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メディアグランプリ

着物で地下アイドル気分

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:松島 幸子(ライディング・ゼミ平日コース)
 
 
私は着物が好きだ。
いつから?なんで?と問われると、うーんと考え込んでしまうくらい、
いつの間にか好きだった。まるで絵のようにきれいで華やか、多色使いなのに
ものすごく派手ということはない。生地も、つるつるして光沢のあるものや、
素朴な雰囲気のもの、生地自体に模様が入っているものなど、様々である。
一枚の着物をじっくり見出すと、いつまでも飽きない。いつまでも見ていられる。
それくらい、変化に富んでいて、おもしろい。
学生の頃は、本やチラシ、テレビなどを見るだけで満足していた。それが、
成人式のために母と振袖を買いに行き、初めて身に着けてみた。なんて素敵なんでしょう!
興奮した。しかし、着てみるとなかなか大変だ。まず、肌襦袢を着て、長襦袢、
そして着物。それぞれ、紐や伊達締めで締める。さらに帯を巻き、帯締めをして
帯揚げをする。結構な締め付けと、重量がある。足袋をはいて、草履を履くが、
鼻緒がきついと親指が痛い。
しかし、私は着物が好きなのだ。いろいろな痛みを上回る喜びがある。アイドルとか
今なら地下アイドルを目指している、女の子のようなものだろうか。髪をアップにして、
うなじを出す。益々気分が上がる。非日常もいいところだ。着物を着ている私を見ている、周囲の目も嬉しそう。自分が別人になったような感覚になる。まさに、至福の時である。ちょっとしたコスプレだ。
多分、ドレスではこうはならない。派手なものは派手に見え、下品にさえ感じる。
なぜだろうと、考える。私の個人的意見だが、多色使いの着物や帯を、ほんの少し
見えている帯締め、帯揚げが全体を引き締めているからだと思う。色のマジックとでも
言おうか。そこの色を変えるとまた違うコーディネートが、出来上がる。一枚の
着物や帯が、違うイメージになる。その組み合わせを考えるのも、おもしろくて
たまらない。
就職して収入ができ、とうとう自分で着物を購入した。仕事帰りに街中を歩いている
時、見かけた着物に一目惚れしたのだ。目が釘付けになった。衝動買いではないと
自分に言い聞かせ、ローンを組んだのを覚えている。女性の多い習い事をしていたので、
結婚式が多かった。このころは、着物を買ったらサービスとして無料で着付けてくれた。
おかげで、この着物と振袖を着まくった。本当に重宝した。
結婚してからは、転勤と3人の子供の子育てで、着物から遠ざかっていた。が、長女の
成人式をきっかけに、また着物愛が高まってきた。なんと、一目ぼれして手に入れた
あの着物は、落ち着いた感じの帯を購入して、今も着ている。まったく古臭くなく、
色あせてもいなくて、素敵に私の株を上げてくれている。ありがたい限りである。
 
20年の間にバブルは終わり、若い人たちは、せっかく買った振袖を、結婚式などで
着なくなったそうだ。親世代も、自分の子供の結婚式に留袖を着る人は、少ないという。呉服店も、ずいぶん減った。もちろん着物を作る方々も、後継者がいないなどの理由で
廃業されたところが何軒もある。残念なことである。
それでも、浴衣が流行っているのは、本当は着物を着たいけれど、気軽に着るのが
難しいと思われているのだと思う。美容室で、着付けと髪もセットするとなると、
かなりの出費になる。そのうえ、おなかが苦しい、足が痛い、動きづらいとなれば、
着物から遠ざかるのも仕方がないと思う。それならば、自分で着物を着られて、髪を
まとめることができれば、もう少し、着物の出番が増えるのではないだろうか。
そうなると、かなり楽しくなると思う。機会さえあれば、着物を着て歩きたいという人は、そこここにいるように思う。友達とランチとか、女子会、デートなどに着物を着て
行くと、それだけで話題になるし、ちょっと差をつけられる。ビジネスシーンでも、
ぐっと強く印象付けることができる。着物や帯の絵柄で、相手にメッセージを送る
こともできる。自分で着られるようになると、苦しくない着方のコツもわかってくる。
ぜひ、安く習える着付け教室を探して、自分で着物を着ることにチャレンジして
ほしいと思う。
一方で、着物にはまって、長い期間ローンを払い続けている人はいっぱいいる。もう
払えないといいつつ、買ってしまう。着物は大雑把に、冬物、夏物、盛夏用とある。
帯も季節によって種類があるし、帯揚げも帯締めもしかりだ。それだけではなく、
着物1枚に、帯3枚という言葉がある。1枚の着物に、3種類の帯があれば、いろいろ
なシーンで使い分けられるという意味だ。すべてそろえていたら、本当にきりがない。
高額なものだけに、大変なことだと思う。でも、着物に惚れ込んでしまうと、あれも
いい、これも素敵となってしまう。オタクの言葉で、アイドルにはまり、アイドルに
お金をつぎ込むことを「沼」と言うそうだ。着物の世界も、好きな人にとっては、
ずぶずぶの泥沼である。そんな沼にはまらずに、着物を着ることで、日本の伝統を守り、後世に、世界にこのすばらしさを伝えていけたらと思う。
 
 
 
 
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2019-11-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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