私と家族は、「ワンピース友達」である。
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記事:八幡未来(ライティング・ゼミ6月コース)
私と家族は、「ワンピース友達」である。
ワンピースとは、海賊王になることを目指し、主人公ルフィが活躍するあの漫画である。
きっかけは、コロナの流行が始まった2020年3月。
まだ実家住まいだった私は、母から家族の異変について相談されていた。
「弟が、とても落ち込んでいる」
17歳年下の弟は、小学5年生を終えようとしていた。
「先生が終礼でこんなことを話していた」「クラスで今度こんなことをやるんだ」
と、毎日のように教えてくれるくらい、その年の先生が、仲間が好きだったようだ。
そんな中での学校閉鎖。再開の目戸は全く立っていない。
毎年クラス替えがある小学校で、「大好きなクラスとこんな状態でさよならするのはイヤだ」と、ひどく落ち込んでいて、どうにもしてあげられない家族にも、悲しい空気が広がっていた。
そんな中、会社の先輩から、「スマホのアプリでワンピースが無料で読めるよ」と聞いた。私はすぐにダウンロードした。
期間限定で漫画が無料で読めるといったサービスは、コロナを期に増えたように思うが、そんな中でもワンピースは特に早かった。
そして私はひらめいた。
この休みを利用して、「家族全員ワンピース読破計画」を実行しよう。
弟はクリスマスプレゼントに貰ったワンピースのゲームをプレイしていたが、原作は読んだことがなかった。ゲームに出てくる舞台やキャラクターの存在も、「砂漠のステージ」「ここでは、カクっていうヤツが出るらしい」程度の知識しかなく、ゲームとして純粋に楽しんでいたようだ。
母と私も、ワンピースには興味があった。20年ほど前、母と当時小学生だった私は、図書館で借りてきたワンピースをちょこちょこ読んでは涙を流していたのだ。それ以来、作品には触れていない。
母に計画のことを持ちかけた。
弟に、休みのうちに成功体験を積ませてあげたいこと、スマホで無料で読めること。
すると母から、
「Tさんちに全巻あるから、借りれないか相談してみる」
との返事が返ってきた。
Tさんは、私の幼少期の友人で、今でも家族ぐるみで付き合いがある。
母からT家に相談してもらい、快諾を得た。数日後には、作品内の大きな区切りである62巻までが届けられた。
私は「読破計画達成ポスター」を作成し、リビングの壁に張り出した。
用紙の上半分にキャラクターのイラスト、下半分に表を入れた。縦の軸に母、弟、私の名前を、横の軸にはその時点で発刊されていた101巻までの数字を入れた。該当の巻数の上に、物語の区切りがわかるよう「イーストブルー編」「アラバスタ編」と入れた。
読み終わったら、蛍光ペンで自分の名前の列にある該当の巻数の枠を塗りつぶす。
可視化することで、達成感を得られるようにする。
それから、家族内での新しいコミュニケーションが増えた。
リビングで読んでいる者がいれば覗きにいき、「ほ〜、今そこね」と、様子を伺う。
特に感動するシーンを読んだ者は、読破ポスターを確認し、すでに読んだ者と語り合う。
日常で漫画と似たような状況があれば、そのセリフを再現し、家族のグループメッセージでは、名言スタンプをそろって購入し、やり取りした。
家族の中で新しい話題が増えた。
読み進めているうちに、弟の学校は再開した。新しい学年になってしまったが、落ち込むことなく、通い始めることができた。
「ワンピース」がもたらした物はそれだけではない。
ちょうどその時期に、私は婚活をしていた。
マッチングアプリを使用しての婚活。アプリ内でメッセージをやり取りし、約束を取り付け、気が合えば食事に行くのが一般的な流れである。
コロナが始まったばかりで、仲良くなったとしても会う約束がとりづらかった時期。
どんな人とやりとりをしても、先にすすみづらく、メッセージでのやり取りばかり関係が面倒くさくなっていた。
ワンピースを毎日読み、家族以外ともワンピースの話を語りたくなった私は、マッチングアプリ内で「漫画好き」と記してある男性とやり取りをすることにした。
その人は小学生の時から週刊少年ジャンプを購読し続けているという。
仕事の話や趣味の話をすっ飛ばし、いきなりワンピースで最近読んだパートの話をしたのにも関わらず、話題に付き合ってくれた。
その後、現在ジャンプで連載している面白い作品、アニメ化した作品の話題で盛り上がり、次第に仲良くなっていった。
その後順調に時を重ね、お付き合いすることとなった。
さらに、先日入籍もした。
弟の為に始めた「ワンピース読破計画」だったが、いつの間にか、家族の共通言語がひとつ増え、新しい家族も増えた。
感動を分かち合える仲間が一番近くにいる、こんな楽しいことはない。
物語も終盤に近づいている。あと少し、ワンピース友達と、航海の行く末を見守りたい。
***
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