【女優のいる書店】青森に日帰りで行ってきたって本当ですか?【女優デイズ青森旅行記2】
まるであぶくのように、浮かんでは消えていく。
小劇場という枠を飛び出して、街こそが巨大な劇場であると語った彼は、
今もまだ、生きている。
寺山修司記念館のロビーで九條さんの影を追っていると、ふとおみやげ売場を物色するカップルの間をすり抜けすり抜け邪魔をする男性の姿が目に入った。
不躾な、という顔で男性を見る二人の視線など気にならないように、二人の行くところ行くところ、割って入る。
カップルが埒があかないと売場を離れると、ふいとみやげに興味を無くしたように展示室へ向かおうとする。
その背中に思わず声をかけてしまった。
「あの、」
ふり返り、大仰なリアクション。芝居がかったそれに、予感は核心に変わる。
森崎偏陸、寺山修司の弟と呼ばれた男。
その小柄な体躯に見合わぬ大きなエネルギーを保持する役者。現在は寺山修二関連のイベントの監修なども勤めている。
寺山修司という憧れの全てを見て来た人物だ。
「聞きたいことがあるんですけど!」
思わず声がうわずる。拳には汗、興奮を抑えられずにいるのを見て、彼は居住まいを正し、真摯に耳を傾けてくれた。
聴きたいことは山ほどある。彼の芝居にかける姿勢、演出方法、劇団での在り方、寺山修司の実体が知りたかった。
ひとつひとつ丁寧に答えてくれた彼は時折、しんと眼の奥に穏やかな波を見せた。
「きみ、」
森崎氏と話をしていると後ろから声をかけられた。
「何か表現の仕事をしている?」
声をかけて来た男性は、名乗る前にそう問うた。
頷くと、首から提げた一眼レフを手に、少し時間いいかな、と言って了承を得る前に記念館の外へ歩いて行く。
森崎氏にお礼を述べてから、記念館の外で画角を図っている男性の元へ向かう。
「僕に撮られるとみんな売れるんだよ、」
と笑いながらカメラを構える彼は、寺山修司の笑顔を撮った男、ハービー山口氏その人だった。
「記念館の彼の写真を見ているきみの眼がとても強いから、少し撮りたくなってしまったんだ。」
シャッターをきる軽い音が木陰に響く。
じんわりと、胸にこみ上げる熱いものを感じながら、カメラの奥を見つめる。
生きている、のかもしれない。
森崎氏の中に、ハービー氏の中に、そして次世代の演劇を担う役者の中に。
思い出す、そして語る、それは今は亡き彼を生かす事。
去っても尚、生き続ける彼の背は大きい。
しかし、時は進む。いつか肩を並べることが、追い越すことが出来る。
青森の日帰りの旅、滞在時間は8時間程度。でも、その中での出会いの密度は濃く、めまぐるしく。
東京へ向かう夜行バスの中、感じた事を整理すると、一歩彼に近づけた様な気がした。
そして更なる前進を。
決意を胸に、前を向くのだった。
皆様こんにちは!
劇団天狼院マネージャーの本山です。
青森出身の劇作家で60年代の演劇を作り上げた寺山修司、彼に追いつきたい、追い越したい、新しい時代を作りたい!
そんな思いで演劇をやってきました。
さあ、どのような「新しい演劇」を創造しているのか、皆様の目でお確かめ下さい!
劇団天狼院番外編、お待ちしております!
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