わたしを構成している失われた世代の成分《週刊READING LIFE Vol.212 ライターとしての自己紹介文》
*この記事は、「ライティング・ゼミ」の上級コース「ライターズ倶楽部」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
2023/4/10/公開
記事:山本三景(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
超氷河期世代の生まれである現在の40代には、チヤホヤ期というものが全くなかったように思える。
バブル世代でもなく、かつてないほどの就職難に見舞われた、いわゆるロストジェネレーションと呼ばれる悲しい世代である。
失われた世代……今のZ世代とは全然違う世代である。
わたしもこの世代の生まれのひとりである。
しかし、この世代にだっていいことはあった。
ファッションもストリートファッションからフレンチカジュアルなファッションまで、幅広く流行った時代だ。
今思い返すと、やたらとボーダーを着ていた気がする。
まあ、今もボーダーは着ているのだが……。
トートバッグが流行り出した1990年代の女の子たちはフランスのブランドのエルベシャプリエのトードバッグをよく持っていたが、このブランドは現在もすたれていない。
そして、音楽や映画、テレビなどのエンターテイメントに活気があった。
フジロックが始まったのも1997年だ。
メインカルチャーに対して、少数派に支持される文化を総称してサブカルチャーと呼ぶが、いわゆる「サブカル」と呼ばれるものが発達していった時代に、わたしは20代を過ごした。
2000年になって、オタクという文化の地位がグンと上がって、市民権を得たように感じるが、それまでは結構隅に追いやられて敬遠されがちだった。
いまやコスプレもアニメも世界に羽ばたいていき、陰キャも陽キャも関係なく優れたエンターテイメントとして身近なものになっている。
いい時代になったものだと思う。
オタクと呼ばれる人たちが肩身の狭い思いをした時代もあった。
サブカルの台頭によってオタクの地位が変容していったきっかけになったのかもしれない。
かくいうわたしも、あの頃は遊べる本屋と銘打った「ヴィレッジヴァンガード」に通い、聴く音楽や観る映画もサブカルだった。
そして、おしゃれ風を装いながら、頭のなかではバカげたことを考えていた。
バカげたことを考えるのは今も変わらない。
自分が陰キャか陽キャかと問われると、間髪入れずに陰キャと答えるだろう。
そのバカげたことを書いた記事がこちら。
子どもの頃は、皆がアイドルに夢中になってアイドル雑誌を読んでいたなか、映画雑誌の「ロードショー」や「スクリーン」を読んで、海外の映画や俳優、監督などの情報に目を輝かせていた小学校時代を送っていた。
そのため、実際の年よりもずっと昔の映画について、同年代よりも多少詳しいのではないかと思う。
映画雑誌から映画関係の雑学をひろうのが好きだった。
売れる前の作品に注目したり、監督と作曲家のコンビに注目したりとマイナーなところへ目を向けると面白い。
現在は一周して、「やっぱり王道がいいよね」という境地にたどり着いた。
おそらく、仕事が忙しく、ストレスなく観ることができる楽しいエンターテイメントを脳が欲しているのだろう。
楽しいエンターテイメントのことを書いた記事がこちらだ。
単にミーハー気質なのだ。
純粋な映画好きというより、映画ゴシップ好きな面もある。
映画ゴシップというジャンルがあれば、結構得意なのかもしれない。
そして、本はいろいろなジャンルを読む。
「好きなジャンルはなんですか?」
と聞かれると、
「好き嫌いなく、なんでも読みます」
と、答えるだろう。
いわゆる雑食だ。なんでも食べる。
ええ、何色にだって染まります。
これまた、ミーハーなので、「この本いいよ」と薦められれば、尻尾をふりふり飛びついている。
ネットで紹介された記事や、親しい人に薦められた本は漫画であればポチっと電子書籍で購入し、小説であれば紙の書籍で購入している。
