チーム天狼院

やめるためにここにいる


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【6月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

 
記事:徳竹のどか(チーム天狼院)
 
天狼院書店でアルバイトを始めてから5か月が経つのに、面接で言われたことがいまだに忘れられない。
 
それは、得意なことを聞かれて「文章はそれなりに書けると思います」と答えた後、話の流れで社長が言った「才能がない人に限って、書けますというものだ」という言葉。
「さっきわたしが得意って言ったばかりなのに、今それを言うのか?!」という怒りと、「わたしには才能がないのか」という惨めな気持ちでいっぱいいっぱいになり、正直それ以降なにを話したのか記憶がない。
 
今までいろんな職業に憧れては諦めてきたわたしが、唯一諦めきれずに持ち続けていた「自分の書いた文章でお金を稼いでみたい」という野望を、「才能がないからやめておきなさい」と言われたような気分だった。
 
あ、もう、文章書けますって言うのやめよう、と心に決めた。
 
少なくとも、天狼院書店で働いている人には、もう二度と言わない。
面接を受ける前は、ライティング・ゼミが気になっていて、ゼミや部活などにチャレンジしようと思っていたけれど、そんなワクワクした気持ちはどこかへ行ってしまっていた。別に小説家になりたいわけじゃないし、学生でもないのに毎週のように課題に追われるのも嫌だし、大学を辞めてふらふらしている、しがないフリーターとして、適当に、できることだけやっていようと思った。
 
 
天狼院書店で働いている人は、みんなギラギラしている。
 
キラキラという言葉では収まりきらないくらい、熱い思いを持った人たちが集まっている。
 
将来やりたいことを実現させるために、ここでいろいろな経験を積もうと考えている人。天狼院書店に惹かれて、インターン生として社員さんに揉まれながら頑張っている人。目標とする人物がいて、その人に近づくためにもがいている人。
 
社員さんはいろんなことを考えて、それを形にするために動いている。
 
天狼院書店をよりよくするため、みんなが毎日必死に駆け抜けている。
 
わたしは、みんなが走っている後ろ姿を「すごいな、わたしにはできないや」とヘラヘラ笑ってただ見ているだけ。
 
実際これまで、週4日で働いているわりに、特別なことをするわけでもなく、窓のサンで死んでいる虫を撤去したり、散らかりがちな場所の整理整頓をしたり、店舗の掃除ばかりしてきた。
 
「物が取りやすくなった、ありがとう」と言ってもらえることもある。「毎日掃除ばかりで」と言うと、「それも、誰かがやらなくちゃいけない、必要なことだよ」と声をかけてくれる人もいる。
駆け抜けていく人たちの手からこぼれ落ちたものを拾い上げていくというと聞こえはいいが、わたしである必要はない。
 
「掃除するためにここでアルバイトしているの?」
 
「そんなの誰でも出来るし、どこでもできるんじゃない?」
 
いつからか、そう思うようになっていた。
 
 
わたしには、夢がない。
 
文章を書いて生きていきたいというのは、小説家になりたいのか、趣味で終えていいのか、自分の中で明確にあるわけではなく、ただ漠然と思っているだけ。
 
毎日生きているだけで褒められたいし、実際わたしの両親は、生きていればそれでいいよと言ってくれる。
 
でも、突然親が死んだら?
お金の使い方が荒いわたしに、貯えなんてない。
 
ずっとフリーターとして生きていくつもり?
大学に通っていたら4年生。同い年の人たちは、就活をしている。わたしには学歴もない、資格もない、何も持っていないのに、目標も持たずこのまま生きていていいの?
 
誰に言われたわけでもないのに、自分のこの先について悩んでいた。
 
 
この先何をやって生きていきたいか考えた時、やっぱりやりたいと思ったのは、文章を書くこと。
 
小説家になりたいのか、趣味でいいのかは相変わらずわからないけれど、やりたいと思っているのに、社長が言った何気ない言葉を鵜呑みにして、何もせず逃げていたと気づいた。
わたしに才能がないのなら、努力して身につければいい。
 
社長は小説家で、その社長が教えているライディング・ゼミはプロの方も通っている。わたしは、その人が築いた書店でアルバイトをしている。技を盗んで身につけるには、充分すぎる身分じゃないか。
 
ついでに、学んだことを自分の強みにしてやる。
 
無我夢中で必死にやっていたら、何かが見えてくるかもしれない。
見えてきたら、それを掴むために努力すればいい。
 
ここで身につけた強みをいかせるところを見つけて、わたしはここにさよならを告げるのだ。
 
 
わたしは、天狼院書店を辞めるために、ライディング・ゼミに入った。
 
今はまだ、こんな文章しか書けないけれど、いつか見返してやる。
「絶妙にやる気のないところがいいよ」と褒めてもらったけれど、今のわたしにはやる気がある。
 
「人生を変えるライティング教室」であるライティング・ゼミで、わたしの人生を変えてみようと思う。
 
***

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