メディアグランプリ

時は金なり


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【2月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:田中義郎(ライティング・ゼミ日曜コース)

ぼくは極小企業を経営している。
社員は一人、山の神だけである。ぼくが会社のコア業務を行い、それ以外はすべて彼女の担当だ。お金の管理から記帳、出張手配、事務用品や書籍の購入、ときには弁理士のような仕事などさまざまな業務をしてくれている。
コア業務という唯一つの仕事しかしていないにもかかわらず、ぼくは毎日超多忙だ。出張や外出する以外は、事務所で一人黙々と朝7時から夕方7時ごろまで仕事をしている。休日は年間10~15日程度、土曜も日曜日もぼくにはほとんど関係がない。そのうえライティングセミナーの受講で睡眠時間が削られ、ついに5時間台になった。でも、学ぶことも書くことも楽しいゆえ、新しい意欲が湧き出てくる。
ぼくの仕事を見て、働きすぎを心配してくれる人がときどきいる。また、よく儲かっているに違いないと勝手に決めつけ羨む人もいる。
働きすぎを心配してくれる人には「遊びより楽しい仕事をしているから大丈夫です。ぼくが仕事に遊ばれているのです」と答え、羨む人には「いつも3年先の仕事をしているので儲かりません」と答えている。事実だから他に答えようがないのだ。
ぼくが一番欲しいのは「時間」、もっとも大切にしているのも時間である。

時間は待ってくれない。刻一刻と過ぎ去っていく。過ぎ去った時間は二度と戻ってこない。怠けていても時間は叱ってくれない。どんな過ごし方をしていても正確に刻んで行く。
時間(の使い方は)は誰が決めるのか。自分自身である。仕事やさまざまな人間関係、社会との繋がりなど、それと家族と共に過ごす時間を除けば、100%自分の意思で決めることができる。
ぼくは自分の時間(自分の意思で使い方をめられる時間)をできるだけ多くとるように常に心掛けてきた。意味のない人間関係や職場でのお付き合いなどに自分の時間を断じて割かなかった。サラリーマンの頃もゴルフなどのお付き合い、宴席の招待などは一切受けなかった。変わった人だと思われたこともあったが無視した。意味のない時間で自分の時間を浪費したくなかったからである。
時間の主人公は自分自身である。時間は自分の人生そのものであり、時間に向き合う姿勢でその質が変わる。だから、結果に対して責任を負うも自分自身だ。
また、時間は有限である。
年齢に関係なく誰もが終末を迎える。それまでの限られた時間を自分のためにどのように生かすか。
人生には目的も目標も必要であるが、その根底を流れているのは「幸せ」だとぼくは頑なに思い続けている。まず自分が幸せになる。自らが幸せになれば、家族や周りの人々に伝播し、さまざまな刺激が以心伝心伝わっていく。まず幸せになるために必要な時間をより多く充てる。
幸せは手の届かない大きな出来事やドラマチックな出来事によってもたらされるものではない。運や偶然によってもたらされるものでもない。
幸せは、何かを達成できた喜びや人生に意義あるものを見出したとき、日常の中で感じるさまざまな喜怒哀楽などが混成一体となって、長い時間をかけて徐々に熟成されていくものだ。
時間は明日も1年先も10年先20年先も繋がっているから、幸せも途切れることはない。日常のさまざまな活動の中で目先のことも大切であるが、自分の幸せを常に意識して過ごすことがもっともっと大切なのだ。

どのようにして時間を大切にするのか。
例えば仕事の過ごし方である。
事務所で一人黙々と仕事をする日は「時間割」をつくっている。小学校から慣れ親しんできた、あの時間割である。
まず朝一番に本日の業務を列挙する。業務の難易度を見極め、優先順位をつける。思考を要するものや想像力が求められるものを午前中に、自分の知識で楽々とこなせるものを午後に、そして、最後の1時間を日記に充てる。
時間割は一見、時間にがんじがらめに縛られ窮屈そうな印象を受けるが、現実はその逆である。常に唯一つの業務に集中すると、なぜか心が解放され心に余裕ができる。自由奔放に頭が動き出す。すっかり忘れていた深層に塩漬けになっていた知識が蘇ってくることもある。気分が盛り上がり、その勢いで一気にまとめる。予想だにしなかった成果に思わず大きな声を上げることもある。
この「良い気分」を引きずりながら次の業務に移る。気分は次の業務に波及し、加速し(ときには減速することもあるが)最後の業務にたどり着く。
日記は日々の流れや人生の流れ、心の動きを俯瞰する極めて有効な手段である。今日の盛り上がった気分や成果は、人生の流れの中に組み込まれ、明日に繋がっていく。
こうして1日を終える。

時間割をスタートさせて10年余り。新しい発見があった。
1つは、気分は時間の質を高め仕事の質を高めてくれるという確信である。「気分と時間はコインの両面である」という思い込みで1日を過ごすようになった。
いま1つは日々、時間を「貯蓄」していること。
時間は刻一刻と経過していくが「貯蓄」できる。自在に貯蓄することができる。例えば、3年先に必要になる知識の修得を行う。3年先の経営環境を予測し、事前に手を打つ。これらはいずれも「時間の貯蓄」である。
時間は人生を幸せにしてくれる。現在も未来も楽しくしてくれる。

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2019-01-17 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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