もちろん、読んだ結果、自分に合わない本もある。
石橋を叩いて渡るような性格なのだが、こういうときは何も考えずにすぐに買ってしまうのだ。
いまどきの本も好きだが、教科書で習うような文豪たちのエピソードも大好物だ。
太宰治が、芥川賞で落選したときの選考委員だった川端康成に対して批判した文章を読むと、人間くさくて嬉しくなる。
やはりここでも裏のエピソードをひろうことが好きなのである。
なんだか、自分がハイエナのように思えてきた。
そして、
「そういえばハイエナって……」
というような感じで、雑学を数珠つなぎで連想するのも好きなのかもしれない。
これは飲みの席でやられると辟易するので、雑学を披露する機会なんて実はそんなにない。
興味がないことを聞かされると、人は「へぇ」「すごい」「さすが」の3つの単語で切り抜けがちだ。
わたしもしたことがある。
それゆえ、雑学を話す相手は見極めなくてはならない。
そんな雑学について書いた記事がこちらだ。
ちなみに、わたしは漫画好きではあるが、漫画への最初の入り口はホラー漫画だった。
物心ついた頃から、なぜかホラー漫画を読みだした。
家にあった「楳図かずお」の本がきっかけだったのかもしれない。
黒い背表紙の、わかりやすいホラー漫画をお小遣いで買いそろえていった。
子ども時代の1980年代のホラー漫画は読みごたえ十分だった。
単なるホラーというだけではなく、いじめの問題が入っていたり、宗教の問題が絡んでいたり、秀逸なテーマの漫画も多かった。
可愛いさかりの小学生の本棚に、「幽霊」「悪魔」「恐怖」など文字がタイトルに入っている背表紙がずらりと並ぶと、「この子、大丈夫か?」という気持ちになるかもしれない。
大丈夫です。すくすくとここまで成長いたしました。
現在は、あの頃に比べてホラー漫画は目に見えて減ってしまった。
テレビの心霊番組も少なくなった。
目に見えない恐怖を描くのに、幽霊や悪魔といったものよりも、人間の行動のほうが怖いということなのかもしれない。
ホラー漫画が原点ではあったが、それからいろいろな漫画を読むようになり、今日にいたる。
大人になったら漫画を読まなくなるのだろうと思っていたのが、現在も昔とかわらず堂々と漫画を読み続けている。
大人が漫画を読んでもおかしくない時代になったのをいいことに、これに甘えてどっぷりと漫画の世界に浸かり、気が付けば漫画の数は電子書籍だけでとっくに1000冊を超えてしまった。
昔と違って電子書籍というものが登場したせいで、本を置くスペース問題が解決してしまったことも、漫画を読むことに歯止めがきかなくなっている原因のひとつだ。
電子書籍がなければ、ここまで蔵書が増えることはなかっただろう。
昔の漫画にとどまらず、漫画の情報は常にアップデートされているので、若者のほうが呆れているかもしれない漫画の蔵書数になっている。
幼い頃にはまったホラー漫画はもちろんのこと、少年漫画、少女漫画、青年漫画、女性漫画と幅広いラインナップをそろえている。
若い頃はあえてマイナーな方向へ行きがちだったが、それは長続きせず、少しでも面白そうと思ったものについて、興味という名の尻尾はすぐに振ってしまう。
ひとつのことに造詣が深いという強みはわたしにはないかもしれない。
ただ、雑食な分、いろいろと知っている。
面白いと思った情報を、これからも記事のなかに組み入れて、楽しい記事を書いていきたい。
自分がライターとしての強みがあるとすると、「好き」という気持ちより、興味あるものの見つけ方かもしれない。
最後に、わたしが書いたエッセイのなかに、お笑いと仏教をまぶしたものを紹介し、この記事を締めくくりたいと思う。
□ライターズプロフィール
山本三景(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
2021年12月ライティング・ゼミに参加。2022年4月にREADING LIFE編集部ライターズ倶楽部に参加。
1000冊の漫画を持つ漫画好きな会社員。
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