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占い師の私が占いを信じない理由と、唯一信じているものについて語ってみた


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記事:夕焼けダンス(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
あなたは占いを信じるだろうか?
 
私は占い師だが、基本的に占いは信じていない。
朝のニュースで出てくる星座占いは見ないし、霊感もない。
 
何の仕事をしているか聞かれて、占い師だと答えると男性から言われる言葉、第一位は
「俺、占いって信じないんよね〜」であるが、私はそれに対して「一緒やん、私も信じとらんよ〜」と必ず返す。
(こう返ってくるとは思わんかっただろう! と毎回ひっそりドヤ顔をしているのは秘密である)
 
 
そんな私が占い師になったのは、動物占いができる知人に占ってもらったことがきっかけだった。
 
動物占いとは生年月日から運勢や性格を鑑定することができるもので、生まれ持った個性を分かりやすく形容詞(または色)+動物に当てはめたものである。
ちなみに私は「華やかなこじか」である。色で言うと「シルバーのこじか」だ。
 
 
今から4年ほど前、動物占いに詳しい知人に会った際にその場の流れで占ってもらうことになった。
占いは信じない派だが、本格的に占ってもらった経験はなかったため、どのようなものなのか純粋に興味があったのだ。
 
占いといえば「ズバリ言うわよ!」のイメージがあり、エンタメのノリで「当たったらおもろいな〜」なんて軽い気持ちでいたのだが、この後私は家に帰って泣くことになる。
 
 
のほほんと構えている私に、知人は開口一番に「これは生きづらそうやねー」と言った。
ドキッとした。まさに生きづらさを抱えていることに悩んでおり、図星だったからだ。
 
知人曰く、私は「他人から見た時の自分」と「本当の自分」の個性にギャップがあるという。
 
「他人から見た時の自分」は、人間で例えると「老婆」のような雰囲気。落ち着いており大人びた印象を持たれがちだということだ。
一方で「本当の自分」は「赤ちゃん」のような受け身のタイプ。人に頼ってナンボな愛されキャラだというのだ。
 
これを聞いた時に「え? 当たってないやん……私全然愛されキャラやないと思うんやけど……」という感想が真っ先に浮かんだ。
しかし改めて自分の人生を思い返すと、腑に落ちることがあった。
 
 
恥ずかしがり屋の性格から比較的大人しく、長女だったこともあってか幼少期から「落ち着いているしっかり者」のレッテルを貼られ、お姉さんキャラとして生きてきた。
 
すると、どうやって人を頼ったらいいのか分からないし「大丈夫?」と聞かれても、反射のように「大丈夫です」と答えてしまう大人になっていたのである。
 
占ってもらったことで、本当は人に甘えたいし自分一人で抱えきれないことは手伝って欲しいと思っているのに、恥ずかしさや申し訳なさが邪魔をして、長年「本当の自分」を押し殺したまま過ごしていたことに気づいたのだ。
 
 
それまで漠然とした生きづらさを感じていたのだが、その原因は少なくとも「老婆」と「赤ちゃん」という個性のギャップにあるのかもしれないと分かりスッキリした。
 
この鑑定結果を聞いて「当たってる!」と思ったというよりは「自分のことを考え、向き合うヒントをもらった」という感覚になり、その結果腑に落ちたのだった。
 
 
誰にも言えなかった「本当の自分」を見つけてもらえたことが嬉しかったのか、はたまた生きづらさを感じてきたことを思い出してなのか、何の涙か分からないが家に帰ってから一人静かに泣いた。
この日をきっかけに「赤ちゃん」の部分を少しずつ外に出していこうと決意した。
 
慣れないことで最初は抵抗があったが、まずは大丈夫じゃない時には「大丈夫じゃないです……」と言うことから始め、だんだん人に頼ったり甘えたりすることができるようになっていった。
そして生きづらさが緩和されつつあることに感動し、占いを通して同じように悩んでいる人の手助けをしたいと思うようになったのである。
 
 
それから色々な種類の占いを勉強し、習得して私は占い師になった。
 
と言っても相変わらず霊感はなく、基本的に占いを信じないスタンスはそのままであるが
1000人以上鑑定してきて、自分なりの占いとの良い付き合い方を見つけた。
 
 
それは「占いは、おばあちゃんの知恵袋だ」と捉えるということだ。
私はこの2つを、根拠はないけど使えるものであると考えている。
 
占いは科学で証明することが難しく明確な根拠がない。
「占いは統計学だ」と言っている占い師もいるが、実は厳密に言うとちょっと違う。
そのため、現段階で占いは先人の情報や知恵、経験則などからできた「統計のようなもの」だと私は思っている。
 
更に、おばあちゃんの知恵袋と占いに通ずる点は、思い込みの力で効果を発揮しているという部分にもあるのだ。
人間の脳みそは騙されやすい。
おばあちゃんの知恵袋で「これを飲むと熱が下がる!」と言われると、科学的根拠がなくても
熱が下がることがあるのと同じように、占いでも客観的に見たら違うかもしれないけど「あなたはこうです!」と言われると、何だかそんな気がしてくることって結構ある気がする。
 
 
占いは信じるか信じないかではなく、使うか使わないかで考えると鑑定結果が活きてくるのだ。
エンタメとしてなら信じるか信じないか、当たっているか当たっていないかで考えるのも一興だと思う。
しかし、わざわざお金を払って占い師にお悩み相談をするのであれば話は別だ。
 
 
人は自分の見たいように物事を見るし、自分の考えたいように物事を考える。
 
私が言いたいのは、大切にすべきなのは鑑定結果そのものではなく、鑑定結果に対して何を感じるか、何を考えるかであるということなのだ。
 
これは私の経験則に基づく考えなのだが、例えばあなたが占いの結果を聞いてイラっとすることがあったとしよう。
このように何かしら感情が揺れ動く時は素通りせず、何故そのような感情になるのか一旦深く掘り下げて考えた方が良い。
なぜなら、実は意外とこれがお悩み解決の糸口になる場合が多いからである。
 
つまり占い師という第三者からアドバイスをもらうことで、今まで自分一人では考えつかなかったことをひらめいたり思いついたりする可能性があるということなのだ。
また、行き場のない感情や苦しい現状に意味を持たせ、乗り越える方法が見つかるかもしれない。
 
 
占いは鑑定結果が全てではなく、あくまで自分の人生の選択肢を増やすためのヒントを見つけられるものなのだと思う。
 
 
占いを「未来予知してもらうためのツール」というよりは「理想の未来をつくるためのツール」として自分主体で捉えてみるのはどうだろうか。
 
人生どうなるかは自分次第。
だから私は占いを信じるのではなく、自分自身を信じるのである。
 
 
 
 
***
 
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2023-04-19 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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