メディアグランプリ

こんな女性になりたい! と思う。彼女は、私の道しるべ。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:藤原 宏輝(ライティング・ゼミ5月コース)
 
 
「所作には、その人の過去も未来も表れるのよ」
彼女がそう言って、白いハンカチの角をそっと指先で整えた姿を、私は今でも思い出す。
 
初めて会った時の彼女の優しい笑顔、ふんわりとしたやわらかい雰囲気。
一瞬で、私は落ちた。
「こんな女性になりたい!」と直感的に感じた。
彼女の所作の1つ1つから醸し出される、言葉では言い表せない何とも言えない‘あたたかさ’
彼女の一日は、静かなルーティンから始まる。
プロトコールとマナーの専門家として、多くの企業や個人に向けてセミナーや個人レッスンを行っているが、彼女が指導しているのは、ただの礼儀作法やマナーではない。
人の心に寄り添い、自信と品格を育んでいく。彼女の“生き方”そのものだ。
そんな彼女を私は、姉のように慕い、心から尊敬し信頼し、今でもずっと親しくさせてもらっている。
 
私が彼女のもとで学んだのは、10年以上前。突然、東京で開催されるパーティーにお招きを受けた時だった。
「プロトコールを全く知らないとこういうパーティーの時、恥ずかしいですよね」
と相談した事がきっかけで、本格的に彼女からプロトコールを学ぶ事を決めた。
 
「プロトコールはね、国と国の偉い人たちが会うときに使う、特別なマナーやルールのことなのね。
例えば、外国の王様や大統領が来日した時に、どうやって挨拶をするか、どんな順番で座るか、どんな服を着るか? そういったことを、きちんと決めてあるルールが‘プロトコール’なの」
と説明してくれた。私があまりにも緊張していて、お辞儀の角度が浅かった日も、
「そのお辞儀には、あなたの真面目さがにじみ出ているわ。でも、あと5度だけ、心を添えてみましょう」と微笑んで教えてくれた。
プロトコールとは、“かたち”の学びではなく「本質は心よ」と日頃から話していた。
そんな素敵な彼女のおかげで、私は思いっきりパーティーを楽しむ事が出来た。さらに、日常生活の中では、知り合う事も絶対にないであろう方々と交流し、貴重な体験が出来た。
 
その日から数年経った、今。
「最近では、このプロトコールを特別なものにせずに、ふだんの生活にも少しずつ取り入れていって‘人を大切にする心と、その心のこもったふるまい’として、学ぶ人が増えているの」
と彼女は、話してくれた。
 
仕事にも自分自身にも、自信を持てなかったあの頃。
初めて彼女を見たとき、まるで静かな光を放つような人だと感じた。
その佇まいは美しくまっすぐで、品がある。それでいて、少女のように純粋な笑顔を見せる。
まさに! 私の「憧れの女性」だ。
しかし彼女は、決して偉ぶることがなく、どんなに多くの人に慕われていても、どんなに講師としてのキャリアがあっても、常に一人ひとりにまっすぐ向き合い、丁寧に、優しく接してくれる。
 
彼女の教室には、世代も職業もバラバラな人たちが集まる。
20代の働く女性、30代の婚活中の男性、40代のお母さん、50代の経営者、60代の定年後の紳士たち。最近では、就活中の学生さんも増えてきたようだ。
目標はそれぞれ別ではあるが、共通するのは、
「自分をもっと、磨きたい」「誰かを思いやる心を、育てたい」という、まっすぐな思いだ。
 
30代の男性は、「結婚を考えている女性に、男らしさがないと言われて」と肩を落として相談に来た。
まず彼には、挨拶の時の立ち方、椅子の引き方、会話中の“聞く姿勢”を伝えた。
“礼儀とは、相手を思う気持ちを、かたちにすること。”
プロトコールを学び、心を磨いたこの男性。1年後には、彼女にプロポーズして結婚を決めた。
 
ある日のレッスン後、私は彼女に聞いたことがある。
「先生は、どうしてそんなに多くの人から慕われるんですか?」
彼女は、少しだけ間を置いてから
「私ね、かつて“何者にもなれない”って思っていた時期があったの。でも、“所作”という扉を開いたとき、自分の内側にあった‘気付かなかった自分’を見つけることができたのよ。だから今は、それを次の人へ手渡しているだけなの」
と言った。その優しい言葉に私は、涙がこぼれそうになった。
誰かのために、言葉を選ぶ。言葉を贈る。
相手を思って、動作を整える。伝える。
場を尊び、自分を磨く。
これらすべて、日々のささやかな選択の中で、私を導いてくれている。
 
「所作には、その人の過去も未来も表れるのよ」と今でもずっと彼女は、教え子たちに微笑んで語る。
そんな彼女は、静かに社会を変えている。決して派手ではない。でも確実に、人の心に灯をともしている。彼女の教室は、今日もまた誰かの人生を、少しずつ、確かに整えて変えていく。
 
そして今、彼女のもとには多くの若者が集う。オンラインでも、リアルの講座でも、彼女の言葉は心に響き、「変わりたい」と願う人々の支えとなっている。
 
誰かのために自分を整えること。それを積み重ねていくと、心が凛としてくる。
プロトコールは、特別な人のものではない。誰もが、自分の中に持っている“気品”を呼び覚ます扉。
彼女の教室は、これからもその扉を開く鍵となっていくであろう。
私が信頼し、心から尊敬する女性。
少女のように純粋で、気品高く、そして何よりも“謙虚”という美徳をまとった人。
彼女に出会えて、本当に良かった。私の人生の誇り……。
彼女から学んだ所作と、心のあり方生き方は、確実に私の中でこれからも生き続けていく。
 
 
 
 
***

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2025-06-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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