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メディアグランプリ

無謀な計画は進化への原動力


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:深谷百合子(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「いやぁ、いくら何でもこのスケジュールはあり得ないですよ。モノを知らない人が勝手なこと言っちゃって、大丈夫なのかな」
 
中国で新しい工場を建設することが決まってから、この手のセリフを何度聞いたことだろう。私が参加したのは、中国国有企業が進める新工場建設のプロジェクトだ。プロジェクトには私を含め約20名の日本人も参加していた。
 
工場の規模から考えて、普通なら建設工事を始めてから生産装置を搬入できる状態になるまで2年はかかる工程を、前回のプロジェクトでは1年半で完成させた。それも、かなりの無理をして、ギリギリ滑り込んだ感じで完成させたのに、今回はさらに半年縮めて、1年で装置を搬入させようという計画なのだ。誰が見ても無謀な計画だ。
 
工場は鉄筋コンクリートで造る。鉄骨造りと違って鉄筋コンクリートは色々手間がかかるのだ。本当に1年で完成させるつもりなのか? 皆が疑心暗鬼の中、建設がスタートした。
 
半年が過ぎた頃、案の定、工事は遅れていた。まだ基礎工事中で柱も少ししか立っていない。絶望的な状況だった。日本から視察に来た生産装置メーカーの担当者も、「本当にできるんですかねぇ? 搬入が予定通りできない場合は、倉庫に保管しないといけなくなるんですけどね」と言ってきた。どの位遅れるのか予測しないといけない。追加で支払う倉庫費用はいくらになるのか? そんな状況なのに、中国人の担当者は倉庫を借りる準備に動く気配もない。イライラして胃がキリキリするような毎日だった。
 
しかし、こんな悲観的な見方をしていたのは、日本人だけだった。中国人のスタッフ達も皆、厳しい状況であることは理解していた。けれども、「できなかったらどうしよう?」と口にする人は一人もいなかった。何としても目標を達成するという強い意志を持っていた。倉庫を借りるなんて、これっぽっちも考えていなかったのだ。
 
装置搬入まであと3ヶ月となったある日、「装置を搬入するのに最低限何ができていれば良いのですか?」と中国人担当者が質問してきた。
「装置を置く位置を正確に測るためには、この範囲ができていないとダメですよ」と、図面を広げながら説明する。
「もう少し範囲を狭くできる可能性はありませんか?」
「うーん、どうだろう? メーカーに確認してみましょう」
「お願いします。あと、床の塗装は完成していなくても、ここが基準っていうのが分かればいいんですよね?」
 
そんなやり取りをする内に、私たちは今までの常識にとらわれて物事を考えていたことに気が付いた。そうだ、目的が達成できるのであれば、今までと同じやり方にこだわらなくても良いのではないか。
 
それから私たちは、ひとつひとつの課題について、「サバをよんでいる」部分を徹底的に排除した。それは一種の賭けでもあった。
例えば、搬入する装置は超精密機器なので、色々と細かい要求がある。一発で要求を満足できないことを前提に、日程に余裕を持たせてあるのだ。しかし、私たちは「必ず一発で合格させるから」と装置メーカーを説得し、そのために必要な対策を事前にとるように段取りを変えていった。
 
残り2ヶ月。工事は人手も増やして昼も夜も連続して続けられた。なんという爆発力だろう。あんなに遅れていた工程が、みるみる内に挽回していく。予断を許さない状況は続いていたが、「必ずできる」という確信が芽生えてきた。
 
そして、装置搬入日当日。厳しい条件を全てクリアして、遂に予定通り装置を搬入することができたのだ。祝福の垂れ幕がはためく中、装置がクレーンで吊り上げられ、工場の中へ滑り込んでいく。1年前、荒れ地の中で着工式が行われた時には、想像できなかった光景だ。
 
このプロジェクトを通して、私は2つのことを学んだ。1つは、「必ずできると信じて、どうすればできるかを考える」ということ、もう1つは「現状の延長線上にない次元に目標を設定することでブレイクスルーが起きる」ということだ。
 
日本人の皆が悲観的な見方をし、「できなかった場合の対応策」を考えている中、中国人は「どうしたら最短最速で目標を達成できるか」だけを考えていた。
できなかった場合の対応策を考えたからといって、物事が先に進むわけではない。それよりも、あの手この手を考えて、とにかくやってみれば、変化が起きる。それが前に進む力になるということを教わったのだ。
 
そして、常識を打ち破る目標の設定が、前に進む力を引き出すのだ。同じ事を同じようにやっていたら、進歩がない。中国人のリーダーは、それを知っていて敢えて高い目標を掲げたのだ。「無謀な計画」によって、新たな仕事のやり方が生まれ、やり切った後には、皆の心に大きな自信をもたらした。これが次の原動力になるのだろう。
 
用意周到に進めたいのが日本流ではあるが、「とりあえずやってみよう」という中国流の考え方も学ぶべき所が大いにある。失敗を恐れずに挑戦しよう、それが新たな次元に進む原動力になるのだ。
 
 
 
 
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2019-10-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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