メディアグランプリ

「先延ばし」してしまうのは、理由がある!?


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【10月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:赤木 広紀(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「どうしたら先延ばしのクセが治りますか?」
 
20年に渡ってライフコーチングのプロとして300人を超えるクライアントの目標達成や課題解決のサポートを1対1の面談(セッション)で提供してきた。
 
クライアントさんからよく相談されるテーマの一つが、この「先延ばし」をなんとか止めたい、ということ。
 
ずっとためていた夏休みの宿題を最後の日にギリギリに片付ける。
「来年はもっと早く宿題を済ませて、あとはいっぱい遊ぼう」
そう決意するも翌年もまたその次の年も同じことを繰り返す……
 
それと同じように仕事でも、十分に取り組む時間はあるにもかかわらず、ギリギリになってからようやく手を付け、毎回ハラハラドキドキしながらも、なんとか最後は締め切りに間に合わせる。
 
もっと早くに片づけたい、焦って仕事をしたくない。
でもなぜか、いつもギリギリになってしまう。
そんな自分の悪癖をなんとか治せないだろうか?
 
これはクライアントさんだけの課題ではない。
何を隠そう、僕自身もそうだった。
 
研修やセミナーのコンテンツを作るときは、いつも締め切り間際になってなんとか形にするということを繰り返していた。
 
そんなことを繰り返していると、研修やセミナーをすることがイヤになるし、苦手意識も強くなる。結果として、自分から研修やセミナーを積極的にすることはなく、頼まれたら仕方なくするということが続いていた。
 
どうしたら先延ばしのクセが治るだろうか?
 
クライアントさんの課題でもあるが、自分自身の課題でもある。
これはなんとかしないといけない。
 
しかし、早めに早めにコンテンツを作ろうとしても、気分は乗らないし、アイデアは出てこない、ただただ、時間だけが過ぎていく。
 
「あぁ、今日もまた時間を無駄にしてしまった……」
 
そう後悔し、自己嫌悪におちいる。
 
次こそは! と決意するものの、また同じことの繰り返し。
挫折感と後悔、自己嫌悪だけが増えていく。
 
このパターンを何度も繰り返すと、さすがに気合だけではどうにもならないと観念する。
 
あるとき、何がキッカケだったかは覚えていないが、「先延ばしって、本当にダメなことなんだろうか? 悪いことなんだろうか?」という疑問がわいてきた。
 
「先延ばし=悪いこと」
 
そんな方程式をずっと信じてきたから、なんとかこの悪癖を治そうと躍起になっていたことに気づいたのだ。
 
「先延ばしをしたくなるとき、いったい自分に何が起きているのだろう?」
 
自分を責めることなく、ちょっと他人事のように「先延ばし」を客観的に眺めてみた。
 
すると、思いがけない記憶がよみがえってきたのだ。
 
高校時代、陸上部に所属していた。
 
試合当日にベストパフォーマンスが発揮できるように、試合前に体の状態を調整する。
これを「ピークを本番に持ってくる」と言っていた。
ピーク、つまり、調子の良い状態を早すぎることなく、遅すぎることなく、試合当日に持ってくるように練習量を調整するのだが、これがなかなか難しい。
 
試合直前までキツイ練習をすると、本番に疲れが残ってベストパフォーマンスは出ない。
かといって、あまりにも軽い練習ばかりだと筋力や持久力も落ちるので、これもまたベストパフォーマンスが出ない。
そのギリギリのところを毎回、試行錯誤していたのだ。
 
その陸上時代の体験を思い出したときに、ふと別の記憶がよみがえった。
 
かつて、企業研修のコンテンツを作っていたときのこと。いつもはギリギリに仕上げるのに、なぜかそのときは2週間ほど早く完成した。
 
出来上がってホッとしたのか、そのままにして、当日を迎えた。
だが、2週間前のリハーサルでは、あれほど滑らかに話せていたのに、いざ本番を迎えると、あのときスラスラ話せていた自分が一体どこにいったのかというぐらい、しどろもどろになってしまったのだ。
 
「もしかしたら、ギリギリになるというのは、ピークを研修当日に持っていくためなのかもしれない」
 
そう気づいたとき、今まで「先延ばし」に対して持っていた悪いイメージ、イヤなイメージがちょっと変わった。
 
「自分の中には、二人の自分がいる」という話を、コーチングを習い始めた頃に教えてもらったことがある。
一人の自分は、頭の中にいる。もう一人の自分は頭から下の身体の中にいる、と。
 
頭の自分は「早くしなきゃ!」「間に合わなかったらどうしよう……」と焦ってばかりいたが、身体の自分は本番で力を発揮するために、グッと集中するタイミングを知っていたのだ。
 
もっと身体の自分を信頼してあげたらよかったのだ。
 
じゃあ、頭の自分は焦らなくなったのか?
 
いやいや、頭の自分は相当な心配症だ
そんな簡単に焦りは消えたりしない。
 
うーん、頭の自分と身体の自分の両方が満足する方法はないだろうか?
 
あったのだ。どっちも満足するうまい方法が。
それが、ピークを2回作るということ。
 
頭の自分は早く完成させて安心したいと思っている。だから頭の要望をまず聞いてあげる。
つまり、締め切りの2週間ほど前に、そのまま出しても問題ないレベルまでコンテンツを仕上げる。
 
一方、身体の自分は、直前になってグッと集中することで、本番にピークを持っていけると知っている。
 
早めに作ったあとは、ワインを熟成させるかのようにしばらく寝かして、一日、二日前になったら、もう一度見直す時間を取って、集中して準備をする。
 
このやり方をするようになってからは、焦りも減り、寝かしてから直前に見直すので、さらにアイデアも加味されてと、ピークを本番に持っていけることが増えた。
 
先延ばしをするというのは、単に自分が怠け者だからというわけではない。
先延ばしをしたほうがいい理由が必ずあるのだ。
 
僕の場合は、研修当日にピークを持ってくるためだった。
 
もしあなたが先延ばしをするクセをなんとかしたいと思っていたら、こう問いかけてほしい。
 
「先延ばしをすることの、良い面って何だろう?」
 
頭の自分はダメだと思っている「先延ばし」にも、身体の自分はそれが大事だとわかっているからそうしているのだ。
 
身体の自分が知っている「先延ばし」の良い面を、ぜひ探ってみてほしい。
 
その理由に気づいたとき、あなたはきっと驚くだろう。
 
 
 

 
***
 
 
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
 
http://tenro-in.com/zemi/97290
 

天狼院書店「東京天狼院」 〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F 東京天狼院への行き方詳細はこちら

天狼院書店「福岡天狼院」 〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階

天狼院書店「京都天狼院」2017.1.27 OPEN 〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5

【天狼院書店へのお問い合わせ】

【天狼院公式Facebookページ】 天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


2019-09-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事