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スタッフ山中のつぶやき

小さな宅配便が教えてくれた「大切な人」のこと《スタッフ山中のつぶやき》「あなたは誰かの大切な人(原田マハ)」


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記事:山中 菜摘(天狼院スタッフ)

「店長、そういえば何か届いてましたよ」

お店に入るや否や、スタッフからこう声をかけられました。
「あれ、何か頼んだっけ? amazon? 楽天? ヨドバシカメラ?」
「いや、多分どこからでもないです」

そう言って差し出された小包には、確かに通信販売ではない、手作り感がありました。

ジェラートピケのパステルな色合い紙袋。それに似合わない茶色のガムテープでぐるぐる巻きにされた小包には、82円切手が7枚。140円切手、20円切手、10円切手がそれぞれ1枚ずつ。2円切手ペタペタペタッ3枚。紙袋を覆い尽くすように貼られていました。


手書きで書かれた発送元は群馬県の住所。
そういえばこの丸っこい字もなんだか見覚えがある。

「あ、ももやんからだ」

そう思ってまた包みを見ると、文字だけでなく、包み方がいやに頑丈だったり。貼ってある切手がミッフィーちゃんの柄だったり。なんとなく彼女の雰囲気を感じ取れるものを見つけられる気がしました。



ももやんは、私の大学時代の数少ない友人の一人です。

選択したスポーツのクラスがたまたま一緒で仲良くなった「すぽメン」と呼ばれる4人組で(誰が名付けたんだろう)私の大学生活はほとんど語り尽くせてしまいます。

授業を一緒に受けたり、学食食べたり、旅行に行ったり、放課後にディスニーランドに行ったり、ラーメン食べたり、お泊まり会したり。

移動しながらおしゃべりしすぎて、キャンパス内のを移動するだけなのに次の授業に遅れてしまったことも。
誰かの誕生日になるたびに決まって他3人がサプライズを計画したことも。
今となってはアホだなぁと思いつつ、そんな友情が今でも続いていることに嬉しく思います。

ももやんは、就職をして、地元の群馬県に戻って、結婚もして、夫婦で仲良く暮らしているけれど、
今でも何かトピックがあるたびに連絡を取るし、

クリスマスやお正月になると
「メリークリスマス! って打つとサンタさんが出てくるよ!」
とわざわざすぽメンのグループLINEで唐突にメッセージをくれるような、そんな子です。

そんな彼女から唐突に届いた荷物。
相当早い、誕生日プレゼント?
それとも何か前回会った時の忘れ物?
何か届くよ!という連絡もなかったし、一体どうしたんだろう?

と恐る恐る荷物を開けると、開けるとそこには予想をしていなかったものたちがぎゅっと詰まっていました。

・粉末のわかめスープ
・あずきの力(薬局で売っているアイマスク)
・無印良品のお香
・ミッフィーちゃんのキーホルダー



なんだ? どうした? 
私の近くの薬局でも探せばすぐに手に入りそうな、そんな日用品がいくつもいくつも入っていました。

急に届いた包み。そんな状況に原田マハさんの「あなたは誰かの大切な人」の一編の物語を思い出します。

書籍紹介 講談社HPより

勤務先の美術館に宅配便が届く。差出人はひと月前、孤独のうちに他界した父。つまらない人間と妻には疎まれても、娘の進路を密かに理解していた父の最後のメッセージとは……(「無用の人」)。

歳を重ねて寂しさと不安を感じる独身女性が、かけがえのない人に気が付いたときの温かい気持ちを描く珠玉の六編。

1つ1つの物語の主人公は全員独身女性。



突然母が亡くなってしまい、それでも尚告別式に来ない父を待つ、38歳の美容師

足繁くメキシコ系アメリカ人の元へ料理を食べに通い、そのレシピを日本にいる恋人渡しに続けたフリーランスアートコーディネーター

ひと月前に他界した父から届いた宅配便を辿る50歳の美術館学芸員

母の梅干しをお守りに、トルコへ取材旅行へきた40代のフリーランスライター

あえて実家の近くの温泉に、大学の同級生と定期的な女旅を楽しみにきた、45歳のフリーランス広告ディレクター

メキシコを代表する建築家、ルイス・バラガンの邸を訪れ、その詳細を仕事のパートナーにメールで送る48歳の都市開発会社員

それぞれの背景があって、それぞれの選択があって。紆余曲折がありながら、自分の人生を選択してきたそんな女性たち。
この先の人生の不安は少なからずあるけれど、それすらもあることが当たり前と受け入れて受け入れて前に進んでいく、そんな等身大の女性たちの物語でした。

