メディアグランプリ

武士の気持ち


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【8月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:いしやま なおみ(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
先日ひょんな事から居合斬りを体験することになった。
そのお店は浅草にあり、土日は瓦割りをやっているお店で、火曜日だけ居合斬りが体験できるという。たまたま取材させていただいた日が火曜日で取材後にぜひ体験していってくださいというご好意により居合斬りを体験することになった。
どちらかというと瓦割りの方が興味があったが、居合斬りも体験したことないことだったので喜んで体験させてもらった。
 
皆さんは武士と聞くとどんなイメージを持っているだろうか?
私の勝手なイメージでは、
自分の最後を想定して生き、上下関係には厳しく、無礼をおこなったものは切り捨て御免。
戦では相手が敵であれば容赦無くぶった切り、常に死と隣り合わせで生きている。
また、プライドが高く血の気が荒いというなんとも取り扱いが難しそうな人。
戦国武将と新撰組、坂本龍馬たちをごちゃ混ぜにした感じた。(歴史好きにはごめんなさい)
 
武士は200年ほど前まではいたと思うと、そう遠い過去ではない。
だけど、現代に武士のような人に鉢会うこともないから実態は不明である。
 
が、しかし
武士の心意気を引き継いでいる人たちはいる。
武道を極めている人達は武士の心を受け継いでいると私は今回居合斬り体験をして思った。
 
居合斬りを教えてくれた先生は武術を長年やっていた方で武道を心得ていた。
刀の知識も豊富で、長さの違いで呼び名が違うことや、刀の形にも様々な種類があることを教えてくれた。また、武士は刀を左にさしているからカチ当たらないように左側通行だったり、
刀を扱うのに左利きの人は右利きに強制的に訓練されたりと色々体験前に武士や刀について教えてもらった。歴史に疎かった私は、体験前から武士ってすげえとなってしまった。
 
次に、柄(つか)を触らせてもらえた。(柄とは刀の持ち手部分)
間近に見る柄は細かい細工がされており、惚れ惚れしてしまった。
日本人の手先の器用さや心の繊細さが表されていて少しウルウルきた。
また、程よい重さがその物のすごさを際立た。
現代では軽いことが良いとされたりするが、実態を伴う重さを感じるのはとても気持ちが良い。
柄の重さはビールジョッキ1個分とも言えようか(なんとも例えが軽くなってしまい申し訳ない。御免。)ちょっとだけ抵抗を感じる重さに、恐怖と武士の気持ちの重さが重なる。
 
体験する前からこんなにも武士についての情報を与えられ、
武士についてあまりにも何も知らなかったことに日本人として恥ずかしさも感じた。
「イイクニツクローカマクラバクフ〜」なんてゴロで歴史を暗記していたことが申し訳ない。
日本の武士たちが命を削って築いた日本の歴史の凄さ、反乱を起こす心意気、今一度改めて感謝したい。その人たちのおかげで今の社会や日本文化があるのだと。
 
さて、
居合斬り体験では、初め木刀でフォームの練習をする。
そして、フォームになれたら刀を持ち新聞紙を丸めたものを斬り、
最後に水で湿らせた藁の丸まったものを斬る。
 
重心を落とし、肘を軽く曲げ
持ち上げた刀を頭の上で時計の1時ぐらいに傾け
そのまま45度斜めに振り落とし、へその前ぐらいで止める。
最悪怪我をするのは自分だけと言われ、余計振り下ろすことに力が入る。
自分が怪我するだけといえど、足は切りたくない。刀怖いぜ。
 
木刀の素振りは余裕だったが、本物の刀を手渡された時から顔が引きつった。
これで、人を……切っていたのか……武士やるなぁ。
そして私も、ちょっと間違えたら目の前にいる先生を切ってしまうのではないか?
ありもしない想像が駆け巡り、ドキドキ、ヒヤヒヤ。
額に滲む汗は暑さのせいか、刀のせいか、もうわからなくなっていた。
 
何度か新聞紙で練習したのち、湿らせた藁を切る番となった。
 
力を入れすぎず、肘は曲げて、重心を下げ刀を頭の上で少し傾る。
練習したことを繰り返し脳内でイメージし、
心を無にして刀を信じて大きく振りかぶる。
 
ポトン
 
目線の先に藁の束が転がる。
あぁ、ちゃんと切れた。よかった。
 
意外とすんなり切れたことと
刀の切れ味の良さにダブルでびっくりした。
 
全く力を入れてないのに切れてしまう、刀の鋭さ。
世界中の武器で刀が一番強いとも先生はおっしゃっていた。
 
その後も何度か藁が短くなるまで切らせていただいた。
切りたい方向に迷いなく刀を大きく振りかぶる。
ストンと切れた時は安堵感とスッキリ感がなんともいえない。
 
居合斬りはお化け屋敷を体験している感じに似ているかもしれない
恐怖と戦いながら暗闇を歩き、お化けが出ると叫んで走り出す。
出口を出た時には恐怖から解放され、晴れ晴れした気持ちになる。
 
いけないことだけど、また切りたくなる。
時間が許すのであれば居合斬りを極めたい……。
あぁ、江戸時代に生まれたかった。
 
私たちは安全に緩く生きすぎたのではないだろうか?
武士はこんなにも心と体を使い訓練し、実践していたのだから。
やっぱりすごいぞ武士! 武士かっこいい!
 
思いもよらなかった居合斬り体験だったけど体験してとてもよかったと思う。
武士の気持ちがほんの少しわかったし、自分のレベルが1つ上がった気がする。
 
何事も体験してみないとわからないと改めて実感させられた
そんな夏の日。
 
 
 
 
***
 
 
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
 
http://tenro-in.com/zemi/86808
 

天狼院書店「東京天狼院」 〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F 東京天狼院への行き方詳細はこちら

天狼院書店「福岡天狼院」 〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階

天狼院書店「京都天狼院」2017.1.27 OPEN 〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5

【天狼院書店へのお問い合わせ】

【天狼院公式Facebookページ】 天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


2019-08-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事