メディアグランプリ

本を書きたい人が知っておくと得する「あるもの」の存在とは?


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:大井さち (ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
私は今、実用書の編集という仕事をしている。出版社における実用書の編集者の一番大きな仕事は、企画を立てることだ。もちろん、文字校正、いわゆる編集の作業をすることは編集者にとってメイン業務だが、それがいくら上手くても本が売れるわけではない。小説、エッセイなどの文芸書のように“作品”とは呼ばれず、“商品”と呼ばれることが多い実用書にとっては、どこまで世間のニーズに沿った本を企画できるかどうかが編集者の存在価値となる。
 
編集部に届く企画書に足りない「あるもの」とは?
企画について書くことにしたのは、最近周りで「本を書きたい」という声をよく耳にするようになったからだ。そして会社には、本を出版したいという方々からの企画書がよく届く。それらの企画書は編集者によって必ず一読されるのだが、私の知る限り採用されたことは一度もない。なぜなら、編集部に届いた企画書には圧倒的に「あるもの」が抜けているのだ。しかし、その「あるもの」を企画の出発点にすると、その企画の価値は飛躍的に上がる。この「あるもの」とは一体なんなのだろうか?
 
足りないものは、自分以外の「誰か」に向けられた思い
「本を書きたい!」そんな熱い思いに駆られた人が見失うものNo.1は「読者」だ。それを判断するポイントは、企画書に「読者ターゲット」が明記されているか否かにある。企画書の肝は情報の真新しさやセンセーショナルな内容などと思いがちだが、まずはどんな人に当てたいかを明確にすることがとても重要だ。理由は、「本は誰が買うのか?」と質問を投げかけてみると簡単にわかる。そう、読者がいないと本は売れない。したがって、企画を考える上で一番大事なことは「読者」なのだ。そして、この「読者」に役立つことを目的とすると、その企画書の価値は飛躍的に上がる。
 
目指すところは「商業出版」
本を出版するには、大きく分けて自費出版と商業出版がある。私が知る限り、自費出版をしたいという人にはあまり出会わない。なぜなら、自費出版をしたい人はそれ専用の出版社に行き、かかる費用(発行部数にもよるが、200~300万円)を支払ってしまえばその夢はすぐに叶う。片や商業出版とは、出版社が戦略的に販売する書籍。書店やAmazon、楽天などで売られている一般書籍がそれにあたる。商業書籍では出版社が製作に関わる経費および、著者に原稿料、印税を支払う。おそらく、本を出版すると聞いて大半の人が思い浮かべるのが、この商業出版ではないだろうか。そして、この商業出版は読者がいて初めてその存在が成立する。
 
「読者」の見出し方
「読者ターゲット」といわれても、何をどう考えたらよいのかわからない。そんなときはまず、対象となる読者の年齢・性別から考えてみてほしい。もうすでに自分が世間に発表したい情報がある場合は、その情報を必要としている人を想像してみる。すると、年齢・性別のほかに、その人がどういう生活スタイルなのか、仕事はしているのか、結婚はしているのか、子どもはいるのか、はたまたひとり暮らしのシングルなのか、そして、何に悩んでいるのか、なぜこの本が欲しいのかなど、一度考えるスイッチが入ると、想定読者のリアルな姿がどんどん見えてくる。一見難しそうに見えるかもしれないが、これは訓練あるのみ。やれば必ずできるようになる。すでに伝えたい題材がある場合は、こじつけのように思えて白々しいと感じるかもしれないが、最初はこじつけだっていい。それが、読者に向けての企画作りの第一歩だ。
 
編集者は「悩みの種」を見つけることから始める
それでは、編集者はどのように企画を立てているのだろうか? 私が知る限り、彼らはまず社会のなかにある「悩みの種」を見つける。
例えば、外国人観光客が増えてきた昨今、英語で話しかけられることが日常茶飯事となってきた。日本人は英語に苦手意識を持っている人が多いので、話しかけられても何も返すことができず、悔しい思いをした人もいるだろう。そんなときのために、話しかけられる内容やそれに対する英語での回答が載っている教本があれば助かる人はいるのではないだろうか……。このように、社会の悩みの種を見つけて解決策を講じる。そして、その悩みの種を一緒に解決してくれる著者を見つけるのだ。
 
企画作りはカウンセリング
本の企画を考えるようになってつくづく、企画作りはカウンセリングだと感じる。カウンセラーは自分の心を空っぽにして、相手の話すことに耳を傾ける。実用書の編集者も心境はまったく同じで、自我を捨て、読者の心の声に耳を傾ける。実際に友人や家族の悩みを聞いて企画が生まれることだってある。
企画の原点は誰かの役に立ちたいと思うことだ。そこから始まった本は、社会にインパクトを与える素晴らしいものになるはずだ。
 
 
 
 

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2019-06-28 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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