大丈夫! 声をかけてみよう ~見知らぬ人を相手に、ストレスを感じないで済むための「策」はある~
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:むぅのすけ((ライティング・ゼミ6月コース)
ピンチは突然やって来る。
たまたま居合わせただけの人に、悲しいかなイラっとしてしまったり、ムカッとしてしまったり……
そんなことは、大抵の場合、出先で起こってしまう。
そして大抵は、とても些細なことである。
でも、そんな些細な事でも、下手をすると、せっかくのお出かけのいい気分が、台無しになることも否めない。
できることなら、回避したいものだ。
運を全て天に任せて、そんな場面に出くわさないよう祈るしかないのだろうか……?
そんなことを祈ってみたところで無駄だろう。
我々は、日々の生活の中で、多くの人と関わって過ごしているのだから
お盆休み、アウトレットモールのフードコートにて
見渡す限り、人、人、人の群れである。
時刻は午後三時頃で昼時はとっくに過ぎていたが、老若男女、多くのお客さんで賑わっていた。
私は人混みが苦手なので、普段であれば多少ウンザリしてしまうところである。
でも、大勢のお客さんのほとんどがマスクを外しているのを見て、ようやくコロナ禍が過去になりつつあることを実感できた私は、ちょっと浮かれていた。
連れが席を確保してくれている間に、私は2人分の注文を済ませて、呼び出しベルを受け取る。
席に戻る前に手を洗っておこうとして、フードコート内の数か所ある手洗い場へ行くと、ほんの少し列ができていた。
ちょっとくらい並ぶのは仕方ないな、と思った私は、大人しく一人の男性の後ろに並んだ。
男性の前には、セミロングの髪を真ん中から半分くらいシルバーに染めた女性が、今まさに手を洗っていた。
しばらくして、列が進まないことに気が付いた。
私の前には、たった二人しかいない。
手を洗うだけなら、あっという間に列は進んで、私の番が来るはずなのだ。
どうしたんだろ、おかしいなぁ……
鈍い私が気づくや否や、前にいた男性が列から抜けていった。
その時、すれ違いざまに「チッ」という音が聞こえた。
気のせいではない。
まさかの、舌打ちが聞こえたのである。
ぼんやりと、この後にありつける美味しいご飯のイメージを浮かべてご機嫌だった私は、一気に不穏になってしまった空気を感じながら、列を抜けた男性が空いた分の一歩を進んだ。
列が進まないのは、未だ手洗い場にいる女性が理由であることは明白だった。
私は、彼女の様子を覗き込んでみることにした。
彼女は、着ていた白いトップスに付いた染みを、洗っているようだった。
よく見ると、彼女は20代前半くらいで、明らかに半ベソをかいていた。
推測でしかないが、せっかくのお出かけなのに、白いトップスにうっかり付けてしまった染みが悲しかったのだろう。
もしかしたら、デートかもしれないし、そうじゃないかもしれないけれど、とにかく、うっすら涙を浮かべながら、必死に染みを洗う彼女は、傍目にも気の毒な図であった。
私はその状況に、勝手な思い込みかもしれないが深く同情した。
だがしかし、である。
たとえそうであっても、たかが個人の服の染みである。
混んだフードコートで手洗い場を独占し続けていい理由、にはならないだろう。
冷たいようだが、私はとっさにそう考えた。
だから私は、迷わず、声をかけた。
「あのぅ、悪いけど、手、だけ、洗わせてもらえませんか?」
すると相手は、ハッとした様子で
「すみません! どうぞ」
と言って、すぐに譲ってくれた。
私は、さっと手を洗って、彼女にお礼を言ってから、その場を去った。
私が手洗い場の列に並んでから、目的の手洗いを済ませて立ち去るまで、ほんの数分のことである。
私の前に並んで、手洗い場を使えずに舌打ちして去った男性は、おそらくだが前にいる女性がなかなか去っていかないことに、腹を立てたのだろう。
もしくは、後ろに気を利かせて譲らないことであったかもしれない。
些細な事だが、そうやって、見知らぬ人に腹を立ててしまうことは、私はもったいないような気がしている。
腹を立てても相手にはわからないし、自分の目的も叶っていないなんて、損しかないではないか。
そんな時は、こちらから声をかけてしまえばいい、と考えている。
決して相手を否定する必要なんてない。
ただ、自分の目的のことだけを伝えれば大丈夫。
ヘンに気を遣うこともない。
あくまでも、優しく声をかけるのだ。
そうしていくだけで、出先での無駄なストレスは大きく減っているように思っている。
多くの人にお試しいただけると、幸いだ。
***
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