人生はドミノ倒しのようだ
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記事:山本誠一郎(ライティング・ゼミ4月コース)
人生はドミノ倒しのようだ。
こんなことを言われると、ネガティブな表現として受け止められるかもしれない。
私自身、倒れるという言葉がネガティブな表現として受け止めていた1人だったが、最近、とてもポジティブに感じられる出来事があった。
2024年1月期のドラマで、私は「春になったら」という作品に出合った。
突然余命宣告を受けた父が懸命に自分の人生を全うしようとする姿や、周りの家族がその意思を尊重しつつ、葛藤を続けながら大事に残りの日々を過ごしていく姿に胸を打たれた。
また、私の青春時代に一世を風靡した「とんねるずの木梨憲武さん」が、久しぶりに俳優として作品に出演されたことも、見たい意欲が掻き立てられた要因の1つだったかもしれない。
話しを本題に戻そう。この作品をとおして、私たち1人1人の懸命に生きている日々や出来事が1つ1つの小さなドミノのように思えた。そして人生の最期を迎える時、並べてきたドミノが倒れ始め、その人にしか描けない、その人の一生が表現された壮大なアート作品が浮かび上がってくるのだ。
では、人生の最期に美しいアート作品を浮かび上がらせるにはどうしたらいいのだろうか。私は、人の一生においてドミノを数と色という視点から考えてみることにした。
まず、壮大な作品とするには、数多くのドミノが必要だ。人は1日過ごすことで1つのドミノを並べているが、それ以外にも自分にとって重要な経験をしたときや、重大な出来事に直面した時などもドミノを追加して並べていると考える。さらに、自分に関わってくれた人から与えられることもある。このことから、人生を大きな作品として表現するには、毎日同じことの繰り返しばかりでなく、新たな挑戦から多くのことを経験して、自身のドミノを増やしていく努力が必要だ。その努力を積み重ねた人が壮大な作品を造り上げられることだろう。この点を踏まえて自身の生活を振りかえってみると、新しい挑戦から避けて生活を送っているように思える。自分を取り巻く様々な状況を言い訳にして、取り組まない理由をいつも探している。そんな自分にこのドラマは警鐘を鳴らしてくれていたのかもしれない。そしてそんな自分を変えるキッカケの1つとして、「ライティング・ゼミ」を受講したのかもしれない。
次に、豪華絢爛な作品とするには、色鮮やかなドミノが必要だ。
数多くのドミノを用意できたとしても、鮮やかな色のドミノがなくては、美しい作品は完成しない。では、ドミノに色を与えるにはどうしたらいいのか。それには、数多くの経験を重ねることも重要だが、それ以上に人との繋がりがドミノに多様な色を与えてくれるものだと考える。昨今、人との繋がりが希薄化していると言われている。そんな中でも、環境が変わることを待つのではなく、身近な人への感謝の気持ちを表現することから始め、さらには自分から新たな環境へと足を踏み入れ、多くの人と繋がる努力が必要だ。そこで繋がった人達と数多くの体験や経験をとおして、喜びや悲しみなどを共感していくことで、ドミノに色が染まっていくものだと思う。この美しく仕上がったドミノを増やしていくことも美しい作品を造るうえで欠かしてはならないものだ。この点においても、自身の生活について振り返ると、年を重ねるたびに新しいコミュニティへ積極的に参加する意欲が減退しているように感じる。恥ずかしさや煩わしさという感情が先に出てきてしまう結果だろう。しかし、自分の人生を彩り豊かなものとするために、そんな感情に縛られることなく、積極的に新たなコミュニティへ足を踏み入れ、多様な人たちとの繋がりを楽しむ努力を惜しんではならない。
ではなぜ私がこの作品にここまでの影響を受けたのだろうか。
それは私自身が人生の折り返し地点を迎え、この先の未来をより良くしていきたいと思う年齢になってきたのだと思う。さらに父となり、あらゆるものの見え方が変わったことも大きく影響を受けた1つであろう。
そんな近い将来、大きな壁にぶち当たり、周りが見えなくなってしまうような出来事が待ち受けているだろう。その時は、勇気を出して歩みを止めて「春になったら」を再度見返そうと思う。何を今大切にすべきなのかを再確認しながら。
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