書くことが私を主人公にしてくれた
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:藤野宏隆(ライティング・ライブ京都会場)
「書いたことで何か変わったことはあったかい? 例えば、人生とか」
4か月前の私が、今の私に問い掛けてくる。
今の私は「そうだな、……」と話し始めようとしてやめる。
「どうしたの? 何も変わらなかったのなら、それでいいから正直に教えてよ」
そう言われて、改めて私は話し始める。
「せっかくだから、その疑問には書くことで答えさせてよ」
書くことで、自分がこの世界の主人公になれたよ。
書くことで、世界の見方が変わったんだ。
それを読んで、「どういうこと?」と以前の私が怪訝な顔をしながら今の私に聞いてくる。「まだ続きがあるんだろう? 待つからさ。その続きを書いて教えてよ」
私は続きを書き始める。
4か月前、私は「天狼院ライティング・ゼミ」を受講し始めた。だからといって、書くことを仕事にしているわけではないし、これから仕事にしようと考えているわけでも無かった。一方で、文章を書くことが出来るようになりたい、特に、自分の中にある考えや気持ちを表現できるようになりたいという思いはあった。もしかしたら、この講義が掲げている「人生を変える」なんていう表現に少し期待していたというのもあったかもしれない。
そして、講義を受け、課題提出として毎週文章を書くようになって気付いたことがある。世界の見方が変わったのだ。
それまでの生活の中でまとまった文章を書く場面はあまり無かった。書くにしても、研修を受けた感想だったり、今年の目標だったりとテーマが決まっていて、そのテーマも自分の外側から与えられたものだった。
でも、ライティング・ゼミの提出課題には外から与えられるテーマは無かった。ゼミや講義と言われているから、私は勝手に学校の授業を想像して、与えられるテーマに沿って文章を書きあげるものだと思っていた。そして、テーマを自分で見つけなければならないことは私を苦しめた。
自分の中にあるものを表現したいなんて思っていながら、自分の奥底から湧き上がってくる書きたいものなど私には無かったのだ。
それでも、私は書いた。普段の生活の中で何気なく思いついた些細なことや自分が子どもの頃に体験したこと、自分が最近経験したことから得た教訓、自分の変な癖など、なんとか自分が書くことの出来るテーマを見つけ出して書いていった。
実は、最初はそうやって書いていくことが少し不安だった。自分の経験を自分だけのものとしてとっておきたかったという気持ちと、自分の中にとっておきたいほど思い入れのある出来事が他の人に読まれる文章として外に出てしまう怖さ、その2種類の感情があって、自分の身体や心を少しずつ削りながら文章としてアウトプットしているような、まるで自分がどんどん薄くなっていくような感覚を覚えていた。自分を形づくるものをだんだんと別の場所に移していったら、周りに支えられていた自分の芯が最後には倒れてしまうんじゃないか。そんな風に思っていた。
しかし、書き続けることで、ようやく分かってきた。書くことは、確かに自分のことを世界に切り出す行為だけど、書くためには、切り出し続けても自分が無くなっていかないように世界を広げないとダメなんだ。自分を取り囲む世界は、少しぐらい切り取っただけで、縮んでしまうほど小さいものなんかじゃない。普段の生活を、何気ない身の回りの世界を、今までよりも広く大きく見たらいいんだ。自分の周りで起こることを出来るだけ自分事として捉えよう。まるで、この世界の主人公のように。
書くために自分の周りの世界を目一杯体験しようとする。旅行に行った感想を書こう、季節の変わり目を感じた瞬間を書き綴ろう、話題の映画やドラマを見て感じた気持ちを文章で表そう、あの時感じた気持ちを今書くために見つめ直そう。そんな風に、世界の見方が変わっていき、書くことも気楽なものになった。
どれだけ書いても自分が無くなることはなくなった。今では書くことは、自分から生まれるものを一つ一つすくい取って、世界に自分を広げていくような行為だと感じる。書くために広げた世界が、書くことでも広がるような感覚になる。
この時の主人公の気持ちを述べよ。まるで国語の問題みたいな文章を自分に投げかけることで書くことができる。その主人公とは私がよく知る私自身なのだから。
「どうかな? 君の知りたいことに答えられているかな?」
一息に書き上げた私は、過去の私に尋ねてみる。
「何だか、僕とは見ている景色の捉え方が違うみたいだね」
ゆっくりと読みながら、以前の私がポロっとこぼす。
「最初にそう書いたじゃないか。あの時は信用してなかったみたいだね」
「先のことは分からないからね。それで、人生は変わったと言えるかい?」
「人生が変わったかどうかなんてこれから先のことは分からないよ。これからも書くことで、その先の人生を見に行くんだ。一緒の景色が見たかったらさっさと君も書き始めなよ」
過去の自分と今の自分の気持ちを文章として書き出して、私はまた新しいことを自分が主人公の世界の中に見つけにいく。
***
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