同調圧力なんかぶっとばせ!
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:富田裕子(ライティング・ゼミ平日コース)
「私は目立たないように、いつも他の人に意見を合わせている。自分の本当の考えは絶対に言わない」
「うざいって思われないように、自分の本当の気持ちは隠している」
私は以前、大学受験向けの小論文の模擬試験の添削指導をしていた。
20を超えるいろいろなタイプの課題が用意されており、受験生は自分の志望に合った課題を選択し、小論文を書いていく。
その中に、AO入試向けで、志望動機と絡めて自分自身を記述するといった課題があった。
その課題を添削すると、必ず「他人の目を気にして、自分自身を押し殺している」といったことを書いている答案に何枚もあたる。
読んでいるこっちの息がつまってくるような、答案の数々。
青春時代真っただ中、キラキラ輝いているはずの高校生たちは、実は生きにくく、苦しそうだ。
彼らは何におびえ、息を殺していなければいけないのか。
「KY」がかつて流行語になったように、「空気を読む」ということを、この日本は重要視する。
「空気を読む」というのは、集団生活をスムーズに送るうえで、大事なことである。
ところがそれが行き過ぎると、異質なものを認めず、排除することにつながる。
携帯電話・スマホが普及した現在は、特にそうなりやすい。
「うざい」「キモい」「死ね」などと書き込まれた、知らないうちに別のLINEグループができ自分だけが外されていた……。
そういった対象にならないように、いつも他人の顔色をうかがい、合わせる。
浮かないように、目立たないように。
だけど親でも先生でもない、ただの添削指導員だからわかることかもしれないのだけど、あなたたち、同じクラスで何人も同じようなことを書いているよ。
お互いがお互いに、同調圧力をかけあって、怯えているように見える。
「自分の考えは言えない」って、勝手に思い込んでいるだけなのかも。
そんな同調圧力とは、無縁に見える高校生がいる。
彼は、幼いときは体が小さく、線が細かった。一人っ子でのんびり育ったせいか、他人との競争や駆け引きに疎かった。また大人に囲まれて育ったため、語彙が大人びていた。
そんなちょっとした「異質性」を、からかわれ、いじめられた。
他の子から嫌なことを言われると、すぐしゅんとしてしまう子だった。
それが、明らかにかわってきたのは、5年生くらいからだ。
社会科見学だか、バスで出かける行事があり、彼はそのバスの中で「電車の車内アナウンス」の物まねをして、大うけした。彼の母はその話を他の子のお母さんから聞き、「あの子が人前で、そんなことするなんて」と驚いた。
6年生になり、今度は修学旅行の夜の演芸大会にたった一人で出場。得意の電車系物まねを6年生全員の前で披露し、演芸大会1位を獲得、賞品までもらってきていた。
中高ではますます積極的になり、彼は自分の意見をはっきり言い、やりたいことは何でもやる堂々とした子になっていた。
いじめられてしゅんとしていた子が、びっくりの「キャラ変」だ。
あきらかに変化した彼に、母は尋ねた。「どうして変わったの?」
「僕ね、いじめられていたとき、心がすぐポキっと折れていた。
嫌なことを言われて心がマイナス10になったとしたら、その後プラス3の良いことがあったとしても、心はマイナスのままやん。
せっかくいいことがあったのに、それってもったいないって思ったんよ。
心がマイナスにならないようにしていれば、いいことがあったらプラスがどんどん積み重なっていくよ」
母はびっくりした。
知らなかった。自分の息子がそんなこと考えていたなんて。
でも「心がマイナスにならないように」って、どうするの?
「僕は学校の門をくぐるときに、自分のテンションを高めにする。高めのテンションで、自分の考えをしゃべっていると、ああそういうヤツなんだなって思われる。
だけど、自分の考えを言ったからって、それで友達がいなくなるってことはこれまでもなかった。きちんと受け入れてくれる人もいる。
僕だって、空気読んで自分を抑えることもある。
でも、ちょっと嫌なことがあっても、心がマイナスにならないようにしているとそれほど落ち込まなくて済むんだよ」
彼が周囲も認める「キャラ変」を成し遂げるまでは、同調せず「異質」であることに対し、嫌なこと言ってくるヤツもいただろう。
それでも、一時的に心のレベルが下がったとしても、「心がマイナスにならないように」し続けることで、彼は自分を表現できる強さと、真の自分をわかってくれる友達を得た。
周りから浮かないように、目立たないように息をひそめていると、身も心もガチガチになってしまう。それでは、本当のあなたが死んでしまう。
肩こりもじっとしていては、ガチガチがひどくなるばかり。深呼吸して、少しずつ体を動かすことが必要だ。
同じように心のガチガチも、少しずつ動いて、開いていくことで、次第にやわらかくなっていく。
自分とは違う考えも、他人の目を気にして「異質」と弾かずに、耳を傾けてみてはどうだろう。
少し力を抜いて、思い切って、自分の考えを言ってみてはどうだろう。
「私もそう思ってた」という人が、案外近くにいるのかも。
それでも嫌なことを言うヤツがいたら、おまじないは
「心がマイナスにならないように」
大丈夫。すぐに回復できるから。
本当のあなたは、ガチガチのあなたよりずっと魅力的だ。
真のあなたをわかってくれる、真の友達に、きっと巡り合えるから。
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