そこには最愛の人とも、親友ともなんとも言い表せない「大切な人」がいました。
何か大きな事件が起こってそれをきっかけに運命の人だ! という劇的な変化があるのではなく、
「あ。もしかしたらこれ、すごく大切な気持ちなのかも」と、こんな人と過ごせる。そんな人といる、また誰かのそんな存在であることに気づいて、当たり前になっている日常を改めて暖かくしてくれるそんな素敵な物語でした。

私と年齢も仕事もまったく違うけれど、
6人全員の人生のエピソードに、今の私自身と、これからと重なるのかなかもしれないと、とてもここち良い予感がありました。


私の元へ届いた小さな小包には、一番下に小さなメッセージカードが添えられていました。

なつやんへ

元気にしてるかな? なんだか元気がなさそうな気がしたので、お届けものです。粉末のわかめスープは美味しいよ!あずきの力は口コミ見て良いらしい!無印良品のお香は良い香りなのでおすすめ!ミッフィーちゃんのキーホルダーはなんとなく可愛かったから笑
なかなか会えない時期だけどまたみんなで温泉でもいきたいね!

ももやんより

すごいなー。とシンプルに。嬉しいし、暖かい。
何かのきっかけでで私の状況を感じ取ってくれたことも。
言葉だけでなく、なにか送ることで応援している気持ちを伝えようとしてくれたことも。
ちゃんとサプライズで届くようにあえて、職場の方に送ってくれた心遣いも。
おこがましいけれど、彼女の大切な人として自分がいることも。
そしてなにより、それと同じくらい、私にも大切な人がいるのだということも。
これからの私の勇気になりました。

「あなたは誰かの大切な人」文庫版刊行に寄せて 原田マハ(講談社HPより)

「見知らぬ町を歩くとき、心地よい風が吹き、なんともいえない幸福感に包まれることがある。それはきっと、おだやかな日常がそこにあるからだ。その日常は、誰かが誰かを大切に思っているからこそ、そこにあるのだ。

あなたがもしも、いま、なんということのない日々を生きているとしたら、それはきっと、あなたが誰かの大切な人であることの証しだ。それが言いたくて、私は、この物語たちを書いた。あなたは、きっと、誰かの大切な人。どうか、それを忘れないで。」

 

大切な人がいる。誰かの大切な人である。そんな自分自身もまた大切だなぁ。
振り返って。ゆっくりと深呼吸して。また一歩一歩前に進んでいきたいなと、
そう思った一コマでした。

 

あなたは、誰かの大切な人

出版社名 講談社
出版年月 2017年5月
ISBNコード 978-4-06-293660-6
4-06-293660-7
税込価格 682円
頁数・縦 213P 15cm

 

❏プロフィール

山中菜摘(Natsumi Yamanaka)

神奈川県横浜市生まれ。
天狼院書店 「湘南天狼院」店長。SONYプロサポート会員。雑誌『READING LIFE』カメラマン。天狼院フォト部マネージャーとして様々なカメラマンに師事。天狼院書店スタッフとして働く傍ら、カメラマンとしても活動中。

メディア露出
雑誌『Oz magazine』/雑誌『週刊文春』/雑誌『Hanako』/雑誌『月刊京都』など
WEB:ダイヤモンドオンライン/サントリーWEB/マガジンハウス/ことりっぷ/『&premium web』など

 

小説家養成ゼミの講師であり、文芸編集者・関根亨さんの担当作・原田マハさん『総理の夫』が映画化されました!

おめでとうございます!
8年ほど前、単行本担当されたのち文庫化され、累計25万部を超え、つい映画公開されたそうです。
ぜひチェックしてみてください!
『総理の夫』詳細ページ
関根さん、本当におめでとうございます!

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