この記事はスマホで読んでください
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
【6月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:北 堅太(ライティング・ゼミGW特講)
東京から自宅の最寄り駅までは、電車で1時間弱かかる。乗り換えなく済む場合、池袋からだと40分くらいだ。
その時間、普段は読書やらををして過ごすのだけれど、ここ数日はスマホでものを書いている。文字数のカウント機能のついたメモ帳に、どんどんと文字を打ち込んでいる。いやあ、見えないバイ菌がたくさん付着してそうだなあ。それくらい、画面の上で指を動かしまくっている。
そんなにスマホを使ってなにをしているかというと、天狼院書店のライティング・ゼミの課題を書いているのだ。ゴールデンウィークを利用した、講義圧縮のスパルタコース。2000字の課題が毎日降ってくる。楽しいし、自分で望んだことだし、達成感も得られるから、不満はない。むしろ、天狼院書店のウェブサイトに掲載される可能性に、日々ワクワクしている。2000字に、なんの苦もない。
ただ、ゴールデンウィークはほかにやることもたくさんある。しがない副業ライターとして生きるぼくには、家で進めねばならない仕事もある。取材もある。友人との約束もある。祖母との約束もある。いろいろある。用事だらけだ。天狼院書店の課題を毎日仕上げるためには、スキマ時間を有効活用しないといけない。
そこで、普段はライティングに使わないスマホで、記事を書くことにした。これはかなり久しぶりのこと。以前にも1度だけ試したことはあるが、パソコンの方が添付に不便が少ないので、あまりスマホで書いたことはない。なにより、スマホよりもパソコンの方が、仕事を進めている実感があった。そのほか諸々の理由もあり、ぼくはパソコンで仕事をしていた。スマホで記事を書くなんて、ありえない。
しかし、ゴールデンウィークの詰め詰めの予定に敗北して、スマホで記事を書いている現在。今のこの文章も、もちろんスマホで書いている。最初は締切に迫られてだったけれど、今ではスマホで書くことのメリットを実感している。スマホの利点は、混んだ電車の中でも仕事を進められることだけではない。
まず、読者の存在が近しく感じるられる。メモ帳で文章を書き進めている最中に、LINEやFacebookなどの通知がバンバン表示される。スマホは遠慮を知らない。仕事中なのに、些細なこともバンバン表示する。その度にライティングは中断される。
不快だ。不快なはずなのだが、通知こそ、読者の存在を実感させてくれる。無機質なデジタル機器の画面に表示されている文章は、ネットを通じて誰かの手元に届く。彼らにとって読みやすく、おもしろい文章を書かなければいけない。ときたまスマホ画面の一部の領有権を主張する、友人のくだらない声が、ネット空間には自分以外もいることを思い出させてくれる。
しかも連絡が来ると、ぼくは必ず返信する。ライティングを中断して返信をし、メモ帳へ戻ってふたたびライティング。そうなると、返信とライティングが同じテンションになる。返信は、相手と表情がお互いに確認できないぶん、文字だけで伝わるように自然と工夫する。その感覚が、そのままライティングにも流れ込んでくる。よって、ユーザー目線でわかりやすい文章が完成される。
しかもしかも、スマホで書いた文章が、リアルタイムでスマホに表示されるのも利点。どういうことかというと、スマホの幅に合わせて文章が改行されるのだ。当たり前のことだけれど。
作家の京極夏彦は、本のサイズによって文章を直すことで有名だ。ハードカバーで書き下ろした本が文庫になる時、自らの手で校正する。べつに内容を直すわけではない。改行の位置などを調整して、その判型やページ数に合った文章に直すのだ。読者が読みやすいように。デザイナー出身の彼が、読者サービスとして特にこだわっている作業だ。
それと同じことを、ぼくはしている。最近は、ウェブの記事も、パソコンでなくスマホで読まれる。だから、スマホではどのように表示されるか、それを意識しておくべきだ。もちろんパソコンでもスマホでも見やすいサイトデザインと、文章が理想なのだけれど、ひとまずぼくは、スマホ読者を念頭に置いている。
スマホで文章を書いていれば、リアルタイムでスマホでの表示のイメージがつかめる。Wordでは数行の文章も、スマホではもっと長い行数になるかも。スマホのメモ帳を使うようになってから、スマホで読みやすいよう、こまめかつ、多すぎないバランスのいい改行を心がけるようになった。もちろん、スマホで読まれる前提で。
もし、できあがったこの記事を読んでいるあなたが、ウェブでものを書く人間なら、スマホでのライティングを試してみてほしい。なかなかに発見があるはずだ。
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