
 
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