チーム天狼院

みんなママがほしい?


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記事:北村祥子(チーム天狼院)
 
「ねえママ聞いてよ、本当に最悪なことがあってさ~」
ついさっきも母に電話してしまった。出さなければならない結論が自分の中では決まっていた。でも、その結論にはどうしても納得したくなかった。そういう時はまず事のてん末を聞いてもらう。その後「本当嫌なんだけど~」とグダグダ言い続ける。そして、気が済んだり、愚痴を言い飽きたりしたらやめる。
甘えだ、と言われれば、それ以外の何物でもない。
 

ついちょっと前まで、母はわたしのことなんて全然愛してくれてない。そう思っていた。
なんだろうなぁ。全然構ってくれないんだよね。わたしが構ってほしい時に。
母は世間一般の母親業務を想像するとこの上ない程、完璧にこなしてくれていた。ご飯はめちゃくちゃ美味しいし、電車通学する小学生のわたしの送り迎えを毎日してくれていた。それでも母親からの愛情不足を感じてきた。わたしの心に寄り添ってくれないんだよね。
 

受験生になっても勉強さぼって携帯ばかりしていた。成績は全然上がらない。自分が一番ダメだってわかっている。勉強して結果が出たら嬉しいのはわかっているのに、やらない。こんな自分が大嫌いで責めていた。その話を「そうだよね。わかるよ」と言って優しく聞いてほしかった。けれども、母は「ちゃんと勉強しないからでしょ」と厳しい現実を突き付けてきた。
 

そういう時に「これだからママはわたしのことわかってくれない!」と傷ついてきた。
 

随分勝手な話である。でも自分を全肯定して、受け止めてくれる存在が欲しかった。わたしが親だったら、絶対そんなことできないのに。
 

一般に母性は「うちの子はみんないい子」、父性は「いい子はみんなうちの子」と言ったりする。無条件の愛情と条件付きの愛情だ。
 

もちろん、条件付きの愛情だってほしい。結果を出せば認められる。戦場に立って、功績を残して、褒められたら嬉しい。でも戦場に立っているだけで偉いって言われたかった。
心の苦しみに寄り添うことで、わたしが生きてることに愛情を示してほしかった。そういう部分を汲んでほしかった。わかろうと歩み寄ってほしかった。よしよしされたかった。
 
 

ずっとそんな思いを抱えていた。が、最近そう思うことがなくなった。
母は自分と別の、一人の人間だ、とは認識したおかげだ。
 

それまで、母の母親としての側面しか見てこなかった。母は専業主婦だったことも大きく影響しているかもしれない。ずっと長女であるわたしの生活に合わせてくれていた。母は家族中心の生活をしていたのだ。しかし、最近母は自分の仕事を始めた。薬膳教室の先生である。家の中で薬膳料理について勉強して、実際に生徒さんを家に呼んでいる姿を見るようになった。母は母なりの苦労があって、自分の人生を歩んでいるんだな、と実感した。わたしが毎日色んな思いを抱えているのと同じように。
 

それと同時に、わたしの年齢が上がり、自分の将来について考える機会が増えた。結婚や出産についても。その時、母はすごく子供が欲しくて結婚したことを知った。だから子供が生まれて本当に嬉しかったんだって。「いい子供たちに恵まれて幸せ」って、教えてくれた。その話を聞いて、長年の苦しみは一気に溶けた。
 

逆に母は同じクラスにいても、友達にならないタイプだな~と思った。人間としてのスタイルが違うんだなぁと。普通に生きていたら関わらないかもしれない性格の人とこんなに深く関わっているのは面白いなとも思った。19年間も一緒に住んでいるのだから。親子とは言え、自分とは違う人間だと認識することで母のちょっとした言動にもイライラしなくなった。母の友達に話を盛ってわたしのダメなところを愚痴っているのが隣の部屋から聞こえてきてもしょうがないな、って素直に思う。
 
 

多かれ少なかれ、人はみんな無条件に愛されたい一面があるのではないかと思う。何ができる訳でもない自分を、自分が自分であるというだけで受け入れてほしい。
そういう欲求は母親に向けられがちだと思う。赤ちゃんの時から自分を見てきてくれた人で、他の人より甘えやすい。し、甘えを受け入れてくれることが多い。別のパターンでは、恋人に求めることもある。別の人間、別の個体だとわかっていても、付き合っている彼なら、彼女なら、どんな自分でも許してくれるだろうって。
 

その対象は誰だったとしても、自分以外の人間に自分の全てを肯定してもらいたいと願うことは辛くなるだろう。だってそれは叶わないから。
 

でもやっぱり、みんな心のママがほしい。
相手が許容してくれる範囲でなら、思いっきり甘えたらいいと思う。
自分を全肯定して、受け止めてあげられるのは自分だけだと気付いた時、すごく楽になれた。

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