名作映画と天狼院の「ある共通点」が教えてくれたこと
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:雪(ライティング・ゼミ日曜コース)
「わかりません! もうどうしたら良いか……!」
「逃げてはダメ。立ち向かうのです、マリア。そして自分の道を探すのです」
大好きな映画『サウンド・オブ・ミュージック』。
トラップ大佐のことを愛していることに気づき修道院に戻ってきたマリアに、院長が諭すシーンを見て、ふと思う。
私は「自分の道」を歩めているのか? と。
この映画に出会ったのは小学6年の時だった。
ある日視聴覚室に学年全員が集められた。
音楽担当であるY先生が言った。
「今から観る映画を、今年の学習発表会でやろうと思う」
嬉々として先生が再生した映画にすっかりのめり込み、見終わった頃には
「これやる! やりたい!!」と、皆沸き立った。
当時11歳か12歳だった私を含めた子供たちは、事の重大さを全く理解していなかった。
20年経った今冷静に考えてみると……正気ではない。
小学校の学習発表会だ。まず3時間ある映画を1時間くらいにする必要がある。仮に短縮出来たとしても、子供たちが演じられるような内容にし、セリフを覚えてもらい、歌も踊りも練習し、大道具や音響に……ってめちゃめちゃ大変だよ!?!?
しかも歌、全部英語だよ(まだ英語の授業はなかった)!?
小学校最後っていったって壮大すぎるよ!?
しかしこんな大人(20年後の私)の考える「無理でしょ」を飛び越えて、6年生が演じた『サウンド・オブ・ミュージック』は大成功だった。まだ劇団四季が舞台化する前だと思う。
成功の鍵を握ったのはY先生だった。たった一人で原作を1時間に短縮した脚本を書き、歌う曲の譜面をおこし、英語だった歌詞を日本語バージョンに作詞までしていたのだ。
勿論、日常業務は休まずに。
Y先生は音楽が本当に大好きな人だった。6年生だった私にも、充分伝わるほどの「好き」だった。
ただ「好き」だというだけで。ただ「やってみたい」というだけで。
そこまで人を突き動かすものなんだろうか。
自分で言うのも気がひけるけれど、私は子供らしくない子供だった気がする。
「これが好き」とか「あれは嫌い」と言うことが出来なかったし、人前で笑うのも泣くのも恥ずかしいことだと思っていた。
4人兄弟の長女で、母の機嫌をいつも伺って過ごしてきた。
生まれた時に大きな病気をして、「貴女は一度死にかけたのよ」と言われたことがある。
「自分は病気をして親に苦労をかけたのだ」という負い目があった。だからこれ以上親を困らせてはいけない、と思っていた。
そんな時にY先生に出会い、『サウンド・オブ・ミュージック』に出会った。
いつでもどこでも歌ってしまい、思ったことはすぐに口にするマリア。
どんなに周囲が「ハイル・ヒトラー」と手を上げても、決して敬礼しなかった大佐。
ふたりとも、誰かの目を気にしていなかった。
そしてY先生も、周囲から言われたであろう「そんなの無理だよ」を微塵も気にしていなかった。
自分がどうしたいか。
自分は何を大切にしているか。
大切なものがどうすれば守れるのか。
それだけを考えていた。
その姿が、小さな私の心の中にずっと残り続けていた。
今ならわかる。
私は、自分の人生の舵取りを誰かに委ねていたんだ。
でももう、自分の船は、自分で漕ぎたい。自分で漕いでいいんだ。
そう、「好き」を原動力にして。
「好き」を貫くのは恐いと感じるのは、周りにそんな風に生きている人が少ないと感じるからで。でも、本当にそうなんだろうか。
ライティング・ゼミを始めてからこの4か月間、何度も見てきた「フルスロットル」という文字。
そう、天狼院書店の社長の三浦さんの口癖だ。
三浦さんを始め天狼院書店のスタッフは皆、いつでも全力で、フルスロットルで、働いている。
どうしてこんなに働けるのだろう、とゼミを始めたばかりの頃は思っていた。
けれど、今思う。
きっとシンプルに、「好きだから」なのだろう。
好きだから、真剣にできる。
好きだから、全力で取りくめる。
だとしたら、自分の「好き」を封じ込めておく必要なんて、どこにもない。
子どもみたいに、全力で泣いて、笑って、そうやって生きていきたい。
映画には必ず終わりがある。ライティング・ゼミも今回が最後の投稿だ。
それでも人生は続く。
どうしたら良いか分からなくなったときは、自分の現在地を確かめよう。
こうやって言葉にして、時に歌って。そうしたら、また進んでいこう。
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