40代の男である私が、ヨガに取り組む理由と可能性
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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武藤正孝(ライティング・ゼミ6月コース)
「へー、面白そうじゃないですか」
「あぁ、ニューヨークとかでやっている……アレを目指すわけね」
……最近、私が「この話題」を出したときに、相手の返答が変わって来たと感じる。
私は40代前半の男性会社員であるが、ヨガのインストラクター資格を持っている。
そして、もう何年もヨガのイベントを企画・継続しようと試行錯誤を繰り返している。
「お前はカルト団体の関係者なのか?」
「女性の身体を見るのが目的なんだろう」
数年前……コロナ禍の前くらいまでだろうか。この話を切り出すと、相手からこのような反応が返ってきたことも少なくなかった。いや、多かった。
私はイケメンモデルでも、洗練されたニューヨーカーでもない。やや小柄で中年の、日本各地にいるサラリーマンだ。その印象と一致せず、このような返答も多かったのだろう。
しかし、最近は健康への意識の高まりからなのだろうか。「面白い」という反応をされることが、以前より確実に多くなっている。
男性がヨガをしているイメージも着実に変わってきているが、私自身が偏見を持たれても「止めよう」と思わなかった、ヨガをすることでの利点と可能性について挙げてみたい。
1. 職場以外での人間関係や、参加するコミュニティが持てる
自身の身体や健康状態については、老若男女関係なく多くの人が興味を持っている。体力に合わせて運動強度を調整できるヨガであれば、必然的に幅広い年代・経歴の人々が集まってくる。
会社員として仕事に忙殺されていると、どうしても人間関係に偏りが出てしまうが、日ごろの仕事で接点のない方々との交流はかけがえのないものになった。
全く異なる人生を歩んでいる人々から聴く、自分には無い視点での話は大変勉強と刺激になる。また相談する相手としても非常にありがたい存在になる。
ただし、大手のホットヨガのようなスタジオなどでは、会員同士や講師との会話も少なく、黙々と没頭しているケースも多いと感じる。
それはそれで非常に良いものだと私は思うのだが、もし人間関係やコミュニティを広げたいと思うのであれば、地域密着の小規模なスタジオや、オープンな場でのヨガイベントをのぞいてみるのもおススメである。
2. 身体が動く喜びを感じられる
この喜びは意外と大きい。
私は子供のころ、通知表で体育は「1」をもらったほどの運動音痴である。
この文章に付属している写真は、ヨガを始めて6年目くらいだろうか。かつては絶対にできないと思っていた、逆転(倒立系)のポーズをしているところである。
運動神経が悪い私にとっては「奇跡の一枚」とも言える写真であり、子供のころからのコンプレックスを克服したことや、純粋に「身体が思うように動く」ということが言葉に代えがたい喜びに感じることができた。
3. 「今、この瞬間」への無心での全力投球ができる
難しい動作ができるようになる。というのは大変喜ばしいことであるが、一方で著名なインド人のヨガ講師の方にこんな話を聴いたことがある。
「難しいヨガのアサナ(※ポーズのこと)が出来ても、人生は何も変わらない」
私自身も写真のポーズが出来たからと言って、人生は何も変わっていない。
では、何を得ることができるのか。
それは達成感による喜びと、このポーズを「無心で」練習できた時間が有意義だということだろう。
とくに私は仕事でのプレッシャーやネガティブな心情を引き摺る性格である。
そういったことを一時忘れて、シンプルなことに没頭ができるということが非常に良かった。
ヨガでは「今、この瞬間」に集中する、ということを重要視する。
100%が出来ていたわけではないが、こういう考え方を知っておくだけでも、気持ちに余裕が出たと感じている。
以上の3点で挙げた通り、よく言われるような健康面での利点には触れていない。
すでに語り尽くされていることをわざわざ挙げる必要がない。ということもあるが、
一番はヨガの身体的な健康面以上に、そこでのコミュニティの広がりや視野の変化を強調したいと私は考えている。
現在の日本では、ヨガは女性の美容やフィットネスとしての側面が強調されているが、古来は男性向けの「よりよい人生を送るための指針」のような哲学の一種である。
「ヨガ」という言葉も「つなぐ」という意味であり、思考と身体をつなぐものとされているが、人と人のコミュニティをつなぐものとしても、私は大きな可能性を感じている。
冒頭で触れた「ニューヨークでやっている」という話に戻したい。
ニューヨークでは、毎年6月の「国際ヨガデー」に合わせて、タイムズスクエアの前や国連本部で数千人の老若男女がヨガを行うイベントが行われているという。
ヨガの運動は、ラジオ体操のようなイメージで、老若男女や身体能力・運動神経の良し悪しを問わず取り組むことができる。
また、コロナ禍を経たことや社会の高齢化で、人とのつながりや健康に対する意識が高まっていると感じている。
みんなが参加することができ、健康や人のつながりを創り上げられる。そんなヨガのコミュニティが持つ大きな可能性を、私は多くの人々に提案したい。
また、そういうイベントやコミュニティを私自身が創り上げたいと強く思っている。
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