メディアグランプリ

何が起きても、「ツイてる!」


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記事:深谷百合子(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
ある土曜日の晩のことだ。突然ノートパソコンの画面が真っ暗になった。何度か再起動を試みるが、ウンともスンとも言わない。「ガーン、どうしよう?」。
 
私は今中国で仕事をしているので、パソコンが故障してもすぐに修理に出せないのが辛い。そのくせ、マメにバックアップを取っていなかったので、かなりショックだ。前回バックアップを取ってからもう3ヶ月が経っている。時間をかけて作った資料がなくなった……と思うと、やり切れなさが募る。「もうそろそろバックアップをとろうと思っていたのに、何でよりによってこうなるの? ツイてないな」。そう思いかけた時、ある言葉を不意に思い出した。
 
当時、私は心理学や行動力をアップするための勉強をしていたのだが、その時に講師の先生から、「何があっても、ツイてる! と口にすれば、どんな事もポジティブにとらえられるようになる」という話を聞いていた。その話を思い出したのだ。そうだ、今こそ「ツイてる」と言うべき時だ。本当の事を言うと、とても「ツイてる」と思える気持ちではなかったが、何度か「ツイてる」とつぶやいてみた。何度もつぶやく内に、「何がツイてるんだろう?」、「ツイていたと思えるようにするには、何をすればよいのか?」と思うようになり、「何でバックアップをとっておかなかったんだろう?」という今更考えてみてもどうしようもない事は頭の中から消えていった。
 
とにかく次のアクションをとるしかない。パソコンが無いと仕事ができないから、当面使うためのパソコンを準備しなければならない。安価な物を選んでも、結構な出費だ。痛い。でも仕方が無い。ネットで良さそうな物を選んで購入すると、翌日の昼にはもう届いた。そこから、必要なソフトをインストールしたりして、日曜日の内にセッティングを完了させることができた。とりあえず翌日の仕事には支障がなさそうだ。パソコンが壊れたのが土曜日でツイていた。
 
次に失ったデータの事を考えた。同僚にメールで送っていたものは送り返してもらい、他の人から送られてきたデータは、もう一度送って欲しいとお願いすることで、当面の必要なデータは手に入れることができた。一から作り直さないといけない資料も有ったが、最初に思っていたよりも、意外とデータ消失のダメージは小さく感じた。
 
そして何よりも、この事件をきっかけに、私はマメにバックアップを取るようになった。苦心して作って、絶対に消えて欲しくないデータがあれば、自分宛のメールに添付して送ったりもした。そういう癖がついたということが、一番の収穫だ。そう思うと、パソコン故障というショックな出来事も、私にとっては良い出来事に感じられてくる。その時故障したパソコンは、後日修理に出し、データも全部取り戻すことができた。私は心の底から「ツイてる」と思った。
 
そうして1年半が経過した先日のこと、またもやパソコンの画面が真っ暗になるというトラブルに見舞われた。
 
今回も最初は「え、また?」と思ったが、やはり「ツイてる」と口にしてみた。解決できない事を悩んでみても仕方がないではないか。それに、1週間前にバックアップをとったばかりだし、失って困るデータもほとんど無い。前回のトラブルでバックアップをとる癖をつけていてツイていた。しかも、その時に購入したもう1台のパソコンがある。「しばらく振りにこのパソコンを動かす機会ができて、ツイてる」とつぶやいた。
 
しかし、そうは言っても、本当はそんなトラブルは起きない方が良いに決まっている。アンラッキーな出来事を前にして「ツイてる」なんて、負け惜しみを言っているみたいだ。ブルーな気持ちであることには変わりがない。しかし、「あぁ、ツイてないな」と思ったところで、何もいいことはないし、状況は何も変わらない。逆に落ち込むばかりだ。それよりも、どうやってこの状況を挽回していくかを考え、この経験を「将来の糧」としなければ損ではないか。パソコンが故障したというのは単なる事実で、「ツイてる」とか「ツイてない」というのは、単に自分のとらえ方の違いだけなのだ。
 
「ツイてる」。私にとって、それは解決に向けた行動を起こすための「かけ言葉」なのだ。ため息をついて起きてしまったことに対してクヨクヨしていても、時間は過ぎていくばかりだ。この出来事をどうやって「プラスの出来事」に変えようか、そう考えている内に、次にやるべき事が見えてくる。本当に「ツイてる」とは思わなくてもいい。ただ、呪文のように「ツイてる、ツイてる」を繰り返しつぶやくだけでいい。そうしていると、段々ネガティブな感情から放たれる。そして、「あの時、あの出来事があってツイてた」と思えるような次の一歩を踏み出そうと思うようになるのだ。そう、何が起きても大切なのは、未来に向けた行動を起こしていくことだ。
 
 
 
 
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2019-09-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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