ちょっとひねくれたアラサー女の生態について《週刊READING LIFE Vol.212 ライターとしての自己紹介文》
*この記事は、「ライティング・ゼミ」の上級コース「ライターズ倶楽部」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
2023/4/10/公開
記事:川端彩香(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
人は失恋した時、いろんなタイプに分かれると思う。
次! と切り替えて新たな恋を探しにすぐ行動に移すアクティブな人。相手のことが忘れられなくて1人で落ち込み、友人に話を聞いてもらっても落ち込み、失恋ソングをひたすら聞いて共感して自分をこれでもかというくらい悲しみの沼にぶち込む人。失恋のことなんて考える暇がないくらいに仕事やプライベートの予定を詰めまくる人。そして、相手を見返してやると怒りなのか何なのかわからない感情に満ち溢れ、自分磨きにこれでもかと熱意を注ぎ込む人。私は1番後者の、自分磨きに勤しむタイプだった。
当時28歳の私は、振られた翌日から-10kgのダイエットを決意した。
別に「太ってるから嫌いになった」とか言われて振られたわけではない。痩せてはいないが、体重は155㎝の身長に対して標準体重と言われる数字より少しだけ上回っているくらいだった。ただ服装は太って見えないように選んでいたので、割と着痩せはする方である。
ではなぜダイエットなのか。
次に万が一再会した時に、一番変わっているのがわかりやすいのが、見た目だからだ。ただそれだけの理由である。
それからダイエットがスタートし、約1年かけて私は目標の-10kgを達成した。ただその間に、体型以外の外見のあれこれも気になったことから本格的に自分磨きが始まった。当時流行っていたイメコン診断を片っ端から受け、日々メイクやファッションの研修に勤しんだ。
それでもまだ物足りない。というか、こんなに見事に垢抜けた私を、元彼が知らないという事実に、理不尽ながらも腹を立てていた。そして行き着いた先が「文章を書く」という術である。天狼院書店のライティング・ゼミは、課題で提出した文章がWEBに掲載される可能性もあるから好都合だった。WEBに掲載されるということは、元彼が私の記事を目にする可能性も0ではないからだ。0ではないからといって、ほとんど見る可能性もないのだが、私はとにかく自分の成果をどこかで見せびらかしたかったのだ。
その記事がこちらである。
結果、やはり元彼がこの記事に辿り着くことはなかったのだが、この文章を書き上げたことで少しすっきりした気持ちになり、自分の中で1つの区切りのようなものも感じた。
多くはないがいろいろな人と恋愛をしてきた中で、こういう気持ちになったのは良くも悪くも初めてだった。振られたときは腹が立ったし感情がかなり荒ぶっていたが、文章を書くというライフワークに出会えて良かったと思うし、そういった点では、文章というものに出会わせてくれたこの元彼に感謝している。
これが2021年10月の話であって、かれこれもう1年5ヵ月文章を書き続けている。決してポジティブな動機ではなく、少々ひねくれた動機ではあったが、そんな動機で始めたものを自分でもこんなに継続することになるとは思っていなかった。
文章を書き続けているが、書く内容はエッセイが多く、その内容は様々である。
以下は特にお気に入りの記事である。
冒頭の元彼に振られて以降、いろんな人とデートまでは漕ぎつけるものの、お付き合いまでには至らなかった。困り果てた私は占いに頼ることにした話について書いた。
2歳下の妹の出産についての率直な思いを書いた。自分のことではないし、自分にはどうすることもできないのに、離れた地で異様にそわそわした数日間だった。
私はストレスが溜まると動画サイトでアイドルが歌って踊っている動画を見漁るのが好きだ。その中でも東方神起は特別で、学生時代からのファンである。そんな東方神起のメンバーが結婚し、そして父になったことを知ったときの、本当に率直なファン心理を書いた。書き終えたときは「この文章を書くことができて良かった」と初めて綺麗な気持ちで思った瞬間かもしれない。
私が文章を書き始めるきっかけをくれた、あの元彼と再会した話。これを書き終えたときに、やっと今までのひねくれた執念が浄化したような気持ちになれた。
文章を書くようになってから、日常生活で起こるだいたいのことを前向きに捉えるようになってきた。もちろん文章なんて書く気になれないほどどん底まで気持ちが落ち込むことも少なくないのだが、そんなときも文章に自分の素直な思いや考えをぶつける。文章を読んでくれた友人や会社の同僚は「言葉がストレートだから読んでいて気持ちいい」だとか「まっすぐな気持ちが伝わってくる」といった感想をよくもらっている。記事によっては、泣いたと言われることもある。自分の率直な思いをそのまま文章にぶつけてはいるものの、泣かそうと思って書いていないし、私は決して器用な人間ではないのでそんなことはできない。自分の心の叫びを文章にぶつけているだけで、読んだ人の心を震わすつもりで書いた記事は正直1つもないのだが、素直で飾らない文章がそういった感想を引き出してくれているのかなと分析している。
これからも自分の気持ちに嘘をつかず、自分が「そのへんにいる至って平凡な肩書きの女(ちょっとひねくれているかもしれない)」だということを忘れず、その自分が書く文章が魅力だということを心に留めて書いていきたい。
そして春から、WEB READING LIFEでの連載企画が決定した。
その名も『こじらせ女子図鑑』というもので、世の中のこじらせている女性たちにひたすら取材をし、それをファイリングして図鑑を作っていく、というなんとも炎上要素が満載なひねくれた企画である。でも、今はこれを考えているときがワクワクして仕方ないし、取材をしているときは楽しくて仕方ないし、書き上げた記事を自分で読み返したら面白くて仕方がない。取材は本企画で初めて挑戦しているが、ライターとしてできることが増えたという喜びが非常に大きい。
本企画に関してはWEBでの企画に留まらず、オフラインでの企画にも落とし込みたいと考えている。
文章のことを考えると、とてもワクワクする。
ちょっとひねくれた動機で始めた「文章を書く」という行為だが、それがいまやこんなにも私の生活になくてはならないものになっている。
今日も明日も、生活のどこかで記事のネタを探して、頭の隅でその構成を考える。私はもう、文章なしで生きられないのかもしれない。
□ライターズプロフィール
川端彩香(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
兵庫県生まれ。大阪府在住。
大阪府内のメーカーで営業職として働く。コロナ禍で当時付き合っていた彼氏に振られ、見返すために自分磨きを開始し、その一環で2021年10月開講の天狼院書店のライティング・ゼミに参加。2022年1月からライターズ倶楽部に参加。文章を書く楽しさを知り、振られた頃には想像もしていなかった方向に進もうとしている。WEB READING LIFEにて連載企画『こじらせ女子図鑑』を連載開始予定。
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