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会話の中にもグルーヴがある


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会話の中にもグルーヴがある
 
記事:工藤大輔 (ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
ミュージシャン同士が当たり前のように使っている言葉の一つに「グルーヴ」というモノがある。きっと誰でも一度は聞いたことのある言葉だと思うけれど、多くの人にとっては日常的に使う言葉ではないかも知れない。明確な定義は知らないけれど、僕自身は「音のウネリ」のようなモノだと解釈している。
 
この「グルーヴ」は、特にアフリカン・アメリカンの音楽に傾倒するミュージシャンにとって何よりも重要な音楽的要素であり、三度の飯より生きる喜びと活力を与えるエネルギー源でもある。彼らにとって、音楽人生の喜怒哀楽はグルーヴと共にあると言ってもいい。グルーヴとは何なのか、どうすれば気持ちいいグルーヴになるのか、何故あの人が織りなすグルーヴは素晴らしいのか、なんてことを、四六時中考えたり仲間内で議論したりもする。
 
ゆえに、とかくグルーヴが合わない人間同士が同じバンドにいると悲惨なことになる。まず音楽的な表現が噛み合わないから、演奏していても気持ち悪い。相手に対して嫌悪感を抱くことさえある。その現場は一切の化学反応が起こらない不毛地帯となり、演奏後には疲労と不快感だけが残る。演者同士のグルーヴが合わないという事は、まるで価値観の合わない人と会話しているようなものだ。
 
逆に、ひとたびグルーヴが噛み合えば魔法の如く、その空間には至上の「ウネリ」が発生する。その「ウネリ」に飲み込まれた人々は高揚し、たちまち笑顔になり、体は勝手に動き出し、終わりのない幸福感に包まれていく。演奏が終われば、きっとお互いにハグを求め合い、素晴らしい時間と空間を共有した「兄弟姉妹」として絆が生まれているだろう。「グルーヴ」というモノを知ってしまうと、良くも悪くも人間関係さえ変わってしまうこともあるのだ。
 
そんな漠とした音楽的感覚であるはずの「グルーヴ」というものを、僕は音楽に限らず、人と人とのコミュニケーション、とりわけ会話の中で感じることがある。
 
会話における「グルーヴ」とは、決して軽快で整然とした「テンポのいい会話」を意味するのではない。むしろ淡々とせずに感情の起伏や強弱を持ち、時に互いのタイミングに干渉したり間を取りながらも、有機的に絡み合って生み出される「会話のウネリ」のようなモノだ。
 
僕の経験した素晴らしい「会話」には常にそんな「ウネリ」があり、それが徐々に高揚感となって、インスピレーションへと繋がっていった。それまで自分が発したことのないフレーズや新たな発想がどんどん湧き出て来るような感覚、と言えばイメージしやすいかもしれない。それがまた相手にとってもインスピレーションとなり、相乗的に会話のグルーヴがウネリを上げていく。まるでバンドのジャムセッションのように、噛み合うと楽しくて仕方ない。
 
では、どうすれば自分と相手のグルーヴが上手く噛み合うのだろう?
 
職場やちょっとした知り合いなんかと会話をする時は、当たり障りのない会話に終始することが多い。僕もそうだ。一定の距離を保ち、フレーズは定型的になりがちだ。もちろんそれで十分な場面もあるし、誰かと話す度にグルーヴィーな会話をしていたら疲れてしまうだろう。でもせっかく人と会話をするのだ。たとえ短い時間であっても、その会話が楽しく充実した方がいいと、僕は思ってしまう。
 
そんな時、僕はどうするのか。答えはバンドのジャムセッションと同じだ。まずは相手のグルーヴを感じてみるということ。単に相手から発されたフレーズをテキストとして捉えるのではなく、より立体的に相手のあり姿そのものを感じてみるということ。表情、声のトーン、服、髪型、立ち方、全て。自分の中にあるエゴや羞恥心、先入観のようなものを一切取っ払い、素のままで受け入れる。そして自分から出て来る自然な反応を、素直に相手に返してみる。
 
もし相手がこちらの様子を伺っているようであれば、僕は自分から先にグルーヴを出してみる。自分の感情を、丁寧に素直に言葉に乗せてみる。その言葉は小さなウネリになって相手に届き、何らかのレスポンスがあるはずだ。そんな言葉のキャッチボールを繰り返してみる。まるでラジオの周波数を合わせるように、徐々に自分のグルーヴと相手のグルーヴを近付けていく。そして遂にグルーヴが「カチッ」と噛み合った瞬間、お互いの表情は一変する。会話がより大きなウネリとなって絡み合い、一気に楽しくなる。新しい言葉や共感、インスピレーションが生まれたりして、会話の後には心地よい充足感で満たされているはずだ。例えそれがささやかな日常会話だとしても、ちょっとしたエネルギーをもらう事が出来る。ただの立ち話でさえ、なんだかちょっぴりステキな時間になる。
 
そしてまた、次のセッションが待ち遠しくなる。何気ない日常生活に隠れている、誰かのグルーヴと出会えることを。そしてそこから生まれるインスピレーションが、僕の人生をもっと豊かにしてくれると信じている。
 
 
 
 
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2020-08-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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