メディアグランプリ

おひとり様はサンタクロースの恋人とバレンタインの夢を見るか


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記事:沖 明香(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
先日、久しぶりに会う総務の女性と話す機会があり、会話にすこし間が空きそうなことを怖れたわたしはとある話題をふってみた。
 
「Nさん、今年はバレンタインの催事場に行きましたか?」
 
もうすぐバレンタインで、そういえば去年彼女が会社帰りに催事場に寄って帰ると話していたことを覚えていたからだ。すると彼女は食い気味に話題に食いついてくれた。
 
「行きました!聞いてください!この前、気づいたらチョコに4万円近く使っていたんですよ~!」
 
4万!? 聞いた瞬間、びっくりした。4万ってライティングゼミの受講料とほとんど変わらないではないか。しかもほぼ自分用でその値段らしい。わたしならそのお金で絶対に別の講座を受講する。
 
何をそんなに購入したのか気になったので聞くと、その時期にしか出ない有名メーカーの缶入りクッキーやら包装違いのチョコやらを買ったらしい。
 
ちなみにクリスマスも同じパターンだったようだ。
 
クリスマスははじめクリスマスケーキを1つ予約したが、最終的に別のところでもケーキ3つで1セットのものを予約し合計4つになっていたとのこと。せっかくのクリスマスの楽しそうな雰囲気に1つじゃ足りないような気がしたらしい。
 
そんな彼女は1人暮らしである。ちなみに節分もデパ地下で恵方巻を4つ予約して、これまた消費期限が切れた後もずっと食べていたとのこと。
 
なんでやねん。
 
心の中で突っ込みをいれつつも、とても楽しそうに話す彼女をみて、ちょっとうらやましくなり、同じおひとり様でもこんなにお金と時間を費やすものが違うのかと驚いた。
 
わたしはどうだったかというと、クリスマス、節分、バレンタインとまったく何もしなかった。ケーキもチキンも買わないしプレゼントも買わない、恵方巻も食べないし、豆はまかないし、バレンタインに至っては当日気づいた有様である。
 
ある意味、わたしも極端なのかもしれない。
 
彼女に話すと流されないんですね~と言われたが、そもそも季節イベントっておひとり様には優しくない仕様になっている。
 
とくに日本の季節イベントはまるでカッコウの托卵のようだ。
 
カッコウは他の鳥が卵を産む瞬間を虎視眈々と待ち続け、卵を産んだと思ったらその卵を巣から落とし、自分の卵を産み付け他鳥に育てさせる。親鳥たちは自分の子どもだと思って、一所懸命エサを与え大事に育てている。
 
生存競争とはいえ、なかなかに恐ろしい所業である。
 
季節イベントは、本来その国ごとの伝統や風習に基づき、祝福や感謝もしくは畏敬の気持ちを形にして捧げる特別な日だ。
 
しかし正直日本の季節イベントの意味もそれほど深く知らないものも多い。日本古来のものはまだしも、さらに海外輸入のものは日本に入ってきた段階で本来の意味はほぼ薄まる運命をたどるといっていいだろう。
 
そこを企業が虎視眈々と狙い入り込むのだ。
 
本来の意味は薄まったところに、新たな意味をつけたし加工し、いかに特別な日として意識させ、お金を落とさせるのかについて、企業は激しいマーケティング戦争を日々おこなっている。
 
そして気づけばイエス・キリストの生誕祭は恋人や親がサンタクロースになる日になったし、キリスト教司祭ウァレンティヌスが処刑されたことを偲ぶ日は、チョコレートを恋人に送る日になったのである。
 
ちなみに、海外ではバレンタインに恋人や家族や友達にカードや花束、お菓子をあげるのだが、日本はチョコレートを贈るようになったのは完全に企業と広告の勝利である。
ハロウィンなんかは、わたしの子ども時代にはほとんど何もない日であったのに、いつの間にか大仮装大会日になっていた。
 
そういえば節分の恵方巻も、そもそも関西の一部の地域で行われていたはずなのに、いつの間にか全国区だし。秋元康なみのプロデュース力である。
 
日本の企業は徹底的なマーケティングの元、本来の季節行事に新しい意味づけをした行事を産み落としては乗っかった人たちにお金を落とさせていく。
 
そのマーケティング力自体は素晴らしいし、もう少しだけ本来の意味を学べるようにしつつ、結果みんなで楽しく過ごせるのであればよいことである。
 
ただ楽しそうだな~と外から私のようなおひとり様が眺めることになるのは、その季節イベントのターゲットから外されているからだ。
 
季節イベントのマーケティングのターゲットは、家族か、恋人か、友だちかであっておひとり様は入っていないのだろう、おそらく。
 
本当はわたしだってちょっと浮かれて楽しみたいと思うこともある。
 
でもすぐに冷静になってしまうおひとり様が季節イベントに乗っかるためには、意図的に自分で自分を楽しませるように仕掛け、仕向けなければいけないのだ。ただでさえイベント当日は肩身が狭いのだからもっと優しくしてほしい。
 
企業もおひとり様をターゲットにした、おひとり様も心ゆくまで楽しめる季節イベントの仕掛けつくってくれないかな。
 
季節イベント疑似恋人体験をするプランとか。……いや確実になにか大事なものを失ってしまう気がする。でも最近はおひとり様旅行プランとか、ひとり焼肉とか流行っているし、意外にも当たるのではないのかなあ。
 
そうすればきっと季節イベントを楽しめるようになると思うのだけど……。自分の怠惰は棚に上げて、そんな他力本願な事を思うのだった。
 
 
 
 
***
 
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2023-02-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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