英会話RPG
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記事:あずまたかゆき(ライティング・ゼミ特講)
「海外旅行における最大の敵は何ですか?」
と言う問いかけをしたら、「英会話」と答える方は少なくないだろう。
ロールプレイングゲーム(RPG)において多くのモンスター達が旅先で待ち構えているように、海外旅行先でも多くの異国語での会話が待ち受けている。
残念ながら私も「英会話」と答えるであろう一人であり、自らの語学力に対し全く自信を持てていない。
特にリスニングが苦手であり、相手の言っていることがわからないため会話が成り立たないわけだ。
英語が苦手な人で、相手の言っていることは聞き取れるけど返答するための文章や単語が出てこない、と言う人がよくいるが、私からすれば羨ましい限りである。リスニングができなければ、返答文を考える権利すら与えられないのだ。
もちろん、これまで英語に触れてこなかったわけではない。小学生時代は英語教室に通い、中学から大学までは英語の授業を真面目に受講していた。大学では一時期、英会話教室に通っていたことすらある。
しかし、残念ながらあまり身にはつかなかったのが現状である。
言い訳としては、英語を勉強して何をしたいのか、明確な目標が無かったのが問題だったのではないかと思われる。
海外で住んでみたいのか、外人と友達になりたいのか、外資系の会社で働きたいのか。
私が英語を勉強していた理由は、今の時代、英語を勉強しておいた方が良さそうだから。
ロールプレイングゲームで置き換えると、魔王を倒しに行くという天命が自分に下るかはわからないが、とりあえず村周辺の魔物を倒してレベル上げをし続けておいた方がいいかもしれないし、やっとくか、といったところだろうか。
よほどの大真面目でもない限り、こんなレベル上げがうまく継続するとは到底思えないだろう。
さて、そんな私が現在ハマっているもの、それは海外旅行である。
おいおい話が違うではないか、英会話が苦手なのではなかったのか、と思われたかもしれないが、語学力が急激に上達したわけではない。しかし、語学力の低さは海外旅行の敵ではないのではないか、と思うようになったのだ。
初めて行った海外旅行はツアーでの旅行だった。
ツアーは楽である。決まった集合時間に空港へさえ行くことができれば、あとは観光地にもレストランにもホテルにも連れて行ってくれる。
しかも、レストランのオーダーやホテルのチェックインも済ませておいてくれるため、苦手な英会話と向き合う必要も無いのだ。
本当に快適であったため、その後もいくらかの国にツアーを利用して訪問した。
しかし、そんな中、快適さに甘んじる私とは別の私の心の声を感じる場面があった。
もっと自由な旅がしたい。
興味のある観光地を訪問し、好きなだけ滞在。その後は気になるレストランで食事をする。行き先も時間の制約も無い、自由な旅。
その心の声は次第に大きくなり、私はツアーを使わず海外旅行に行くことを決めた。
訪れた先はタイだった。
日本に比べ物価の安いタイでは、タクシーを一日チャーターして観光地を巡ってもらうことができる、と聞いていたため、友人と恐る恐るタクシーの運転手に交渉した。
懸命に日本人丸出しのイントネーションで交渉する我々を助けてあげたくなったのか、2日間かけてタイの色々な場所を案内してくれることになった。
結果、バンコクでは地域のお祭りに参加させてもらい、子供たちのムエタイ大会を見学したり、地元の方々と一緒に王妃の誕生日を祝う経験をした。(たまたま訪問した日が王妃の誕生日だったのだ)
また、アユタヤではガイドブックに載っていないような小さなお寺にも訪問し、そこで祈祷を受け、サーインシという厄除けのようなお守りを手首に巻いてもらった。
明らかに、これまでの海外旅行とは異なった濃さがあった。
訪れた土地の雰囲気、空気感に初めて触れたような感動があった。
そして、思った。
語学ができなくてもこれだけの体験ができるということを。
一言で言うと、なんとかなるのだ。
その後は、アメリカのグランドキャニオンをレンタカーで周遊してみたり、オーストラリアのグレートバリアリーフをダイビングで潜ったりと、様々な旅をした。
相変わらず、語学力はそれほど上達していない。
気さくに話かけてくださったご婦人が何を言っているのかわからず、うまく回答できない私に対しご婦人が困った表情を浮かべている、といったシーンは何度とある。
もちろん流暢に会話できることに越したことはない。しかし、会話できなくとも旅行はできるのだ。
語学力を心配し海外旅行に対し二の足を踏んでいる方がいれば、是非勢いで海外に行ってみてほしい。
ロールプレイングゲームで魔王を倒せるレベルになるまで最初の村でレベル上げをする人なんていないだろう。多少格上のモンスターに挑でんいくことがロールプレイングゲームの楽しさではないだろうか。
自らのレベルが低くとも、気にせず一歩踏み出した先には多くの楽しさが待っているのだ。
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