「先生、どうして勉強しないといけないんですか?」
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:おまど(ライティング・ゼミ2月コース)
小学生以上の子どもと関わっていると、こんな質問をされたことはないだろうか。
「どうして勉強しないといけないの?」
それに対して、あなたならどのように答えるだろうか。
私は、中学校で教員として働いている。
もう働き始めて13年が終わろうとしている。
この質問、今まで何度もされてきた。
教員になりたての頃は、
「高校に行くためでしょ?」とか、
「働くためには勉強しないとね」とか、
挙句の果てには、「そんなこと考えずに、勉強しなさい!」とか、
今考えると生徒の求める答えになっていないことをよく言っていたなぁと恥ずかしく思う。
どうして、このように答えていたのだろう。
この頃の自分は、この質問が怖かったのかな……と。
自分の中で、この質問のいい答えが見つからなかった。
何を言ったとしても、生徒たちは不服そうに少し首をかしげて質問を取り下げる。
そして、このクラスの中に少し気まずい空気が漂う。
(あのときの子たち、ごめんなさい)
そういうときの空気って、今でも鮮明に覚えている。
この質問について、ある人の考えを聞いたことがある。
「勉強は、将来の選択肢を増やしているんだ」と。
知識が少なかったり、できることが少ないと、将来やりたいことが出てきたときや、達成するために時間がかかってしまうとか。
(なるほどねーーー)
そう思って、一度そう返してみたことがある。
「先生、どうして勉強しないといけないんですか?」
「勉強は、将来の選択肢を増やしているんだよ。いろいろ知っていた方が、自分のしたい仕事とか、なりたい自分になりやすいと思うなぁ」
「別に、夢とかないし」
「……まぁ、勉強しよか……」
「……はい」
はい、また失敗。
そのときに気がついた。
この質問って、目標が明確じゃない子がしているな、と。
中学3年生を担当しているときには、聞かれたことがない。
おそらく「この高校に行きたい!」とか、具体的な目標が決まっているからだろう。
私の担当教科は数学。
この仕事も少しは慣れてきた頃、自分なりに考えをまとめて、この質問に備えたことがある。
「先生、どうして勉強しないといけないんですか?」
「私なりに、数学って未来を予想する教科だと思っているの。私は大学で関数を専門に勉強していたから、グラフを使って身の回りのことを予想する勉強をしていたんだけど、これってこれからの時代、大事な力だって思っているよ」
「なるほど!」
(ふぅーーー。よかった……)
「じゃあ、他の教科って、何のために勉強するんですか?」
「え……??」
(知らないよ、そんなこと)
「他の教科の先生に聞いてみたら??」
(ごめん!他の教科の先生方!!)
本当の意味での答えではないような気がする。
ここ最近、この質問を聞かれなくなった。
自分なりに考えてみると、1つの結論に至った。
「勉強することがおもしろい」「できることがうれしい」
この気持ちを生徒たちが感じることができているのかが理由ではないだろうか。
何年も生徒たちと関わると、つまずきやすいポイントが見えてくる。
どうして、そのように間違えてしまうのか理解できる。
この学習が小学校の何とつながっていて、次の学年の何につながっていくのかがわかってくる。
「これって、前に習ったことと同じだ!」と感じられるような授業の作り方ができる。
今まで、その1時間、1時間の授業を一生懸命作っていた自分。
月日が経って、その点と点がつながって、線になっている自分に気がついた。
(そうか、わかるって、こういうことなのか……)
勉強が得意な子も、苦手な子も、共通しているのは、できることが嬉しいということ。
みんな、わかりたいと思っているということ。
その気持ちに寄りそい、きっかけを作ることが、関わり続けることが、私たち大人のするべきことなんだと思う。
先日、私の方からクラスの生徒たちに聞いてみた。
「ねぇ、なんで勉強ってしないといけないんだと思う?」
「高校に行くためでしょ?」
「いい会社に入るためには勉強しなきゃ!」
「夢をかなえるため?」
「お金を稼ごうと思ったら、勉強しないといけないと思う」
中学3年だからか、みんな自分の理由を答えていた。
「じゃあさ、勉強しないと、どうなると思う?」
「さっき言ったことがかなわない!」
「確かにそうだよね。私、最近考えてみたんだけど……、私なりの理由、聞いてくれる?」
「何?」
「勉強しなかったら、自分がどうやったらできるようになるのか、わからなくなるんじゃないかって。わからない問題があったときに、どうやったら解決できるのか、自分なりの解決方法を学んでいるんじゃないかな。大人になった今も、私、悩む問題がいっぱいあるもん」
「どうして勉強しないといけないの?」
もし、こう聞かれたら、めんどくさいなと思わずに、こう聞いてみてください。
「何か、困ってることある?」
***
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
お問い合わせ
■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム
■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。
■天狼院書店「東京天狼院」
〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)
■天狼院書店「福岡天狼院」
〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
■天狼院書店「京都天狼院」
〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00
■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」
〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168
■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」
〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325